第24話 怪物の母
SSランクダンジョンを攻略するため、【空間魔法】で一度日本へ転移した俺は、早速攻略を開始した。
ダンジョンの入口を潜ると、視界が一変する。
ゴツゴツとした岩肌の大地の奥には、天を貫くほど巨大な火山が聳え立ち、頂上付近が赤々と輝いていた。
上空は厚い雲に覆われ、絶え間なく雷鳴が轟き、思わず顔を庇いたくなるほどの暴風が吹き荒れている。
まさしく、天災の脅威を具現化したようなフィールドだ。
俺達以外にハンターが居ないのは当然として、目視と【万能感知】で確認すると、このフィールドに存在する魔物は一体だけだった。
火山の麓に居座る巨大な魔物を見据えながら、雷と暴風が吹き荒れるフィールドを進む。
【遠視】の有効範囲に入ったことで、その全貌が明らかになった。
メドゥーサのように整った顔立ちをしているが、髪の毛一本一本が真っ黒な大蛇であり、目は爬虫類のような縦長の瞳孔、口元には鋭い乱杭歯が生え揃っている。
視線を下へ向けると、身体は半人半蛇。上半身は豊満な女性の肢体で、下半身は大蛇のように太く長い尾へと変わっていた。
さらに全身には、赤と黒の鱗が交互に敷き詰められており、その装甲は一見しただけで分かるほど頑丈そうだ。
全長はおよそ100メートル。蛇尾で直立しているため、目の前に50メートルの巨人が立ちはだかっているような圧迫感がある。
【看破】を発動し、魔物のステータスを詳らかにする。
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(簡略ステータス)
・名称 エキドナ
・種族 人蛇怪母
・Lv.140
【能力値】
・魔力 1,460(1,050+410)
・筋力 1,335(1,050+285)
・頑丈 1,555(1,050+505)
・敏捷 1,390(1,050+340)
・知力 1,280(1,050+230)
・精神 2,065(1,050+1,015)
・器用 1,350(1,050+300)
・幸運 1,335(1,050+285)
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名称はエキドナ。
神話で〝怪物の母〟と呼ばれる存在と同じ名だ。
レベルは140。
他の〈狩猟王〉は分からないが、俺とほぼ同じレベル帯にある。
能力値の平均は1,471。
俺が討ち取った中国の〈狩猟王〉━━王浩然を上回る戦闘力だ。
所持スキルも膨大で、しかもレベル10に到達している。
エクストラスキルは【物理攻撃無効】【魔法攻撃無効】【状態異常無効】【酷寒猛暑無効】を所持している。
そして、一つだけ見慣れない新規スキルがある。
「これは……ユニークスキルを持つ〈狩猟王〉以外は、まったく相手にならないだろう。てか、振れ幅が大きすぎないか」
Sランクダンジョンを淡々と攻略できるようになり、もっと歯応えのある戦いがしたくてSSランクダンジョンを望んだが……難易度が跳ね上がり過ぎだ。
まぁ、魔物が一体だけなのが救いだ。
もしこのクラスの魔物がウジャウジャいたら、俺はスタンピード抑止のため、このダンジョンに箱詰めになっていただろう。
だが、目の前のコイツだけでも十分すぎる脅威だ。一体で一国を滅ぼすなど、造作もない。
「さて━━」
〈マジック・ポーチ〉から〈蝿王の魂装短剣〉を取り出す。
続いて【結界魔法】━━"対物理結界"と"対魔法結界"を発動し、カーミラを守護する。
カーミラもレベル94まで上がり、Sランク上位相当にまで成長した。しかしエキドナとはおよそ二倍の差がある。
まだ足手纏いだと、言わざるをえない。
カーミラには、アメリカのSランクダンジョンで活躍してもらおう。
短剣を逆手に握り直し、戦意を高める。
それに呼応するように、エキドナが暴風をも吹き飛ばすほどの【咆哮】を上げた。




