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世界を救ったのは剣豪でもなく陰陽師でもなく薬師?だったんですよ!  作者: 氣愛注入


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調査報告、そして東の洞窟

「今の……なんだったんだ?」


ワイチは竜らしきものが飛んでいった方を見たまま、その速さと美しさに見惚れていた。


「あんなもん初めて見たな。」


「よくは見えなかったが、青かったのぉ。それにしても美しかった。」


「あれも魔物なんでしょうか? かなり大きかったですが。」


「さあな。ただ、あれはあまり斬りたくねえな。」


「武蔵がそんなこと言うなんて珍しいですね。」


「俺だって何でも斬りてえわけじゃねえよ。」


「また見たいものですね。」


「皆さん、そろそろ戻りませんか? 報告もしないと。」


「そうですね、急いで戻りましょう!」


ワイチたちは街へ向かった。


◇


宿屋で一晩休み、翌朝ハロルドのところへ向かった。


ワイチは戦いで手に入れた黒い結晶と、街道で拾った小さな結晶を机の上へ並べた。


「牙兎と風切蛇を倒した後に出てきました。それと、別の場所にはこういう小さな黒い結晶が落ちていたんです。」


「最初はただの石だと思ったんです。でも、牙兎がそれを食べました。」


「食べた?」


「はい。すぐには何も起きなかったんですけど、しばらくしたら身体が大きくなって、目つきまで変わったんです。別の牙兎まで襲っていました。」


「あの牙兎、仲間まで蹴り飛ばしていました。」


「風切蛇も凶暴化してたぞ。同じ風切蛇を何度も攻撃して殺してやがった。」


「普通ではなかったのぉ。それに、おかしくなった奴同士では戦っておらんかった。」


「凶暴化した個体同士では争っていませんでしたね。」


部屋にペン先を走らせる音だけが響き、ハロルドは話を書き留めていった。


「そうだ! もう一つ報告があります。」


「まだあるのか?」


「東の街道から少し戻った場所で休んでいたら、青い影みたいなものを見たんです。龍みたいで、はっきり見えたわけじゃないんですが、とても綺麗でした。」


「なんだと、青い影だと。それは本当か?」


「全員見ています。」


「龍に見えましたよ。」


「本当に綺麗でした。」


「速かったし、かなり大きかったのぉ。」


ハロルドは壁際から地図を持ってくると、机へ広げて東の一点を指した。


「この先には洞窟があると言われている。」


「洞窟?」


「青龍の洞窟だ。そう呼ばれているが、誰も本当に見たことはない。そして、そこは聖域でもある。」


「じゃあ、俺たちが見たのは青龍だったのか?」


「いや、お前たちが見たものは伝承の青龍とは違うかもしれん。」


「違う? なんで?」


「伝承の青龍は百メートルを超えると言われているからだ。」


「百メートル!?」


「そんなに大きくはなかったですね。大きく見ても十メートルくらいでした。」


「なら別物だろうな。それより、東の街道のさらに奥を調べてほしい。小さな黒い結晶があるなら回収しなければならん。それと青白い男だ。そいつも見つけたい。」


ハロルドは地図の東側を指した。


「絶対に洞窟へ入るなよ。聖域だからな。本当に入るな。」


◇


翌朝、一行は再び東へ向かった。


牙兎を倒した場所を越え、さらに奥へ進んだが、黒い結晶は見つからず、青白い男の痕跡もなかった。


「昨日はあれだけ見つかったのに、今日は何もありませんね。」


「隠したか、撒く場所を変えたか。」


「どちらにしても、自然に落ちているものではなさそうですね。」


さらに奥へ進むと、血の匂いが鼻を突いた。


「……あれ。」


草むらの先に剣虎が倒れていた。


腹は食い破られ、周囲には骨と黒い欠片が散らばっている。


ワイチが欠片を拾い上げた。


「これ……黒い結晶だ。」


「仲間を食ったのか……?」


グルルルル……。


森の奥から剣虎が姿を現し、さらに反対側からもう一体、その奥からも一体と、三体とも口元を血で染めながらワイチたちを囲んだ。


「来るぞ!」


三体が同時に襲いかかった瞬間、


シャキーン――!


銀色の光がその間を駆け抜けた。


「瞬燕流――飛燕!」


三体の剣虎がほぼ同時に地面へ転がった。


「すごっ……何したんですか!? 全然見えなかった!」


「瞬燕流の剣技、飛燕です。」


晴明が倒れた剣虎の腹を裂くと、中から黒い結晶が転がり出た。


「こいつらも食ったんだな……。」


武蔵はそのまま先へ進み、木々がまばらになるにつれて足元の土も岩混じりへ変わっていった。


「なんか景色が変わってきましたね。」


「東の奥なんて誰も来ないからのぉ。」


さらに進むと森が途切れ、一気に視界が開けた。


「でか……。」


目の前には巨大な岩壁がそびえ、上を見上げても終わりが見えなかった。


「山じゃないのか?」


「違います。あれを見てください。」


岩壁の中央に、巨大な黒い穴が口を開けていた。


「洞窟だよな……?」


「おいおい……洞窟って、まさか。」


一行が入口まで近付くと、その奥は何も見えないほど深い闇に包まれていた。


冷たい風が洞窟の奥から流れ出し、ワイチたちの間を吹き抜けていった。


皆、目の前に広がる闇を見ていた。

次回予告


小次郎です。


私の秘剣、飛燕。


どうでしたか?


少しは皆さんのお役に立てたなら嬉しいですね。


ですが、問題はまだ終わっていません。


次回、『青龍の洞窟』

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