クリスタル・ロード 0241 予期せぬ戦い
装甲馬車が勢いよくやってきて驚く門番達だが自分の顔を見てすぐ通してくれ、3人で館へと駆け込んだ。
リーシャの誘拐と伝えてくれた人を探そうと思ったが、衛視達が何やら騒いで慌ただしくそれどころではなさそうだが装甲車の事ではない・か?
近くを通った衛視を捕まえて聞くことにした。
「あの、何かあったんですか」
「街の外で騒ぎが起こっているとのことで兵を出すように命令された。 盗賊ではないかとのことだ」
そう言うとすぐに行ってしまった。
盗賊? 騒ぎなど気づかなかったが街の塀上の見張りからの合図なのか?
「私達も行きましょう、あの馬車なら戦力になる」
ジャンヌさんにすぐ促されて馬車に戻ると兵士が既に門に集まっている。
「ギルドが加勢します、これにも乗ってください」
ジャンヌさんが言うとすぐ小隊長らしき人が指示をした。
「おお、すまんな。 それではこれに3人乗れ」
「リーシャとネビィも早く」
6人も乗って大丈夫かと思ったが個室は広めだし、大型馬は力強く駆け出した。
さすがは軍用車並みで頼りになる。
リーシャは窓から顔を出して前を見つめている。
誘拐の話と盗賊や襲撃騒ぎとは関係があるのかわからないが、他に手がかりがないので今はそれを追うしかない。
衛視達の馬車も向かっているけれどこれが一番早く、追い抜いてしまい道の先には煙の上がるのが見え、そばに馬車が数台止まっている。
街からは離れているので気づかなかったはずだ。
兵士が反対の窓から顔を出し確認をすると他の兵士に指示を出す。
「戦闘準備、敵は馬車二台もしくは三台。 小隊長の指示で前衛飛び込むぞ、弓兵は援護だ」
皆が武器を準備するとリーシャも袋から杖を取り出す。
そして自分も革ジャケットを開き背中から折りたたみの槍を出すと、兵士達が変な顔をしてこちらを見ている。
父さん考案の武器に関して知らないからあんな顔をしているのかな。
多分新兵だろう。 どうりで見ない顔だと思った。
馬車はすぐに追いついたが止まっていた三台はこちらに構わず争っているようで
炎が上がり爆発が何度も起きた。
どっちが敵なのか、盗賊なのかも判別がつかないと思われる。
兵士達はすぐに飛び降りて集結、総勢20名ほど。
三台の馬車を取り巻きつつ広がって、剣を抜き弓を構えた。
「リーシャは馬車の中から頼む、自分は前衛に出るから」
「わかった」
「私は馬車の上から弓を使います」
ジャンヌは大型の弓と大きな矢筒を抱えて屋根に登っていく。
何やら特殊な矢もちらりと見えたが、あれは新兵器だろうか?
「どっちが盗賊ですか」
「わからん、盗賊かどうかもな。 相手は一人のように見えるが・・」
煙や砂埃が数カ所で、新たに次々上がるためよく見えないが片方が4人ほど、他方が一人しか見えない、あれは女性だろうか。
杖を振っているように見える。
リーシャの母さんだろうか、と思うまもなく煙で隠れてしまった。
あちらに味方をすれば良いのか状況が掴めず飛び込めない。
兵士達も迷っているようで隊長の顔を伺うが、彼も同様なのか戦況を見つめている。
「状況判明! 右の一名はギルド所属の冒険者、左の全5名が無所属ゆえ敵と判断。 攻撃を!」
馬車の屋根に立ち上がったジャンヌが叫んだ。
さすがに目が良く煙を通して確認できたらしいが、ギルド所属だからと味方と決めつけて良いのかと思ったがその時小さな声で続けた。
「あれはフレアさんです」
フレア・? リーシャの母さんではなく、フレアさん? なぜ。
しかしそんなことを考えているまもなく、屋根の上からジャンヌが弓を射ると敵の馬車が車輪を吹き飛ばされ爆発した。
やはり普通の矢では無かった、父さん顔負けだ。
そしてこちらの兵士も飛び出していく。
ギルドが責任を負ってくれると判断したのか足に躊躇がない。
良いのかそれでと思ったがこちらも続く。 なぜフレアが戦っているのかわからないが敵では無いだろうからこちらは攻める相手が決まっている。
それまで拮抗していた戦況が崩れ、敵が動揺をしているので問題なく収まりそうだと思ったその時向こうの一人が懐から袋を取り出すのが見え、何か嫌な気配がした。




