クリスタル・ロード 0251 龍の来襲
「ドラゴンだ、 警戒、警戒態勢!! 」
「町民は避難、家に入ってろ」
兵士たちが慌ただしく動き、街の人々は素早く家へと向かう。
小さな子は親に抱えられ、大人たちは助け合い避難を急いでいる。
「あれは・・・ 龍王国のかな」
「そのようですね、人が乗ってるし装飾に見覚えがある」
だいぶ前だが龍王国の王子が乗ってきたのが金銀に飾られたベルトや生地を付け、ずいぶん派手に感じた覚えがある。
あんなセンスはあの国ぐらいだろう、もしかしてあの王子なのか。
「お前たちは塀に寄って伏せていろ、勝手に入るなよ!」
自分たちはまだ検問を終えていないので、兵士に釘を刺される。
しかしドラゴンが襲うとしたら街なかだろうから、こちらの方がよほど安全だ。
しかし本当に襲いに来たのかだが・・・ 「また来た」といっていなかったか?
そんなことを考えている間にドラゴンが街に迫ってきていた。
「これって戦なのかな、龍王国の宣戦?」
「う~~~ん、 多分違うと思うけど・・・」
リーシャの心配はもっともだけど、否定するほどの根拠もない。
あの王子のやることだとなおさらで、気まぐれで戦を始めかねないし何をしでかすか。
「ネビィ、 ドラゴンソードを持ってきたか」
「持ってきてませんよ、潜入調査だから目立たないようにと言われたので」
「そうだよな、あったとしてもここでやり合うわけにはいかんか」
ドラゴンソードを全開にしてはこの街が無くなりかねない。 それではなお悪い。
あの王子ごと真っ二つにしてやりたいが、この街と国がとばっちりになる。
その時街の上まで飛来したドラゴンがついに火を吹いた。
そこかしこで叫び声が上がる。
炎を吐く音、羽ばたきの音、走る音や戸を閉める音、叫び声が交差する・が、門から様子を伺うと空で炎を吐いて入るが、攻撃ではないらしい。
火炎が勢いよく伸びているがどこにも被害が出ていない。
炎の合間にドラゴンが数度雄叫びを上げて、住人を嘲笑っているかのようだ。
「あれは威嚇か、それとも挑発なのか・・ 」
龍王国がこの国まで縄張りを主張していると、あるいはケンカを売って攻撃してきたら叩きのめそうとしている? あの王子ならやりかねない。
「なんてやつだ、そんなことをして回っているとは」
「だからってネビィ飛び出さないでよ、いまはドラゴンソードだって持ってないし」
「う、うん わかってる」
ここで飛び出すほどのバカではないがリーシャに心配されてしまった。
これでも戦いの状況判断は慣れているつもりなんだけど・・・・・・ 。
ドラゴンは街の上空を数度回りながら威勢よく炎を吐き出し、気勢を上げるとその大きな翼を翻して去っていった。
「やれやれ、やっと行ったか。 まったく調子に乗りやがって」
近くの兵士が見上げながらため息をついた。
他の兵士たちも緊張を解いて物陰から出て来ると、町民達も窓やドアからこわごわ顔を出している。
「こんなことはよくあるんですか」
街への検問がやっと始まるとグロフが担当の兵士に聞いた。
「そうなんだよ、ここを小国だと思って舐めやがってさんざんからかって行きやがる。 被害はないからまだいいんだがな」
「からかってですか、そんなことでとは」
ようやく街に入ることができて少し落ち着くと街の様子が見えてきた。
前の街より道や水路が広く家は高く多く、店は大きめで人通りが多く賑わっている。
ここに被害が出ては大変だったろう、小国とはいえ豊かな街でいいところだ。
「さっきの兵は龍王国がここにからかいに来てると言ってたが、この国を狙っているのか? しかし間には別の国があるし、この国を取る気ならそっちへすぐに仕掛けそうだがな」
グロフがつぶやく。 本当に、その気ならあの国が宣戦しそうだけどそうはしてない。
なぜだ?
「やはり龍王国のお妃が抑えているのかしらね、政治的にずいぶん力があるみたい。 それでもいつまで抑えられるか疑問だけど」
「お母さん、そんなことどこで聞いたの」
「領主様とか、閣僚の奥さんたちからね。 でも内緒よ」
そういえばそんなことをだいぶ前に聞いた気がする。
あそこの妃は戦を嫌って暗躍しているとか・だったか? なかなか骨のある人のようだ。
息子の体がバラバラになっていても平然としてたよな。
バラバラにしたのは・・自分だけど、う~~ん 嫌なことを思い出した。
「龍王国が大人しくしている今のうちになんとかせんとな、領主もそう言ってたし」
「そうだね」
父さん・と続けようとしてやめておいた。
戦が近いような気がするから。
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