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世界を救ったのは剣豪でもなく陰陽師でもなく薬師?だったんですよ!  作者: 氣愛注入


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からくり人形作戦会議


第二の門を離れた一行は、山頂の社へ戻り、それぞれ腰を下ろした。


「……まいっ たな、あんな相手は初めてだ」


「武蔵! お前もか」


「俺の剣が届く頃には、もう次の場所へいやがる、速いなんてもんじゃねえ」


「私もです、一太刀をかわしたと思ったら、もう次の攻撃が始まっていました、あれでは剣筋を読む暇もありません」


「わしの結界も間に合わなんだ、あれほど動かれたら守るだけでも精一杯じゃ」


「私の式神でも追い切れませんでした、札を放つ頃には、すでに別の場所へ移っておりました」


「私が回復へ向かった時も狙われました、前だけを見て戦っている相手ではありませんでしたね」


「皆さんも同じことを感じていたんですね」


「ワイチ、何か分かったのか」


「皆さんの話と、私が診た内容を合わせると、柞雷のことが少し見えてきました」


「まず一つ目です、柞雷は一回の行動で三回動いています」


「やっぱり見間違いじゃなかったか」


「私たちには三回動いたように見えますが、本人にとっては一連の動きなんです」


「そして二つ目です、柞雷は武蔵や小次郎だけを見て戦っていたわけではありません」


「確かに、私まで狙われました」


「晴明さん、空海さん、ナリアさん、後衛全員の位置を見ながら、一番効果的な動きを選んでいました」


「前衛を相手にしながら後ろまで見ておったとはな」


「そして三つ目です、腹にある結晶です」


「あの結晶には気も血も潤水もありませんでした。瘴気が腹の結晶から出て満たされていました」


「なるほど、からくり人形という見立ては間違っておりませんでしたか」


「奴は、生き物ではありません、人間と同じ戦い方では勝てない相手です」


「特に二つ、気になったことがあります。一つは封じの仮面です」


「私の術は、あれで封じられました」


「わしの結界も同じじゃ、あれを受ければ何もできん」


「私も回復に向かったところを狙われました」


「後衛を封じられると、一気に苦しくなりますね」


「同じ手は二度と受けたくねえな」


「何か方法はありませんか」


「一つだけ、思い当たる薬があります」


「ワイチさん、あの薬でしたよね」


「ええ、封じを弱める薬です。効く可能性はあります」


「作れるのか」


「レシピはあります。ですが、材料がありません」


「まずは緑の狸の里へ戻って、材料があるか聞いてみましょう」


「ただ、あまり強い薬ではありません。封じを必ず防げるとは言えません」


「わしにも一つ方法はあるんだが、後光の技は封じの術を寄せつけんこともできる」


「じゃが、長くは持たんのよ、後光が薄れれば、封じの仮面は飛んでくる」


「でしたら、後光と薬、両方を用意した方がよさそうですね」


「まずは薬の材料集めを緑の狸の里まで戻って聞いてみましょうか」


「そして、もう一つなんですが。」


「二つ目は、黒い雫です」


「あれほどの力を持つものが、無制限に使えるとは思えません。前回、若雷は、黒い雫を入れた袋を持っていましたが、柞雷は持っていませんでした。」


「だから、そんなに持っていないんじゃないかな?と。予想ですが。」


「つまり、復活にも限りがあるということか」


「それでも、何度も復活されたら厄介ですね」


「だったら、その心配はいらねえかもしれねえ」


「俺には滅魂打って技があるんだ。この技は、魂そのものを砕くための技なので、復活する相手でも、魂ごと砕けば戻ってこねえ。」


「ただ、相手の命がある程度削れたところで叩き込まねえと決まらねえんだ。俺の打撃に威力がねぇからな。武蔵や小次郎たちで追い込んでもらって、最後を俺が叩く」


「分かりました。黒い雫の対応作は、今のところ滅魂打だけですね」


「あとは、相手の動きを見ながら、その場で判断するしかありません」


「作戦は目安までだな」


「そうですね。状況が変われば、その場で動きを変えましょう」


「では、作戦会議はここまでにして、準備を始めましょう」


作戦会議を終えた一行は、緑の狸の里へ戻った。


「すみません、三吉さん」


「あれ.ワイチさんどうしたんですか?黄泉坂で何かありましたか?」


「ちょっと急ぎなんですが、封じを弱める薬を作りたいのですが、材料は残っていますか?」


「封術弱薬ですか?申し訳ありません、最近は材料がほとんど採れなくなってしまって、残っている材料では三つ分しか残ってないんですよ。」


「三つ分もあれば十分です。調合室をお借りします」


「もちろんです、こちらへどうぞ。」


「ナリアさん、ワイチさん材料はこちらです。」


「私が下ごしらえをしますので、ワイチさんは最後の配合をお願いします。」


「三吉さん、このくらいで大丈夫ですか?」


「もう少しだけ細かくしてください。その方が薬液となじみます」


「これならどうでしょう?」


「大丈夫です。薬液へ少しずつ加えてください」


「色が変わってきました」


「順調です、そのまま混ぜてください」


「最後の配合に入ります」


「お願いします」


透明だった薬液は淡い青色へ変わり、やがて三本の薬瓶へ注ぎ分けられた。


「これが封術弱薬です。必ず封じを解除できる薬ではありませんが、効けば術を弱められます」


「ありがとうございます」


「そういえば、ワイチさん一つ思い出しました」


「天照大神様の社に、以前、奉納した薬が棚の一番下の引き出しに、一本だけ解除薬があったはずです。」


「それなら、社へ戻って確かめてみますね、ありがとうございます。」


一行は緑の狸の里を出て山頂の社へ戻り、奉納箱の一番下の引き出しを開けた。


「この木箱ですかね?」


「早速、開けてみましょう」


木箱の中には一本の薬瓶が納められていた。


「これが解除薬ですかね?」


「天照大神様が残された物なら、大切に保管されていた理由も分かります」


「封術弱薬が効かなかった時のために、最後まで残しておきましょう」


「これで準備は整いました。第二の門へ向かいます」


次回予告


村政宗だ。


封じの仮面への備えもできた。


黒い雫への対策も整った。


あとは、第二の門で待ち構える、あのからくり人形をぶっ飛ばすだけだ。


次回、第78話「からくり人形をぶっ飛ばせ」。


見逃すんじゃねえぞ!

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