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クリスタル・ロード ~失われない大国の王を目指して~ 【32000PVを感謝します】  作者: 前田  裕也
2 目覚めの章

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クリスタル・ロード 0240  あの人はどこだ

 リーシャの母さんの会合の場所は? 早く 早く! 


「場所、場所は・・・ え~~と、 イ、 イシュラーさん の、お宅って確か言ってた。 イシュラーさんの」

「場所はわかるかい」

「行ったこと無いけど、ギルドの近くだって言ってたからギルドで聞けばわかるはず」

「行こう」


 後のことはグロフ達に任せてリーシャを馬車に乗せてギルドへと急ぐ。

通行人がいつもより多く感じてなかなかスピードを上げられず、なお焦るが事故を起こすとかえって遅くなると自分を抑えて手綱を握りしめた。  


通りはいつもどおりの何事もない様子でこちらの事情など知らぬよう、のんびりとした様子だが隣の席ではリーシャが前かがみで御者台を掴み、心配げに前を見つめてギルドが見えてくるのを待っている。


 そうしてようやくその姿が見え、直前で手綱を引いて馬車を止めると二人で入口のドアを駆け抜けた。



 「イシュラーさんの家ですか、出口から右へ2軒分、奥へ一軒の緑の柵にツタの絡んだ薄い紫の壁の・・」


 受付嬢がすぐに教えてくれたがこちらの様子を見て怪訝な顔で戸惑い気味だ。

しかしその家なら見たことがある。

すぐにわかるだろうとリーシャの手を引いて走り出す。  


「ありがとう、さあ行こう」

 

唖然としている受付さんや他の客達の視線を受けながら通りに飛び出し、馬車を置いてその家まで走ることにした。

近いならそのほうが早いと思ってだが、リーシャはと見ると自分の足に負けじと付いてくるのはかなり心配だからだろう。

人の間を縫うように二人で駆けていく。


 近いはずなのにやっと着いた感のする、ツタの絡んだ柵のある家のドアを勢いよくノックすると少しして開けられると品の良さそうな御婦人が立っている。


「あの、お母さんは来ていますか!」


自分より先にリーシャが勢いよく聞くと少し驚いたようだが、彼女の顔を見てすぐに誰のことかわかったようだ。  


「あの方でしたら・先ほど使いの方が見えて出かけられましたよ、なんだか急な要件のようでしたね」


 出かけた?! 呼び出された? 誰に? 

やはり狙われたのはリーシャの母さんの方か。

領主の使いと偽って呼び出して誘拐というのはかなりありそうだ。


「どこへ向かったかわかりますか」

「場所は言ってませんでしたけど・・ 領主様のところじゃないかしら、身なりの良い人でしたからあの使いの方」


 連れ出す口実なら領主の館ではないだろうけど、他に手がかりが無いし自分に連絡が来たのも館でだからわかることがあるのでは?  

協力を仰ぐこともできるはず。


「行ってみよう!」



 馬車で向かうためにギルドに戻り、二人で乗り込もうとしているとジャンヌさんに呼び止められた。


「待って、私も行きます。 フレアさんから話を聞いています、なにかあったんですよね」


フレアが誘拐の危険を既に伝えていたとは。

それはありがたい、ジャンヌさんは元弓兵で弓の達人、強力な弓で大物さえ仕留められるツワモノだから心強い。


「高速馬車を出します、少し待ってください」  


 高速馬車とはギルド所有の特別製で、頑強な大型馬2頭で引く戦闘用の物で別名・甲殻装甲車、軍用に近い物だ。

そんなのを出して良いのかと思うが、ギルド長に任せられているのだろう。


 鐘を鳴らしながら馬車が走り出すと通りの人々が驚いてすぐに道を開けるので、先程までとはまるで違い早い。

風を切って道の真ん中を駆けていく、重々しい音を響かせながら。

ジャンヌは御者台で手綱を持ち、自分達は個室でリーシャが隣の席に緊張した顔で座り疾走する馬車の窓から前を見つめている。

リーシャに声をかけようと思ってもこんな場合、一体何といえば良いのかわからず言葉を飲み込んでしまう。  



 そして領主の館が見えてきた。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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