クリスタル・ロード 0236 美術品
出店で焼いてもらったザリガニを皆で分けて食べる。
他に揚げパンや焼きそば、ソーセージなど色々あるし出店が多く目移りするほどだ。
お昼になったので大方の人が水路から上がり店が賑わっている。
辺りは芝生のため直に座る人もいるし、自分達のようにシートを用意している人達もいて海水浴のようだ。
日除けのパラソルを売っている店まである。
「エビおいしいね~、 アイリス」
「うん 焼き加減が絶妙、いい匂い~」
「そうでしょう、また後で捕ろう。 一周してくればまだまだ見つかるよ」
ミミィが捕まえたので得意げである。 あれはザリガニだが・・・。
味は似たようなものだからいいか。
「でも取水場には捕獲器があるんだよね、なんで水路に入ってるんだろ」
「捕獲といっても捕るのは大きめのだけで、小さいのはすり抜けるから」
リーシャの疑問はもっともだがスノコの目を細かくすると水草が詰まることもあるし、魚が流されたり仕掛けからあふれることもあり得る。
目を大きめに作らねばならないのだ。
「大きめの魚を向こうの店で焼いてるぞ、後で買おう」
「じゃあ小さいのは全部捕まえて良いのかな、エビも」
「全部はいかんぞ、水路に付いた藻を食べてくれると領主が話してたろ」
「え、そうなの? 残念」
「つかみ取りのイベントがあるそうだから、そのときに思う存分・だ」
魚や肉を焼く匂いに釣られて鳥たちもやってきて住人の近くを歩き回り、魚を貰うのもいれば水路へ飛び込んで小魚を咥えていくのもいる。
ちょうど自分の魚を食べ終わったところで、残った頭を軽く放り上げるとアヒルが器用に咥えて飛んでいき何処かから拍手が上がった。
「おお、うまそうだな。 焼肉を一本くれ」
父さんがいつの間にかそばまでやってきて皿を見つめていた。
衛視服に剣を携えている。
「休日なのに仕事ですか」
焼串を渡すとすぐに齧りついて美味そうに頬張りながら笑みとなる。
「水路が出来たってこっちは色々とやることがあるからな、これだって本来は遊ばせる為のものではない。 なぜ私が関わったと思っている」
などと耳元で囁かれた。
そうなのだ。
父さんが関係している以上ただの堀のわけがない。どうせ妙な仕掛けがあるに違いないと嫌な予感がしていたが、当たっていたらしいとニヤリとしている父さんを見て思う。
「大丈夫なんですか、安全面は」
「抜かりはない、3重になっているからな。 安心しろ」
二人して囁いているとグロフが皿を持って近づいてきた。
「衛士隊の任務ご苦労さまです、これどうですか」
太いウインナーの挟まれたパンと串刺しの魚が山になっているのを差し出すと、両手でパンと魚を一つづつ取った。
「これはすまんな、いただくとしよう」
ちゃっかり両手でとは・・ 他の人も見てるんですがね。
リーシャとミミィが笑いそうな顔をしているのに気づいていないのか。
しかしジョーイもそこに、素早く来て両手で持っていく・・・・・・ 。
「ところで例の遺跡の件ですが、領主様は何かおっしゃっていましたか」
「おう、すごい成果だと喜んでおられたぞ。 特に記録がな、今は芸術関係に注目しておられる」
「ほう、芸術面ですか」
「ここでそんな話、良いんですか? 他の人達に聞こえますよ」
一応注意をしておく、あの件は極秘のはずなので。
「ああ、かまわんさ、 いずれこの件は皆が知ることになる。 領主はこの街で美術品を造ろうとの考えだ」
「美術品?! この街で? どうやって」
グロフが驚くのも当然で、ここは元来食料や実用品を主にした街で芸術家など・・いるんだろうか、聞いたことさえない。
一体誰が担当するのか? 指示すればできるというわけではないだろう。
「そこはあの領主のお考えだな、なんとかするんじゃないか」
笑いながらソーセージパンを美味そうに頬張るのが、さも何も考えていない様子だがあの領主は違う。 それなりの見込みがあるに違いないが、 う~~ん。
美術品と聞いて何か引っ掛かる気がしたが、なんだっけ。
他の人も言っていた気がしたが・・・・・・ 誰だったかな?
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