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クリスタル・ロード ~失われない大国の王を目指して~ 【35000PVを感謝します】  作者: 前田  裕也
2 目覚めの章

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230/252

クリスタル・ロード 0230  去りし後

 勝手なことばかり言ってさっさと退散ですか。


最後までとことん勝手な奴、だな。 


だけど、自分もかな。  あいつのお陰で自分がここにいるのに文句を言って。

前の世界でも自分一人の考えで失敗して・だ。

さんざん巻き添えを出したんだったか。


なんて勝手なやつなんだろう。 挙句の果てに自分だけここで生きているとは。

ゴメンな、みんな。



 辺りが暗くなっていく。 



どんどん暗くなって・・・・ ついに真っ暗になった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   



 そしていきなり眩しいほど明るくなった。


開きかけていた目を固く閉じるとそばで声がする。


「ネビィ、私のことわかる?! 見えてる?」


ん~~~~~~ ?


ようやく見えてくるとリーシャの顔がすぐ近くにある。

覗き込むようにこちらを見ているが、何かあっったのか。

ああ、そういえばあのデカいアリが目の前に迫ってきて・・・・どうしたっけ?

あれから、 あれから・・・・・ ?  あいつはどこに行った? 死んだか?


倒せたのか? リーシャ達は無事だったか。



 「良かった、助かったんだ」  

「う、うん、 大丈夫だよ・・ みんな」


リーシャの顔が近くにあってなんだかホッとした。

いつの間にか思い出したが、前の世界で自分の娘はリーシャと歳が近く面影が少し似ている。

そして最後に見たときは(むくろ)になっていた。 青白い顔で。


 リーシャの鼓動が聞こえる、生きていることを示す音がしてとても落ち着く。


「あら」 「お!」 「あ・・」 「んん?」


回りから妙な声が挙がってなにかと思い見ると注目されている。

なんだと思うと、いつの間にかリーシャを抱きしめていた。


 「あ」  


 しまった、つい気が緩んでこんなことを。 自分の娘のようなつもりで・・

離れようとするとなんだか右手が妙に重く、しびれている。

ドラゴンソードを持ったままなのに気づいた。 

それが発動したらしく大木の洞が大きく裂けてアリの死骸の一部らしきものが辺りに散らばり焦げた匂いと煙がただよっている。


「自分が倒した・・・・・か? ・・・・・ あいつを?」


「そうだよ、私達が隠れたとき・・ すごい音がして、木が揺れて地震みたいに」

「そうそう、凄かったよね落雷みたいで大揺れで、心臓が止まるかと」

「ああ、悪かったなネビィ一人に任せちまって」

「全くだ。 大人が隠れてるとは恥さらしで・・すまん」  


ジョーイ達も近くでほぼ同時に話すので急に賑やかになったようだ。

皆無事のようで、ホントに良かった。


 右手の力が抜けて重い剣がゆっくりと下り、床に音を立てて刺さる。


「おっと!」


更に力が抜けて後ろに傾いた体をグロフが支えてくれた。

抱きしめていた左腕も下がって、両腕が脱力してぶら下がっている。


「ネビィ」

「問題ない、ケガは無いようだし疲労だろう。 回復を頼む」


リーシャが心配そうに見ているがグロフが抱えて床に寝かせてくれる。

一番無事でないのは自分のようだが、右手が火傷しているせいらしくヒリヒリしてきた。  竜の力の発現でか、前も熱かったが今回はなおさらだ。


 回復をアイリスをしてくれているがなぜか睨まれているように見える・?

リーシャは顔がやや赤いし、フレアは少しニヤけているような気がするがなぜだ。

ジョーイは干し肉を齧りながらこちらを眺めている。

何かいつもと雰囲気が違う。



 「アリ達はもういなくなったのかな」


もしまた来たら今度は対処が出来ないのではと不安になって来たが、皆は違うのか?

横になったまま聞くとグロフが答えた。


「ああ、洞の外を見てきたが一匹もいない。 気配も無いそうだし不思議ではあるがいなくなったとしか言いようがない。 そもそも現れたのもいきなりだしな、この大木もそうだがわけがわからん、どんな仕掛けなんだか」


 仕掛け・・・ そうか、あの人物の仕掛けというのもありうるか、あれも戦に使われた技術だから? 見せたのだろうか。

「無用な形態、残忍さ」 だったか。


あんなものさえ伝えていくのか、必要なのか?


あの文明を捨てていく人達もいると聞いたが、生き残るのはどちらだろう。

そして自分達は生き残れるのか。



「ねえねえ、あの棚の向こうは別の部屋でねもっと石板があるんだよ、しかも上への通路もあるし後で調べようね」


ミミィが嬉々として話しかけてきた。   

知識欲と好奇心が止まらないようだ。

粗野な民族と揶揄されながら魔法を発展させたここの人々、いずれ彼らの技術に追いつくとしたら文明を伝えなくとも自分達で考えることになるか?


 だから彼はあえて(のこ)していくと決めたのだろうか。




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