第23話 未知の深淵へ、一人征く
ギルドマスターのジョンソンに、活動拠点となる住居と数名の美女を用意してもらった。
本来なら、このまま美女をベッドに連れ込みたいところだが、SSランクダンジョンの出現でそれどころではない。
俺は部屋を見て回ることもなく、美女を抱くこともなく、【空間魔法】を発動して日本のハンターギルド本部へ転移した。
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場所は日本のハンターギルド本部━━その最上階に構えられたギルド長の執務室。
目の前では、ギルド長が執務机に向かったまま両手で頭を抱え、何やら深刻に悩み込んでいる様子だった。
「……ギルド長」
「ん? あ、松原ハンター! ど、どうしてここに!?」
ギルド長は執務机から慌ただしく立ち上がり、こちらへ駆け寄ってきた。
「アメリカでのダンジョン攻略がひと段落しましたので、参りました。もちろん、SSランクダンジョンの件です」
「そ、それは……本当に助かりました。ちょうど、どう対応するか頭を抱えていたところで」
「では早速、SSランクダンジョンが出現した場所へ案内してください。これより俺と従魔達でダンジョンを攻略してきます」
「ま、待ってください、松原ハンター! 流石に危険ではないでしょうか? SSランクダンジョンに出現する魔物の強さは未知数です。ここは同盟国のロシアに応援を要請して、共同で当たってはどうでしょうか?」
「ご心配はもっともですが、難しいかと思います。ロシアにも既にSSランクダンジョンが出現しており、そちらの対応で手一杯のはずです。それとアメリカの状況ですが、〈到達者〉クラスでも力が及ばず、現在は〈狩猟王〉のみを派遣している有様です。結局のところ、俺一人で対応するしかありません」
「そ、そうですか……」
「ギルド長、どうかご安心を。必ず生きて帰ってきます」
「……分かりました。すぐにご案内します」
執務室を出てエレベーターに乗り込み、一階のロビーを抜けて外へ出る。
予め手配しておいた車に、ギルド長と並んで後部座席へ乗り込んだ。
エンジンが静かにかかり、車がゆっくりと走り出す。
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SSランクダンジョンが出現したのは、港区の住宅街だった。
ダンジョン出現の際には大規模な地震が発生したため、自衛隊や消防隊が救助活動を展開しており、現在は付近に一般人の姿は見当たらない。
今は〈剣王〉〈炎帝軍団〉〈全癒の戦乙女〉の面々がダンジョンの入口を取り囲み、いつでも戦闘へ移れるよう緊張した体勢を維持していた。
車から降り、ギルド長と共に各クランのクランマスターが集う場所へ足を向ける。
「あれ? 松原ハンターが何故ここに? アメリカに移籍したと聞いていたが……」
〈剣王〉のクランマスター━━鈴木天星が、いち早く俺の姿を認め、訝しげな表情を浮かべた。
「皆さん、お久しぶりです。移籍の件は後ほど詳しくお話しします。今はひとまず置いておきましょう。それより私は、これよりSSランクダンジョンを攻略してきます」
「……たった一人でかい?」
「まぁ、実質一人です。一応、従魔達も連れて行くつもりですが」
「私達の力は必要ないのか?」
〈炎帝軍団〉のクランマスター━━三浦火蓮が、自らの力不足を承知しながらも、俺の身を案じて口を開いた。
「厳しいことを言うようですが、〈狩猟王〉でなければ無駄死にするだけです。各国の筆頭戦力の中にはSランク上位や〈到達者〉クラスのハンターもいますが、それでも力が足りない。最低でも、Sランク上位ダンジョンを単独で攻略できる実力がなければ、挑戦する資格はないと考えています」
「そうなんですね……私は回復役として同行しようと思っていたんですが、足手纏いどころか、何もできずに死にそうですね」
〈全癒の戦乙女〉のクランマスター━━菊池穂乃果は、爆乳がいっそう目立つよう腕を組み、頬に手を添えてため息をついた。
「皆さんは、万が一に備えてここで待機していてください。〈狩猟王〉といえど、未知のダンジョンであることに変わりはない。もし私が攻略に失敗した際は、せめて魔物に一矢報いてやってください」
「分かりました。後のことはお任せを」
「そうね。こちらのことは気にせず、攻略に集中してちょうだい」
「松原ハンター。お気をつけて」
「皆さん、ありがとうございます。では、行ってきます」
一人で黒い楕円形━━ダンジョンの入口の前に立つ。
そして一度〈天空城〉へ帰還し、毒災百足達を伴って戻ってきた。
さぁ、SSランクダンジョン……攻略開始だ!
目標2,000PTを目指しています!
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