青筋立ててやってやるぜ
伏雷と屍兵たちの猛攻が続く中、村正宗が玄武の盾を地面へ突き立てた。
「きついが、やるしかねえ!痛いが我慢、ここから反撃だ!」
盾から手を離した正宗のこめかみに太い青筋が浮かび上がった。
「亞御寿磁鍛鬼!(あおすじたんき)」
正宗の身体に白いオーラが纏った。
「正宗さん、何をしてるんだ!それにその姿は?!」
ワイチが駆け寄ろうとしたところへ手裏剣が飛び、正宗の胸へ突き刺さる。
「おい、正宗、何やってやがる!早く盾を構えろ!」
武蔵の怒鳴り声に屍陰陽師の術が重なり、正宗の身体を打ち抜いたところへ伏雷のオレンジ色の雷まで叩きつけられた。
「正宗さん、ダメです、すぐそこから離れてください!」
ナリアが駆け出すと、正宗が飛んできた手裏剣を肩で受けながら押し返す。
「来るな!俺に構うな!今からとっておきの技を発動しているんだ。ダメージをわざと受けてんだ!」
「とっておき?!わざとって、そんなことしたら死んじゃうよ!」
きゅうすけが叫ぶ間にも屍陰陽師の術が腹へ炸裂するが、正宗の身体には傷も出血も現れず、こめかみの青筋だけが首筋へ向かって太く伸びていく。
「なんで傷がないんだ?」
「亞御寿磁鍛鬼は、受けた痛みをこの身体に溜め込む!限界の手前まで溜めて、全部まとめて叩き返すんだ!」
「そんな無茶な技だったら、おいらたちを守れないじゃん!」
「今は一体でも落とすのが先だ、とにかく守れねぇから自分達でなんとかしろ!」
「だったら俺たちで前を潰すぞ!」
武蔵が踏み込み、小次郎も伏雷へ向かって走り出した途端、二人の足枷が光って勢いを止めた。
「くそっ!またこいつのせいで近づけねえ!」
「これでは飛燕も使えません。せめて、この足枷さえなければ……!」
「ホーッホッホッホ!近づけないなら何もできないざますね!」
伏雷の背中から無数の棘が突き出し、オレンジ色の雷が一斉に放たれた。
「また来るな!皆さん、ワシの後ろへ!」
空海が絶界を広げると、降り注いだ雷が光の壁へ次々と炸裂し、足元の地面まで激しく揺れた。
「この程度なら、まだ持ちますぞ!」
屍忍者が絶界の外側を駆け、小刀をオレンジ色に光らせながら飛び込んでくる。
「右から忍者が来るよ!」
ワイチの声に空海が振り向くより早く、小刀が絶界へ突き刺さり、光の壁が一気に砕け飛んだ。
「結界破りか!」
武蔵が刀を構える間もなく雷が雪崩れ込み、仲間たちが地面を転がった。
「皆さん、そのまま動かないでください!」
ナリアが鐘を鳴らすと、リカバリーベルの光が戦場へ広がり、しん吉ときゅうすけも倒れた仲間たちへ走った。
「武蔵のおっちゃんは、おいらがやる!」
きゅうすけが伏雷の雷を避けながら叫び、しん吉は地面に転がったワイチのそばへ駆け込んだ。
「ワイチ、ポーション借りるよ!」
「袋に入ってる!使って!」
しん吉がワイチの袋へ手を突っ込み、ポーションを掴んで武蔵へ投げた。
「武蔵、これ飲んで!」
「助かるよ!」
武蔵が受け取ったポーションを一気に飲み干し、小次郎にも別の一本を投げて渡した。
「小次郎も急いで飲んで!」
「ありがとうございます!」
「まだ来ますぞ!離れないでくだされ!」
空海が絶界を張り直した直後、伏雷の雷が再び光の壁へ炸裂した。
「ホーッホッホッホ!また割ってしまうざます!」
屍忍者が小刀を光らせて走り出し、晴明が印を結ぼうとした足元には屍陰陽師の影が伸びてきた。
「しまった、影縫です!」
「晴明さん、動けないの!?」
「すぐに解けます!それより絶界を!」
小刀が突き刺さり、張り直したばかりの絶界へ大きな亀裂が走った。
「また壊されるぞ!」
きゅうすけの声に、空海が懐から丸薬を取り出した。
「ここで飲むしかないな……」
手の中の丸薬を握ったまま、
「……ここでワシが倒れれば、皆を守るものがなくなりますな」
屍忍者が小刀を引き抜き、もう一度絶界へ振り下ろすと同時に、空海は丸薬を一気に飲み込んだ。
次の瞬間、全身から青いオーラが噴き上がり、砕けかけた絶界へ眩い光が走った。
「おおっ……これなら絶界を維持出来ますぞ!」
亀裂が広がるそばから空海の力が流れ込み、伏雷の雷を押し返していった。
屍忍者が再び小刀を振り上げた。
「無駄じゃ、今ならすぐに張り直せますぞ!」
小刀が絶界を砕いた瞬間、空海の両手から新たな光が広がり、雷が仲間たちへ届くより早く絶界が立ち上がった。
空海が張り直した絶界がオレンジ色の雷を押し返す中、武蔵が足枷に阻まれ、伏雷との距離を詰められずにいた。
「くそっ!空海があそこまで踏ん張ってんのに、こいつのせいで近づけねえ!」
「これでは飛燕も使えません。せめて、伏雷の棘を止められれば……!」
「なら、棘はこちらで止めます!」
影縫から解放された晴明が四枚の式紙を放つと四体の鬼が現れ、続けてもう一枚の式紙を放った。
「酒呑童子、力を貸してください!」
酒呑童子が現れると、二体の鬼が屍盾武者へ向かい、残る二体の鬼と酒呑童子が伏雷へ殺到した。
二本の金棒が左右から屍盾武者の盾へ叩き込まれ、巨体を後ろへ押し込む一方、伏雷の背中にも別の二本が振り下ろされ、伸びていた棘が根元からへし折れた。
酒呑童子も続けて棘を叩き折った。
「私の棘に何するざます!緒死尾気挫魔蘇!」
オレンジ色の雷が二体の鬼と酒呑童子へ直撃し、三体をまとめて弾き飛ばした。
「棘が生えるまで時間がかかります!今のうちに足枷を解除してください!」
ナリアが武蔵と小次郎の足元へ両手をかざしたところへ、屍陰陽師の影縫が地面を走り、身体の動きを封じた。
「影縫です!これでは解除できません!」
「くそっ!あと少しだってのによ!」
伏雷の全身からオレンジ色の雷が噴き上がった。
「そのままビリビリ痺れるざます!美莉尾莉蘇留挫魔蘇!」
無数の雷がワイチたちへ襲いかかり、空海の絶界へ次々と炸裂した。
「ここは通しませんぞ!」
屍忍者が側面から駆け込み、小刀をオレンジ色に光らせた。
「空海さん、右から結界破りが来るよ!」
小刀が絶界へ突き刺さると亀裂が一気に広がり、そのまま砕け散ったが、残った雷が仲間たちへ届くより早く、新たな絶界が広がった。
「無駄ですぞ!今のワシなら、破られてもどんどん張り直せますぞ!」
雷で弾き飛ばされた鬼たちが起き上がり、二体が再び屍盾武者へ向かうと、左右から金棒を叩き込んだ。
その間にも屍歌舞伎者の演奏が響き、伏雷のオレンジ色の雷がさらに激しさを増した。
「歌舞伎者が雷を強くしてる!あの演奏を俺が止める!」
ワイチが屍歌舞伎者へ駆け込み、霊杭を打ち込むと演奏が途切れ、荒れ狂っていた雷が元の勢いへ戻った。
影縫が解けたナリアがすぐさま武蔵と小次郎の足枷へ両手をかざし、光が二人の足元を包み込んでいった。
「もう少しです!解除するまで耐えてください!」
その横では、白いオーラを纏った正宗へ屍陰陽師の術が炸裂し、続けて屍忍者の手裏剣が胸と肩へ突き刺さると、白いオーラが激しく揺れながら青へ変わった。
「まだだ、もっと来い!」
伏雷のオレンジ色の雷が正宗へ走った。
「そんなに食らいたいなら、たっぷり感電するざます!嚙電挫魔蘇!」
雷が胸へ直撃し、青いオーラが大きく波打ちながら黄色へ変わった。
その間に武蔵と小次郎の足枷が薄れ、そのまま消えた。
「やっと動けるぜ!これで斬り込める!」
「棘が戻る前に仕掛けましょう!」
二人が屍薬師へ向かって踏み込むと、屍盾武者が間へ割って入り、巨大な盾で進路を塞いだ。
「結局てめえをどかさねえと、薬師まで届かねえか!」
二体の鬼が左右から金棒を叩き込み、武蔵と小次郎も斬撃を重ねたが、屍薬師の回復術が屍盾武者を包み、受けた傷を癒やしていった。
「削っても薬師に戻されちまう!」
「なら、この盾を先に壊すしかありません!」
鬼の金棒と二人の斬撃が盾へ次々と叩き込まれる中、屍陰陽師の術が正宗の腹へ炸裂し、続けて屍忍者の手裏剣が胸へ突き刺さった。
黄色いオーラが激しく波打った。
「あと少しだ……!」
二体の鬼が再び金棒を盾へ叩き込み、屍薬師が回復術を使おうとしたところへ武蔵が斬り込んだ。
「何度も回復させるかよ!」
屍盾武者が盾を割り込ませて太刀を受け止め、その横から小次郎が回り込むと、盾が進路を塞いだ。
「これでは薬師へ届きません!」
「ホーッホッホッホ!何度やっても同じざます!」
伏雷からオレンジ色の雷が放たれた。
「緒死尾気挫魔蘇!」
雷が正宗を打ち抜いた瞬間、黄色いオーラが大きく膨れ上がり、一気に真っ赤へ染まった。
「ここまでだ!」
二体の鬼が金棒を盾へ叩き込み、中央まで大きな亀裂を走らせると、真っ赤なオーラを纏った正宗が駆け込んだ。
「そこを空けろ!」
鬼たちが左右へ退き、正宗が金槌を振りかぶった。
「溜め込んだ分、全部返してやらぁ!滅魂打!!」
金槌が盾の亀裂へ叩き込まれた瞬間、真っ赤なオーラが弾け、巨大な盾が中央から砕け散ると、その奥にいた屍盾武者まで一瞬にして塵となり、消え去った。
「今だ!薬師をやるぞ!」
「回復される前に倒します!」
武蔵と小次郎が左右から屍薬師へ迫り、武蔵の太刀が右から叩き込まれると、その身体が大きく傾いた。
小次郎が反対側から一気に駆け抜けた。
「瞬燕流―飛燕返し!」
返す刃が屍薬師を斬り裂き、その身体が地面へ崩れ落ちた。
屍薬師が地面へ崩れ落ちた直後、伏雷が黒い雫を二つ取り出した。
一つを屍薬師へ、もう一つを屍盾武者が消滅した場所へ放った。
「まだ終わりじゃないざます!カムバックするざます!」
屍薬師へ落ちた黒い雫から黒い靄が噴き上がった一方、屍盾武者が消滅した場所へ落ちた黒い雫は、地面へ染み込んだまま何も起こらなかった。
「ギャァァァァァァッ!!」
地の底から無数の絶叫が噴き上がり、黒い地面から半透明の亡霊たちが次々と這い上がった。
「早く成仏させてくれぇぇぇ!!」
「お願いだぁぁ!!」
亡霊たちが天へ向かって必死に手を伸ばした瞬間、地面から無数の黒い腕が現れ、足や腕、身体へ絡みついた。
「いやだぁぁぁ!!」
「助けてくれぇぇぇ!!」
亡霊たちが地の底へ引きずり込まれ、黒い靄となって屍薬師へ吸い込まれると、その身体が再び動き出した。
「オーマイゴッド!な、なぜざます!盾武者がカムバックしないざます!?」
「俺の滅魂打で倒した奴は、魂を浄化してもう復活できねえ!」
「な、なんですってぇぇぇ!?」
「今度こそ薬師を潰すぞ!」
武蔵と小次郎が同時に踏み込むと、屍忍者の手裏剣が二人へ降り注ぎ、武蔵が太刀で弾いた横から小次郎が抜けようとしたが、今度は吹き矢が立て続けに飛び込んだ。
「邪魔をしないでください!」
小次郎が刀で吹き矢を払いながら屍薬師へ迫ると、屍陰陽師の影が地面を走り、足元へ絡みついた。
「影縫ですか!」
小次郎の動きが止まったところへ屍忍者が手裏剣を投げ、武蔵が横から太刀で弾き飛ばした。
「薬師ばっか狙わせねえつもりか!」
屍忍者が武蔵へ吹き矢を放ち、その横へ屍陰陽師が並んで術を放とうとした。
晴明が扇子で、屍忍者と屍陰陽師を指して扇子を広げた!
「今です!酒舞蔵!」
ガアァァァァァァァ!!!
酒呑童子が口から神酒を高速で吐き出し、屍忍者と屍陰陽師をまとめて飲み込んだ。
「ギャァァァァァッ!!」
神酒を浴びた二体から黒い靄が噴き上がり、その身体が一気に消滅した。
「今だ!薬師をやるぞ!」
影縫から解放された小次郎と武蔵が左右へ分かれ、屍薬師へ一気に迫った。
「逃がさねえぞ!」
武蔵の太刀が屍薬師へ叩き込まれ、その身体が傾いたところへ小次郎が駆け抜けた。
「瞬燕流―飛燕返し!」
返す刃が屍薬師を斬り裂き、その身体が地面へ崩れ落ちた。
その直後、晴明の身体が大きく傾き、四体の鬼と酒呑童子の姿が薄れ始めた。
「晴明さん、大丈夫ですか?」
ワイチが駆け込むと、晴明の膝が崩れ、その身体を受け止めた。
「さすがに……霊力を使い過ぎました……」
四体の鬼と酒呑童子が消えると、晴明の身体から力が抜けた。
「晴明さん、ここは任せて休んで!」
「ええ……あとは、お願いします……」
伏雷の背中では、折られていた棘が再び伸び始めていた。
「よくも私の兵をここまで……!」
オレンジ色の雷が四本の前足から地面を走り、伏雷の全身を駆け上がると、そのまま次々と空へ昇っていった。
「もう良いざます!ありったけを喰らうざます!そして、全員まとめて黒焦げにしてやるざます!」
無数のオレンジ色の雷が頭上を埋め尽くし、一斉にワイチたちへ向きを変えた。
「洲護遺曽難傳燗電!!」
頭上を埋め尽くしたオレンジ色の雷が一斉に降り注ぎ、空海が両手を突き出すと絶界が大きく広がった。
「皆さん、ワシの後ろへ!」
轟音とともに無数の雷が絶界へ叩きつけられ、光の壁が激しく波打つ中、空海の全身から噴き上がる青いオーラも大きく揺らいだ。
「ホーッホッホッホ!全部まとめて黒焦げざます!」
雷鳴が途切れることなく響き渡り、オレンジ色の雷が絶界へ次々と炸裂した。
「ぬおおおおおおっ!」
空海が両手を突き出したまま踏ん張り、亀裂が走った絶界へ青いオーラが流れ込むと、光の壁が再び強く輝いた。
「まだまだですぞ!」
次の雷が絶界を砕き、その奥へオレンジ色の光が雪崩れ込んだ瞬間、新たな絶界が広がって雷を受け止めた。
「何度張っても同じざます!もっと落とすざます!」
絶界が砕けるたびに空海が張り直し、そこへ間髪入れず雷が叩きつけられ、青いオーラが少しずつ薄れていった。
ワイチが倒れた晴明を抱えて後ろへ運び、ナリアがリカバリーベルを鳴らす中、武蔵と小次郎が刀を構え直した。
「雷が止まったら一気に行くぞ!」
「ええ、今度こそ伏雷へ斬り込みます!」
「まだまだ終わらないざます!全部喰らうざます!」
無数の雷が絶界へ降り注ぎ、光の壁全体へ大きな亀裂が走った。
「ぬおおおおおおおおっ!!」
空海の青いオーラが一気に噴き上がり、砕けかけた絶界が眩い光を放つ中、降り注ぐ雷が次々と弾け飛んだ。
最後の雷が絶界へ炸裂し、眩い光が辺りを覆うと、雷鳴が途切れるのと同時に絶界が砕け散り、空海の青いオーラも消え、そのまま身体から力が抜けて地面へ倒れた。
ナリアが駆け寄ってリカバリーベルを鳴らすと、柔らかな光が空海の身体を包んだ。
「空海さん、あとは任せてください!」
「頼み……ましたぞ……」
伏雷の背中から再び棘が伸び始めた。
「ホーッホッホッホ!もう絶界はないざます!」
「だったら今度は俺たちの番だ!」
武蔵と小次郎が左右へ分かれて駆け出すと、伏雷の棘が二人へ飛んだ。
「キャッチするざます!」
二人が左右へかわしたが、地面へ突き刺さった棘から足枷が現れ、武蔵と小次郎の足を捕らえた。
「ちっ!またこいつか!」
「ナリアさん、足枷をお願いします!」
ナリアが二人の足元へ両手を向ける中、伏雷の全身からオレンジ色の雷が迸った。
「今度こそ感電するざます!嚙電挫魔蘇!」
ワイチが伏雷へ駆け込み、額へ霊杭を打ち込んだ。
ドスッ!!
「な、何するざます!?」
バリバリバリバリッ!!
放たれたオレンジ色の雷が額の霊杭へ流れ込み、そのまま伏雷の全身を駆け巡った。
「な、なんざます!?私の雷が戻ってくるざます!」
「雷は杭へ流れる!その状態で撃てば、全部自分に戻るぞ!」
「こんなもの、私にはノーダメージざます!」
伏雷が再び雷を放った。
バリバリバリバリッ!!
オレンジ色の雷が再び額の霊杭へ流れ込み、全身を激しく駆け巡った。
「ぐぬぬぬ……ダメージはなくても、これでは雷が使えないざます!」
ナリアの光が武蔵と小次郎の足枷を包み、拘束が消えた。
「行くぞ、小次郎!右の前足は俺が斬る!」
「では、左は私が!」
武蔵と小次郎が左右から一気に伏雷へ迫った。
「来るなざます!」
伏雷の背中から棘が飛び出し、武蔵が二刀で弾きながら右へ回り込み、小次郎も左から駆け抜けた。
武蔵の二刀が右の前足を斬り落とすと同時に、小次郎の刃が左の前足を斬り飛ばした。
「ギャアアアアアアッ!!私の前足がぁぁぁぁ!!」
二本の前足を失った伏雷の巨体が地面へ叩きつけられ、後ろ足でもがくたびに腹が地面を擦り、砂埃が舞い上がった。
「た、立てないざます!こんなのアンフェアざます!」
「散々こっちの動きを止めといて、何言ってやがる!」
「ま、待つざます!話し合えば分かるざます!」
「もう遅いです!」
武蔵が二刀を構え、小次郎も刀を構えた。
「小次郎、決めるぞ!」
「あれですね!武蔵さん!」
小次郎が伏雷へ一気に踏み込んだ。
「瞬燕流奥義――飛燕一閃!!」
ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!!
小次郎が伏雷の巨体を螺旋状に斬り上げ、連なる斬撃がその身体を宙へ巻き上げた。
「ギャアアアアアアッ!!」
伏雷が空中へ打ち上げられた瞬間、武蔵の二刀が振り抜かれた。
「終技――天魔絶界斬!!」
ズガァァァァン!!
巨大な十字の斬撃が空中の伏雷へ襲いかかり、飛燕一閃の斬撃と重なった。
「断閃双燕斬!!」
ドガァァァァァァン!!
螺旋状の斬撃と巨大な十字の斬撃が一つとなって伏雷を飲み込み、その巨体を一気に斬り裂いた。
「ギャアアアアアアアアッ!!」
ズズゥゥゥン!!
伏雷が地面へ叩き落とされ、巻き上がった土煙が戦場を覆った。
武蔵が二刀を構えたまま土煙の向こうを見据えた。
「手応えありだ!」
土煙の中で伏雷の全身へ無数の亀裂が走り、その隙間から光が溢れ出した。
「そ、そんな……私が……こんなところで……!」
裂かれた傷から黒い瘴気が噴き出した。
「木の葉丸ちゃぁぁぁん!!ママはもうすぐ帰るから、いい子で待ってるざまぁぁぁぁす!!」
断末魔が根の国へ響き渡った。
【次回予告】
武蔵だ。
ったく、伏雷の野郎には散々な目に遭わされたぜ。あれだけ雷を浴びせられて、よく全員生き残ったもんだ。
それにしても正宗の奴、攻撃を食らえば食らうほど青筋立てやがって、最後には真っ赤になって盾武者ごと吹っ飛ばしやがった。あんな戦い方、見てるこっちがヒヤヒヤするぜ。
空海も晴明も限界まで力を使いやがって……ったく、無茶する奴ばっかりだな。
次回、第102話「薬の代償!火雷からの連絡」。
まあ、人のことは言えねえけどな!




