クリスタル・ロード 0238 野蛮な朝
今日は少し遅くなってしまいました。 すみません
「スパイが入っているらしいぞ」
朝、父さんからいきなりそんなことを言われたが、ずいぶん唐突なことだ。
まだ朝ごはんさえ食べていず、顔を洗おうと思っていた矢先にとは。
「何ですか朝っぱらから・・ もう少し落ち着いてから」
「落ち着いている場合では無いぞ、緊張感の無いやつだな」
今日もいい天気なので外で顔を洗おうと出ていたので、水桶を運んでいたところだったのだが捕まってしまったが他の人はまだ寝ているかな。
父さんは朝の訓練だろうが今日はまだのようだ。
「スパイが入っているとか言われてもどうしろと? 捕まえるのですか」
「捕まえるといっても誰がスパイなのか、まずそこからだがな。 よそ者をマークしてお前が見つけろ、私は別の仕事があるから」
「大雑把な指示ですね~ カルト教団とは別ですか、どこの国なのかもわからないですかね竜王国とか」
竜王国の見栄っ張り成り金王子ならスパイをよこすより自分で見に来そうだが、側近達が止めるだろうからありうるか?
それより戦を仕掛けてくるかな、短気みたいだし。
「竜王国もだがどんな小国でもありうるぞ、遺跡の兵器と技術があれば大国と張り合えるから狙ってくるさ」
「探りまわるだけならともかく住人を誘拐などはマズイですね、いつまでも続くならなおさら問題だしどうすればいいのか」
「領主もその点考えているが、アイリスやリーシャなど女児が一番狙われやすいからお前が注意しておれ、いいな」
アイリスはギルド長が見張っているがリーシャのほうは危なそうだ。
女児というには少し大きいし一人で歩き回るし、いつも一緒とはいかないしどうすればよいのか・・・・・
「どうしたの?」
声をかけられ目を開けるとリーシャが立っていて、いつの間にか父さんが消えている。
「おわ、びっくりした」
「立ったまま寝てたの? 寝不足? 」
「そうじゃないんだけどね、考え事で・・ 」
君のせいなんだけどねと思っても言えないし、父さんはどこへ行ったんだかと考えているとリーシャの腰につけているものに気づいた。
細長いものを革袋に入れ剣のように携えている。
「それは・・杖かな」
「え? うん、お母さんがいつも持っていなさいって言うから」
それなら良かった。 これがあればいくらかは守ってくれるはず。
普通の杖よりずっと頼りになる遺跡の品だから・・ 魂があるとか言っていたし。
それにしても杖の元持ち主が自分と”魂の共鳴”だとか? この世界に呼んだなどと本当なのか? リーシャと気が合ってる様に感じたんだが、気のせいか?
守るのなら問題ないんだがなんだか引っ掛かる。
「どうかした?」
考え込んでいるとリーシャに怪訝な顔をされた。
「その杖、遺跡文明に取ってかなり重要なものらしいからなくさないように気をつけてくれるかな、今思い出したんだけど持ち主の遺言があったんだ」
「え、そうなの? 遺言て遺跡に・・あの木に入ったときのこと?」
「そう、あの戦いの最中・かな」
竜の剣を使って意識が途切れていたときだと思うが、あれを伝え忘れていた。
遺跡の物を消滅させるキーとなる、だったか。
他にもなにか言っていたような気がするが思い出せない。
「そう・・なんだ、わかった。 大事にするね」
革袋の上から杖を握りしめ、何かを感じ取ったように頷き答えた。
やはりリーシャの持ち物にするほうが正解なんだろう、おい魂よしっかり守れと念を押しておく。 守りきれなければ俺を呼べ、すぐに駆けつけるぞ。
「おはよ~~、 二人して早起きね~ 何見つめ合ってるの~ 逢引き~?」
寝ぼけた声でふらふらと出てきたのはジョーイである。
離れに間借りしているため、こんなこともあるが彼女たちはやや朝が遅い。
フレア達も間口からゆっくりと出てきて伸びをし、皆少し眠そうだ。
ちょうどよいので父さんから言われたスパイの件を伝え、注意をしてもらう。
「そうですね、リーシャの独り歩きはやめたほうがいい。 買い物なら私達と一緒にしましょう、誰か一人は付くということで」
「自分も護衛しますが、他のことで出かけている場合よろしくお願いします」
「う~~ 私だけ護衛付きだと申し訳ないです」
リーシャがそう言うとジョーイが手を上げて前に出てきた。
「あ、私も私も、 か弱いから護衛つけて・私にも」
か弱いだろうかと思ったが、まあフレアよりは・・そうかと一応納得したらグロフとレフも微妙な顔つきである。
「まあ、そうか。 しょうがない、ジョーイにもな」
「何? 今の間は・・なに?」
ジョーイは少し納得いかないようだがフレアは意気揚々だ。
「私なら誘拐犯など蹴散らしてあげますわ、手足が残れば運が良いと思いなさい!」
朝から野蛮な雄叫びのお嬢様がそこにいる。
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