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クリスタル・ロード 0245  新たな駒

 自宅の畑の脇、リーシャと彼女の母さんがお互いの無事を知って抱き合っている。

感動的な場面のはずだが、どうにも納得いかないのは誰のせいだ。


「なんでお前がリーシャなんだよ」

「私が誘拐犯など吹き飛ばしてやろうと思ったからですわ」

「だからってなあ、一人で勝手に・・・・」


隣ではグロフ達がフレアを責めている最中だからだな。

ジョーイは畑のイチゴをつまみ食いしながら眺めているだけだが。

 

 聞くところによるとフレアは最近ギルドや出店などで、話を合わせてもらい「自分がリーシャ」だとアピールしていたそうだ。

そうすれば他国のスパイが自分を誘拐するのではと、目論んだからだとか・・・ リーシャの代わりにしてはずいぶん大きな子だと思うが、他国の者がそこまでは知らないと踏んでのことか。

しかしフレアを知っている人は何を言っているんだと思っていたらしい。

さぞや妙な光景だったろう。


 リーシャの母さんは「リーシャ誘拐」の連絡を受けて会合から慌てて飛び出し、領主の館へ行ったり自宅へ戻ったりと、行き違いになってしまったようだ。

無事がわかってなにより。

 

「私が囮(おとり)になったからリーシャが無事なんですわよ!」


胸を張ってそんなことをいうもんだから、グロフ達が呆れているがな。


「ありがとうね、フレアさん」  


お礼をいうリーシャ母さんの笑顔が微妙なのが無理からぬところだ。


 「ところで、なぜリーシャが誘拐されるの?」


ジョーイが畑でイチゴを食べながら聞く。


「おまえな、話を聞いてないのかよ・・ こないだも俺達がそのことで話してたろ」

「うむ、我々が護衛をするとな。 ジョーイもその一人だろうが」


つまみ食いをしながらそんなことを呑気に言うジョーイはもう忘れてしまったらしいが、父さんが衛視隊長であり、自分も領主と関わりのあるせいで狙いやすいリーシャが一番危ないだろうとの結論になったのだが、覚えてくれないと困る。

この領地が最近遺跡の力を得て拡大しそうと他国から目をつけられているからだ。


 「だから特にリーシャを守らねばならんのだ」

「誘拐 → 脅迫 → 奪取 だ!  わかったか? 他国の狙いが」  

「へ~~~~ 、そうなんだ~~~~~」

「やれやれだな、 本当にわかったか」


グロフ達がジョーイに教えている間に父さんが馬に乗ってやってきた。

仕事中のはずだがこの件での用だろう。


 「よおネビィ、お手柄だったな」

「少しややこしい事態だったし、フレアさんも頑張りましたけど・・それにリーシャもです」

「ああ、リーシャがさらわれたとの誤報な。 その件は聞いたか?」

「誤報というか、フレアさんの策謀?  それとは別にリーシャの魔法が上達してずいぶん力になりましたよ」  

「ほお、 何にしても領主がたいそう喜んでるぞ、いま捕虜を尋問中でな。 アイツラを締め上げれば役に立ちそうだと言っとる」

「どこの国かわかりましたか」

「まだだが、規模や練度からすると小国だな。 竜王国ならあんなお粗末なのはよこさんだろう」


 一通りの話をするとリーシャやフレアの無事を確認して仕事に戻っていった。

まだまだやることが残っているのだろう。


 「よかったなフレア、とりあえずはお咎め無しで」

「当たり前ですわ、お咎めではなくお手柄でしょうに!  アヤツラを生け捕りするのに手加減が大変でしたのよ、本当に」  

「はいはい、 ずいぶん汚れたでしょう・お風呂に入ろうね」


よく見ると確かに煤けているフレアを押してジョーイが風呂へと連れて行った。

ふと自分を見るとこちらもだ、後で入らねば。


 感動の再会を終えたリーシャ親子もお風呂に入らなきゃと帰りかけたとき、グロフによって呼び止められた。


「リーシャ無事とネビィのお手柄を祝って、あとでパーティにしませんか。 俺達が焼肉とか諸々準備しますんで」

「あら、そうね。 参加させていただこうかしら、リーシャも」

「うん。  ネビィ、じゃ後でね」


 そして少し後、いつものように焼肉や野菜と今回はデザートの果物が多めに用意され又も賑やかな夜となり、そして父さんが狙ったように酒を多めに抱えて帰ってきた。

なぜパーティの事がわかったのか不思議だが、こういう事にはカンが働くのだ。


そして捕虜となった誘拐犯達は、やはり某小国?とのことが自白され、収監されているそうだ。


「ネビィよ、お前なら奴らをどう使う?」


父さんが酒を飲みながら囁いてきた。


「・・・ 二重スパイにするか、その国を引き込むかですかね」

「そうだ、領主もそう言った。 お前もわかってきたな」


などと言いつつ美味そうに一気にジョッキを開けた。  




更新が遅くなり申し訳ありません。

パソコンのトラブルで悩んでおりました。


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