第13話 砂漠の死霊、渇きの呪縛
ダンジョンの入口を潜ると、景色が一変する。
さっきまで人々の喧騒に包まれた街並みは消え去り、果てしなく続く砂漠が視界を埋め尽くす。
太陽は真上から容赦なく照りつけ、空気は肌を焼くように熱い。
「……アーマード・センチピードが出現するフィールドと、同じタイプか。まぁ【極暑耐性】があるから問題はないけど、砂漠って雪原と似てて足場が不安定だから、戦い難いんだよなぁ」
愚痴を零しつつ、サクッ、サクッと靴底が砂を押し潰す感触を確かめながら歩く――と、その行手に、ボロボロの包帯で全身を巻かれた魔物が立ちはだかった。
「名称は、マミー。ミイラ系の魔物か」
名称を呟いた瞬間、マミーが砂を蹴り上げて疾走した。
走りながら前方へ腕を突き出す。
すると全身を覆う包帯が蠢き、まるで蛇のように空中を蛇行しながら、俺へ巻きつこうと迫ってくる。
「っと……!」
左右から迫る包帯を両手で掴み、力任せに引きちぎろうとするが、想像以上に強靭だ。
俺の筋力値でも僅かに抵抗を感じるほど丈夫で、しかも、次の瞬間――
「……喉が、渇く?」
身体の内側から急激な渇きが込み上げる。
砂漠の暑さとは無関係の、異質な渇き。さっきまで何ともなかった喉が、干からびた大地のようにカラカラだ。
間違いない、原因はこの包帯だ!
「厄介な特殊効果つきか!」
包帯を引き裂き、後方へ跳んで距離を取る。すぐに〈マジック・ポーチ〉から二リットルの天然水を取り出し、素早く口をつけた。
カラカラの喉に冷たい水が沁み渡り、生き返る心地がした。
「【水魔法】で補給も可能だが……魔力は戦闘用に温存だな」
飲み干したペットボトルをしまい、代わりに〈水龍海戦の短剣〉を取り出す。
【斬撃術】を発動した上で再び飛来する包帯を軽く躱し、鋭い一閃を放つ。
しかしマミーは首を低くして回避。砂を蹴って跳び上がり、上空から拳を叩きつけてきた。
咄嗟に半歩引いて躱すが、今度は顔面目掛けて肘が突き出される。
〈水龍海戦の短剣〉で受け止めると、右脇腹へ拳が繰り出され、それを片膝を上げて防御した。
「近接格闘も得意とはな! うおっ!?」
間合いを詰めながら攻防を繰り広げる、俺とマミー。
直後、背後から微かな魔力の流れを感じた瞬間、俺は即座に【短距離転移】を発動した。
さっきまで俺が立っていた場所に、砂の槍が林立する。
近接格闘に加えて魔法まで併用するとは、なかなかの強敵だ。
だが――
「ここまでだ!」
口の端を吊り上げ、三つのスキルを同時に発動する。
「【奇襲】【神隠】【短距離転移】」
世界が一瞬、静寂に包まれた。
マミーが反応するよりも早く、俺の姿は掻き消える。
次の瞬間、風を切る音とともに〈水龍海戦の短剣〉が閃き――マミーの首が、宙を舞った。
乾いた砂の上に、音もなく崩れ落ちる身体。
『魔力が36UPしました』
『筋力が36UPしました』
『頑丈が54UPしました』
『敏捷が33UPしました』
『知力が32UPしました』
『精神が58UPしました』
『器用が33UPしました』
『幸運が32UPしました』
『【砂上疾走】Lv.8を獲得しました』
戦闘終了の通知が響き、砂漠に再び静けさが戻った。
俺は砂を踏みしめながら、次の獲物を探して歩き始めた。
目標1,000PTを目指しています!
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