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世界を救ったのは剣豪でもなく陰陽師でもなく薬師?だったんですよ!  作者: 氣愛注入


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 破滅の疫災

闇神獣は巨大な翼を広げ、空高く舞っていた。


ナリアは懐から小瓶を取り出し、一気に飲み干した。


「少しでも魔力を戻しておかないと……。」


「ナリアさん、私にも一本いただけますか?」


空海も小瓶を受け取り、その場で飲み干した。


「武蔵さん、小次郎さん。気力回復の薬です。」


「それは助かる。」


「ありがたい。」


二人も薬を飲み干した。


「すまん、しん吉。少し卍足してくれるか。」


「おいらに任せるだ!」


しん吉は武蔵と小次郎へ卍足を施した。


マンモスドムとの死闘。


若雷との激戦。


誰もが疲労を隠せないまま、それでも闇神獣だけは止めなければならなかった。


「あの高さでは攻撃が届かない。まずは地上へ落とすぞ。」


晴明は五枚の符を放った。


「行け、天狗ども!」


五体の天狗が一斉に空へ舞い上がる。


「激流の術!」


激流が闇神獣の翼を呑み込み、白煙が一気に噴き上がった。


「岩塊の術!」


巨大な岩塊が闇神獣へ叩きつけられ、巨体が大きく揺らぐ。


「轟雷の術!」


稲妻が激流を貫き、闇神獣の全身を駆け抜けた。


グワァァァァン!!


闇神獣は羽ばたきを乱され、高度を維持できず地上へ落下した。


「今だ、いくぞ!」


武蔵と小次郎が同時に斬り込み、晴明の式神も四方から術を放つ。


阿国が笛を吹き鳴らすと、武蔵と小次郎の攻撃力が一気に高まった。


渾身の連撃が闇神獣へ次々と叩き込まれる。


翼には幾筋もの傷が刻まれたが、大したダメージは受けていない。


ガォォォン!!


低く響く咆哮とともに瘴気が一気に噴き上がった。


「何かが来るぞ!」


闇神獣の翼から無数の炎が降り注ぎ、鋭い爪撃が次々と襲いかかった。


空海は結界を張り直し、ナリアは傷ついた仲間へ回復魔法を送り続けた。


激しい攻撃に結界は軋み、空海とナリアの魔力は急速に削られていく。


闇神獣の猛攻は、始まったばかりだった。


「空海、結界を頼む!」


闇神獣が大きく口を開くと、瘴気をまとった業火が一気に吐き出された。


空海は結界を張り巡らせた。


業火は結界へ激突し、激しい爆炎を巻き上げた。


炎は防いでいるが、瘴気をまとった黒い炎は結界へ燃え移り、勢いを増しながら結界全体を包み込んでいく。


「ナリア、回復を頼む!」


ナリアは武蔵と小次郎へ回復魔法を送り続けた。


闇神獣の甲羅から一枚の装甲片が外れ、高速で回転しながら武蔵へ襲いかかった。


武蔵は刀で弾き返したが、弾かれた装甲片は軌道を変え、小次郎の肩を切り裂いた。


鮮血が舞い上がり、さらに二枚、三枚と装甲片が飛来する。


武蔵と小次郎は斬り払い、かわし、前へ踏み込んだ。


避け切れなかった装甲片が腕を裂き、脚を切り裂き、全身へ次々と傷を刻んでいく。


ナリアの回復魔法が傷を塞ぐが、次の瞬間には新たな裂傷が刻まれた。


回復しては傷つき、傷ついては回復する攻防が続き、ナリアの魔力は急速に失われていく。


燃え続ける結界へ魔力を注ぎ込み続ける空海の額からも汗が流れ落ちた。


「晴明、このままじゃ押し切られるぞ!」


五体の天狗が再び術を放ち、式神も四方から闇神獣へ襲いかかった。


阿国が笛を吹き、武蔵と小次郎のスピードが一気に上がる。


「二刀流・天魔剛衝斬!!」


武蔵が渾身の一撃を振り抜き、巨大な斬撃が闇神獣の胸元へ叩き込まれた。


「瞬燕流・神風牙!!」


小次郎の斬撃が疾風となって闇神獣の翼を駆け抜ける。


グォォォォッ!!


闇神獣の巨体が大きくのけ反り、翼から黒い羽根が舞い散った。


だが次の瞬間、巨大な爪が武蔵へ振り下ろされる。


武蔵は刀で受け流したが、衝撃を殺し切れず肩口が深く裂けた。


続けざまに尾が薙ぎ払われ、小次郎は身をひねってかわすも、尾の先端が脇腹を抉り、鮮血が地面へ飛び散る。


さらに闇神獣は翼を大きく震わせ、無数の装甲片を撒き散らした。


武蔵は腕を切り裂かれ、小次郎の頬からも鮮血が流れ落ちる。


二人は血を滴らせながらなおも闇神獣へ踏み込む。


闇神獣は巨大な翼を打ち下ろし、凄まじい衝撃波で二人を弾き返した。


「このままじゃ埒が明かねぇ……。」


「なら、一撃で決める。」


二人は闇神獣を見据え、残された力を刀へ込め始めた。


武蔵と小次郎は全身を血に染めたまま闇神獣を見据えていた。


「まだ……いけるか?」


武蔵は口元を伝う血を手の甲で拭った。


(あの技をもう一発やるしかねぇ……。)


小次郎の肩から流れ落ちる血は左腕を伝い、刀の柄を赤く染めていた。


「いけるなら……派手に行くぞ。」


二人は同時に駆け出した。


キン――


刀を抜く音だけが響く。


「瞬燕流・奥義――」


「飛燕一閃!!」


一直線に駆け抜けた斬閃へ武蔵が飛び込む。


「二刀流・終技――」


「天魔絶界斬!!」


二つの斬撃が重なり、


「巌流――!!」


「断閃双燕斬!!」


轟音が天地を震わせ、巨大な斬撃が闇神獣を真っ向から切り裂いた。


グァァァァァ!!


裂け目から瘴気が噴き上がり、闇神獣の巨体が大きくのけ反った。


「ハァ……ハァ……。」


武蔵は刀を構えたまま荒い息を吐いた。


「手応え……ありだ。」


その瞬間、闇神獣の赤黒い目が大きく見開かれ、巨体が軋むほど息を吸い込むにつれて腹がみるみる膨れ上がり、逆立った尻尾が小刻みに震え始めた。


「何っ! 特大闇咆哮だと!!」


「ワイチ、危ない!!」


小次郎はワイチを突き飛ばした。


漆黒の奔流が空間を押し潰し、轟音が天地を揺るがし、熱風が大地を抉り、燃え続ける結界が激しく軋む。


「うわぁぁぁぁぁ!!」


衝撃と爆炎が戦場を覆い尽くし、土煙が一気に舞い上がり、やがてゆっくりと晴れていった。


そこには片膝をついた小次郎の姿が見え、足元から夥しい血が流れ、大地を赤く染めていた。


「小次郎、大丈夫か!? どこを怪我した!?」


武蔵は駆け寄り、その姿を見た瞬間、声を張り裂けさせた。


「小次郎――!」


「お前……腕が――!!!」


次回予告


武蔵だ。


目の前で相棒が腕を失った。


あの瞬間の光景は、この先も忘れることはねぇ。


だが、ここで立ち止まるわけにはいかねぇんだ。


この決戦に、必ず終止符を打つ。


次回――


第59話 決戦の果てに


最後まで見届けてくれ。

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