最初の門
天照の社を後にした一行が山道を下ると、視界の先に黄泉の門が重々しい姿を現した。
その手前には、赤い二つの光が見えた。
前へ進むにつれ、その光は一つ、また一つと見え始め、気がつけば無数の赤い光が闇の中からこちらを覗いていた。
さらに歩みを進めると、その正体が明らかになった。
屍と化した武者や侍、首だけの死霊が門の周囲を埋め尽くし、血走った目で一行を見つめていた。
「おいおい、なんだこの数は……! 退屈しねえでいいぜ!」
門の周囲を埋め尽くす屍武者や屍侍が、一斉に一行へ押し寄せた。
「片端から斬り伏せるだけです。行きますよ」
小次郎の言葉と同時に、一行は屍武者の群れへ飛び込んだ。
小次郎の刃が飛びかかってきた屍武者の鎧ごと胴を断ち切った。
続いて武蔵の双刀が迫る屍侍をまとめて薙ぎ払った。
「――『火炎の術・業火』!」
晴明が放った炎は屍武者の群れを包み込み、焼き尽くしきれなかった敵へ続けて術を放った。
「――『水の術・激流』!」
轟音とともに押し寄せた激流が屍武者を押し流し、道を切り開いた。
その背後から首だけの死霊が迫ってきた。
「危ねえ、後ろだ!」
キュウスケが炎をまとった掌底を死霊へ叩き込み、その動きを止めた。
「私に任せて!」
阿国の鉄扇が死霊を叩き落とし、そのまま動きを封じた。
しん吉は仲間たちの戦いを見守り、空海は結界を維持していた。
ワイチは周囲の気配を探り、ナリアは傷を負った仲間を癒やしていく。
やがて最後の屍武者が倒れ、黄泉の門の前には静けさが戻った。
「はははッ、上々の滑り出しだな」
「待て、あまり門へ近づきすぎるな。この先にはさらなる強敵が控えている。無駄な消耗は避けるぞ」
ワイチの言葉に、一行は門から十分な距離を取り、その場で休憩と補給を行った。
作戦を確認していると、阿国は何気なく川の向こうへ目を向けると、その先には、懐かしい人影が立っていた。
「お、お姉ちゃん?!」
姉は静かに微笑み、こちらへ向かってそっと手を振っていた。
阿国は川岸へ歩み寄ると。
「やっぱり、お姉ちゃんだ……」
胸に込み上げる想いを抑えきれず、阿国は言葉を続けた。
「本当に、ごめんなさい。素直になれなくて」
姉は優しく微笑んだ。
「阿国らしく生きてね」
その言葉を残し、姉の姿は霧の中へ静かに消えていった。
阿国は静かに前を向いた!
「これで迷いはない! あとは使命を果たすだけ!」
一行は再び黄泉の門へ向かった。
門の目前までたどり着いた、その時だった。
門の左右にうずくまっていた二頭の怪物が、ゆっくりと目を開き、一行を睨みつけた。
次回予告 阿国です♪
黄泉の門を越えた私たちの前に、二つの影が静かに姿を現しました。
この先へ進むには、あの二つを越えなければなりません。
待っているのは、どんな戦いなのでしょうか。
次回、第73話「魔犬阿吽」。
ぜひ、お楽しみに♪




