クリスタル・ロード 0235 水泳訓練と収穫
水着にナイフを付けるのは不評だった。
武器では無く緊急用なのに、なぜだ。 デザイン上の問題だろうか。
なるべく目立たないように考えるべきか。
実用一辺倒でデザインまで考えたことが無かったのが敗因かもしれない。
「よ~ 、何難しい顔してんだ。 泳がんのか」
レフが勢いよく泳いで回ってきた。 既に一周してきたらしい。
深い側の水路で、グロフが少し遅れて付いてきている。
「競争しないか? ネビィも早そうだし俺と良い勝負だろう」
グロフに勝ったらしく機嫌が良いのか満面の笑みで言う。
「それが、アイリスたちを見てるように言われたので離れるわけには・・」
アイリスは浮きマットに乗り、リーシャはそれを押しながら浅い水路をゆっくり泳ぎ、浮きを借りて練習してるようでもある。
ミミィは深い水路の側をだが二人のそばを泳ぎ、時々潜っては上がってチラと見ている。
多分リーシャ達のことを見てくれているとは思うが。
「じゃあフレアにでも少し見ていてもらえば良いさ、俺から言ってやる」
などと話している間にグロフが着いた。
「う~~む、少し遅れたか・・ 体力なら自信あるんだが、水の抵抗が大きいな」
「ふっ 速さなら俺のほうが上だ、恐れ入ったか」
そこへ更に遅れてフレアとジョーイが泳ぎ着いた。
「あら、今度はネビィと競争ですの?」
「やっぱり私は潜水のほうがいい~ 疲れたー」
浅い水路との境目に張られたロープに掴まりジョーイはぐったりとしている。
二人とも一周してきたのだろうか。
「ちょうどいい、アイリス達を見ていてくれよ。 俺は次、ネビィと勝負だ」
「あら良いですわよ、次はあの二人を鍛えてあげますわ」
レフに言われてニヤリとフレアが二人を見つめると自分達のことと気づいたのか、リーシャがギクリとして振り向いた。
「え、あの、私達はゆっくりと泳いでますので・・」
「いけませんねそんなことでは・ 冒険に関わる以上は何が起きるかわからないんですから常に備えておかないと・ねぇ」
微笑みながらも有無を言わせないように見つめる(睨む?)と、リーシャの顔がひきつりたじろいでアイリスが耳元で「ファイト」と、囁いた。
フレアは良いことを言う。 常に備えよ・やはり水着だろうと緊急用のツールをつけておくべきなのだ、そうしよう。
レフとのレースはこちらの勝ちとなった。
むこうはグロフとの勝負が終わったばかりの疲れもあるだろうが、こちらは幼少のときよりあの父さんに鍛えられているのだ。
しかも武器を身に着けて川を泳がされるなどしょっちゅうだから、水着だけでプールをなど楽な事この上なくて申し訳ないほどで力を緩めておいた。
「ぬぬぬ・ 早いとは思ったが俺が負けちまうとは、くそう」
「ネビィは子供とはいえ鍛え方が違うな、あっぱれだ」
「やったね~ おめでとう、パチパチ」
グロフからの称賛とミミィからの拍手を受ける。
なかなかいい気分ではあるが、リーシャ達はどうなったろうか、フレアに鍛えられているはずだがどこに行った?
「ん? フレアたちならほれ、あそこで練習してるぞ」
グロフが指さす先、他の客のむこうにフレアとリーシャ、ジョーイとアイリスがそれぞれ組んで・・あれはその場泳ぎだろうか。
フレアとジョーイがリーシャ達の足を掴んで泳がせている・・ 足?
手ではなく、足?
「あれはフレアが考案した練習法でな、自由に泳がせながら鍛えるんだそうだ」
「俺もやらされたことあるがな、足を引いたり押したりして抵抗を加減するんだと。俺のときはめちゃくちゃ引っ張られたがな、きつかったぞ~」
グロフとレフが説明してくれたが・・なるほど、父さんほどではないがなかなか厳しい先生だ。
それにしても、アイリスは泳ぎが苦手かと思っていたが意外に平気そう・だな。
リーシャのほうがつらそうに見えるが、気のせいか?
「アイリスは魔力で強化をしてるようだな、あの子の魔力なら余裕だろうな」
「リーシャは自分への強化は苦手なんだよな、他人へはできるのに」
ああそうか、だからリーシャはしんどい思いを。
彼女から強化を受けた身としては申し訳ない気がする。
「ぷわっ」
そこへ水面からミミィが飛び出してきて息を吐いた。 潜水していたらしい。
「見てみてこれ、エビ捕まえちゃった!」
言って上げたその両手には・・エビ? 大きな爪の前足・・は、ザリガニではと思ったがそれは言わないでおく、大きな獲物があった。
「おお、やったな。 じゃあ出店で焼いてもらうか」
「ならば休憩で昼食としよう。 肉や焼きそばの店もあるぞ、飲み物も」
「なら、リーシャ達も・・ お~い、ご飯にしよう」
声をかけるとリーシャが振り向いてホッとした顔をしフレアは少し不満そうだが、アイリスは目ざとくエビ?に注目していた。




