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クリスタル・ロード ~失われない大国の王を目指して~ 【32000PVを感謝します】  作者: 前田  裕也
2 目覚めの章

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239/244

クリスタル・ロード 0239  誘拐

 今日は領主の館にて記録の解読を見学することになった。


ミミィとその師匠グラナダお婆さん(失礼)はいつもの解読コンビではあるが他に3名の助手らしき女性がいる。

運び込まれた数百枚の石板を分類、紙に複製、記録、解読などが黙々と行われ、自分のような解読素人が同席して邪魔にならないかと思うが内容を把握するよう領主に命じられた為致し方ない。


 黒板には記録のジャンルや解読進捗などが書かれ、順調な様子が伺えたが多分石板はまだまだ残されているだろうからここにあるのはごく一部だ。

それにしても兵器に関してが最優先かと思ったが違うようだ。

黒板に書かれているので多いのは別の技術らしい。  


 「ふう、疲れた」


そばの席で石板を読んでいたミミィが呟くと机に置いて伸びをした。

師匠は少し離れた席で集中しているのか身じろぎもせず石板と格闘中である。


 「ネビィ、少し休まない? 隣の部屋に飲み物があるから」


休むと言っても自分は眺めている程度、大したことはしていないのだけど付き合うことにする。 彼女が休みたいだろうから。


 「あ~~ 肩凝った。 ず~~~っと解読だもん、疲れる~~っ」


ドアを締めて小さめの休憩室の席に座るとテーブルに両肘をついてぐったりと伏せた。 師匠が見たら怒りそうなだらけ方だがドアはしっかりと閉めてある。


「聞いた話では美術面を優先するって? この街の特産品にするとか輸出を考えているらしいね、うちの領主が」

「あ、もう聞いてた? そうそう遺跡の技術での工房を造るってね、それでやたら急がされて大変なのよ。 助手は付いたけどまだまだ不足してるし」


 ミミィが立ち上がってお茶の準備をし、テーブルにカップが置かれる。


「これ良いお茶なのよ、来客用の特別製。 こういう待遇は良いんだけどね」


本当にいい香りで高級品のようだ。 これほどのは滅多に飲めないと思う。

お菓子も一味違う風味があり、一流のものらしい。


 お茶菓子でホッと一息付いて二人でくつろいでいると廊下で声がして何やら騒がしくなっている。

そして勢いよくドアが開いて侍従が顔をだした。   

 

 「ご友人のリーシャ様が誘拐されたそうです」


    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 何だって?!



  馬車を借りて急いでリーシャの家に向かう途中考えるが、そんな馬鹿な。

この間話したばかりでグロフ達が護衛をすると言ってくれたし、杖が守っているはずでもあり本人だってわかっているだろう、一人で出かけるわけがない。

もしかして襲撃だろうか、大勢で押しかけたのか? では皆かなりのケガを・・まさか死人が出ているのか。


--------------------------------

 


 「私、  いるけど」


リーシャはうちの畑で薬草を摘んでいた。

近くにはグロフ達もいて畑仕事をしながらこちらを見ているし、皆落ち着いた様子でなにを騒いでいると言った顔である。


「???・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 こちらは冷や汗でびっしょりの服だが周りは穏やかに仕事中で、ジョーイはいちごをつまみ食いしながら見ている。

なにがなんだかわからない。


 「誘拐されたって? リーシャって双子だったか?」

「一人っ子です」


レフが聞くとリーシャが言う。 まるでからかわれているようだが違うらしい。

ではどこからそんな話になったのか、あの侍従は誰から聞いたんだろう。

冗談でこんなことはしないだろう、すると陽動では? 偽の情報で注意を引いてその隙を狙ったとしたら・・・・本命は?   ミミィか?


 自分をあそこから引き離す為・か? 

しかし領主の館は警備が厳重のはずであそこを狙うなど無理と思うし、自分一人引き離してなんになるというのだろう、帰宅するときを狙う気か。

しかしリーシャが無事と分かれば引き返すことがありうるのに、そんな作戦で?


 リーシャ、 リーシャが誘拐?


「リーシャの母さんは・・・ どこだ」


 陽動でなければ情報の齟齬(そご)があった? リーシャ本人では無いとしたら。

リーシャの母さんのことでは。

二人で急ぎリーシャの家に向かったが、どこにもいない。  

 

 「確かお母さんは魔術の会合で出かけるって、昨日言ってたから」

「どこへ行ったかわかるかい」

「会合の場所? え、 え~~と、え~~~と」


自分も焦るがリーシャも同様でなかなか思い出せない。 

早く行かなければならないのに。




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