クリスタル・ロード 0229 魂の共鳴
「勝手なことばかり言ってすまないが、君にとっても得るところはあるはずだ」
得るところ・・・・ 自分にとって・・ そうだな。
ここでの生活は悪くない。
前の場所では出来なかったことがここではできそうな気がする。
そのための物もあるし、良い親も隣人も仲間もいる。
亡くなった人は戻らないがやり直す機会は得られた。
それだけでも奇跡のような幸運なのだから、文句を言う立場では無いか。
自分だけが生きていて良いのだろうかとも思う・が、自分の経験が役に立つなら、ここの人達が無事に過ごせるようにしようと思える。
これは神の采配なのかと考えていたがどうやらそうではなかったらしい。
この人物が私を呼んだと・・・・ どうやってだ? 神では無いのに?
それも遺跡文明の技術なのか?
「色々と思うところはあるだろうが、まずは聞いてくれ。 これが一番大事なことだからどうか心に留めてほしい」
大事な事か、消去する方法だった・か。
何やら重そうな話だがな、一応は聞くとしよう。
「もし文明を悪用しそうになったとき、この方法を使って我等の技術、道具を全て消す方法を遺しておこう。 それには特別なキーを用いる」
ここで言葉が途切れ、彼は後ろを向いて壁の戸棚を開き棒?を取り出した。
それをこちらに向けるとそこがはっきりと見えてくる。
杖、だな。 白木だろうか、艶のある細身のもので頭には鳥の飾りで・・・・あれはどこかで見たような?
どこだっけ・・・・・・・・・?
ああ、リーシャが持っているあの杖か、確か遺跡の隠し部屋だったよな。
「これがそのキーとなるもので、これには特殊な細工がしてあり私の意思を代行する」
代行・ね、そういえば魂が入っているとか聞いたような。
リーシャと話ができるとかなんとかで。
「遺跡の中にこれを隠しておくが、君はいずれ見つけることになるだろう。 あるいはもう見つけているかもな、君の魂を引きつけるよう仕組んであるからだ」
・・・・・・・・・・・・・・・・
惹きつける? どうやって・・・・・ 。
「この、魂に関しては君らの技術を使わせてもらったのだ。 魔法だけでなく君達は魂に関してまで応用を始めた。 あれこそ驚いたね、我々が考えなかったことまで研究を始めたからだ。 その一部で私は君の魂を他の世界から呼んだのだ。
私に近い魂を呼び込もうと考えて研究を続け、それは成功した」
魂を・呼ぶ? 近い魂?、 そんな事が・・・ できるのか?
しかし自分はここにいるし、それができるからか。
「時間があればもっと研究を続けられるのに、残念だよ。 そちらの研究もどれほど進むのか非常に興味深いが、見届けることが出来ないとは。 共同で進められたらどんなに良かったかと今でも思う」
魂、か、そういえばミミィの師匠の・・グラナダさんが言っていたな。
魂がズレているだったか、あのときは意味がわからなかったが魂の研究とはそのことだろうか。
「話が少しそれたかな、そしてこの杖がキーとなるのだがまずこれを見つけ君が所有してほしい。 そして厳重に保管を」
・・・・・・・・・ もう他人が持ってるんだがね、リーシャなら問題ないか。
売り飛ばしてしまいは・・ 無いだろう。
もしそうなりそうなら買い取ることにしよう、それでいいよな。
「杖の場所は知らなくとも問題ない。 これは君の魂に呼応するからで、この世界に呼んだのも同じ方法だ。 これを私は ”魂の共鳴” と呼んでいる」
「魂の共鳴」ね、あのときはともかく今はリーシャと気が合うようだが、まあ良いか。
預けているのだから気が合うに越したことはない。
それであの杖を使ってどうしろと?
「全てを消そうと思ったときは、こう杖に唱えるのだ。 ” 最後の刻を共に告げよう ” と」
さいごの・とき・を・・
「この言葉を君は決して忘れない。 今、君の魂に焼き付けたからだ。 忘れたように思ってもその時が来れば必ず思い出す、だから心配はいらない」
そうか、メモしなくて良いのは助かるな。 今は紙もペンもない。
忘れてしまうかと思った。
「使うかどうかの判断は君に任せる。 そちらの世界に幸あらんことを望む、我等の技術を、文明を役立ててくれ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そうして彼の姿はぼやけ、光の中に消えていった。
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