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クリスタル・ロード 0250  空を泳ぐ魚

 さすがに水の国とあって魚やエビもどきなどが新鮮でうまい。


澄んだ水が流れる水路がさらさらと音を立てて、空気までおいしく感じ爽やかだ。

小さな町とはいえこの国の良さを感じさせる。


「いい所ね、水が良いし魚が生き生きして輝いてる。 住人もそうね、血色いいのは食べ物が良いからだと思うわ」

「ほんと、焼き魚がいい匂い。 このまま持って帰れたらいいのに」


 リーシャ達がそういうが転移陣を使うとしても少し無理かな、鮮度が落ちてしまうだろう。

そんなことを思っていたら目の前を細い魚がスイと通り過ぎた。


「え?」


魚? 魚が通り過ぎたように見えたが、空中だったよな?   


目で追おうとするがもういない。  気のせいか?


しかし、リーシャの足元の水路から魚が飛び出して前へとそのまま飛んで?行く。

よく見ると薄い羽根をはばたかせている。


「わ!  なに?」


リーシャが驚いて転びそうになるのを支えた。


「飛んでる、な、 あれ」


飛んでいくのを見つめていると出店のおかみさんが気付いた。


「ああ、ありゃあ飛び魚だよ。 少しなら空中を泳げるのさ、パンを持ってると取られることあるから気を付けなよ」


パンを、盗る?  空中を泳いで? 

鳥に盗られることはあるが、魚にとはこの町ではそんなことがあるなんて。

魚が、食べられるだけでなく、反撃をしてくるのか。

そんな魚初めて見た。 あのスパイが使った妙な獣魔もだがこの国には不思議な生物がいる。


 「なるほど、領主が見に行けと言ったのがうなずけるな。 来てみないとわからないことがあるからか」


グロフが寄ってきてささやいた。

そうなのだ、自分たちは旅行ではなくこの国を探りに来た。 よく見ておかねば、報告の為に。


 近くの店では商人らしき一行から肉を買っているのが見えた。

あれは出店ではなく地元民用の商店だろう、肉は他国から買っているようだ。

魚類は地元で良いのが取れるが、獣は少ないのだろう。 魚ばかりでは飽きてしまうか。  


 「ねえ、あれなんだろ?」


リーシャが違う方を指さして聞いた。

そちらには釣竿を持った子供たちがいるが、その竿先には糸と網? 

網は細く透明な糸でクモの巣のように薄いが、魚を捕るためかな。

しかしその子らの手には大きな鳥かごのような物があり、それを持って出かけるようだ。

グロフも気になったようでそちらへと向かっていった。


「なあ君たち、それは魚を釣るのかい」


呼び止められた子供は振り返って言った。


「違うよ、鳥を捕まえるんだ街の外でね。 こいつを付けてさ」


そしてポケットから取り出したのはさっき見た飛び魚を模した物? 作り物か、それで鳥を捕まえると・・ 


「こいつを食おうとして鳥が網に入るからね。 捕れたら店で売れるんだ」


子供達は元気に街の外へ向かっていった。

今日は自分が勝つとか、大物狙いとか叫びながら。 小遣い稼ぎになるのだろう。

魚で鳥を捕るとか逆な気がするがここでは普通らしい。


「なるほど、魚が豊富だからそれを狙って鳥が集まるか、そいつを捕ると」


しかも本物の魚でなく造り物でとは、なかなか賢い。 魚はやらないわけか。

子供が造ったにしてはよくできているし。



 「あ~ あのニセ魚かい、あれは職人が作ってるよ。 ニセのニワトリやウサギもあるし、昔からやってる人がいてね」


宿の主人がその夜に教えてくれた。  

その街では川の幸で食うには困らないが、暇なのと肉が欲しいのとでそんな物を作るようになったそうで、伝統的になっているとのことだ。


 「小さい国ながらも食べるには困らないとは、恵まれた国なんだ」

「そうだな、川が多いし水がいいから魚類がすぐ育つしな。 そりゃ困らんか」


しかしそれならなぜうちの国に手を出してきた? 嘘の自白なのか。


 「この辺は国の端だからな、明日は大きな街だからもっと知ることがあるだろう」


そしてグロフの言った通り、知ることになった。

大きな街について検問を受けようとして並んでいたとき、騒ぎが起こったのだ。

兵士が空を指さして叫んだ。


「また来たぞ、警戒態勢! 全兵士を招集だ」   


その空には大きな翼のものが近づいてきていた。

鳥ではない。 あれは・・・ ドラゴンだ。 それもかなり大きいほうの。




いつも読んでいただきありがとうございます。


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