第9話 待ち伏せ迎撃戦の戦果
現場に駆けつけた警察官や救急隊員への対応が一段落し、車のドアに背を預けて待っていると、ジンさんが人混みをかき分けるようにして駆け寄ってきた。
「松原ハンター、お待たせしました。この後はどうされますか?」
「まずは、ダンジョン攻略で得た素材を売却したいですね。その後は……小腹が空いたので、どこかで食事をしたいです」
「承知いたしました」
慌ただしく現場対応を続ける警察官たちの傍らを通り抜け、ジンさんと並んでギルドの出張所へと向かう。
「松原ハンター、こちらに素材を出していただけますか?」
「分かりました」
〈マジック・ポーチ〉からムスペル20体とスルト1体の魔石を取り出し、指示された場所に並べる。
ギルド職員が一つ一つ手に取って確認し、ジンさんに買取額を告げた。
「松原ハンター。素材の買取額は7,200万元━━日本円で申し上げると、15億円になります」
15億円……十分な高額ではあるが、日本と比較すれば見劣りするな。
「日本と比べると、少額に感じますね」
「そうですね。我が国のハンターの中には、Sランクダンジョンを攻略できる者がそれなりにおりますので。供給量がある分、日本より価値は低くなります」
「言われてみれば、当然のことですね。失礼しました」
「いえ、お気になさらず。それより、攻略報酬の【鑑定】は済んでいますか?」
「そちらは問題ありません。ちなみに、買取金はどのように受け取れば……」
「ご安心ください。後ほど、私がお持ちします」
「分かりました。では、食事に向かいましょうか」
「承知いたしました」
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素材の売却を終えた俺は、ジンさんに食事処を案内してもらうことになった。
ところが、ジンさんが案内しようとした店はSランクハンター御用達の高級料理店だった。
マナーを気にせず腹いっぱい食べたかった俺は、丁重に断ろうとした。
しかし、「マナーはお気になさらず。量もお好きなだけ召し上がっていただいて構いません」とジンさんに言われ、素直に従うことにした。
店に到着し、重厚感のある個室へ通されて席に着くと、早速メニュー表を手に取り、麻婆豆腐や小籠包などをいくつか注文した。
さほど待つことなく運ばれてきた料理に舌鼓を打ちながら、先の戦闘で鳴り止まなかった通知の内容を確かめるべく、ステータスウィンドウを展開した。
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(更新部分のみ表示)
【能力値】
・魔力 66,596(559+65,977+60)
・筋力 54,801(559+54,002+240)
・頑丈 56,101(554+55,487+60)
・敏捷 54,538(559+53,879+100)
・知力 54,627(559+54,008+60)
・精神 55,966(554+55,152+260)
・器用 54,662(554+53,968+140)
・幸運 66,972(559+66,413)
【転換:余剰経験値】
残量 485,528,064
【スキル】
[魔法系統]
・【氷魔法】Lv.9(1UP)
[感覚系統]
・【気配感知】Lv.10(MAX)
・【魔力感知】Lv.10(MAX)
[強化系統]
・【氷魔法強化】Lv.9(1UP)
[補助系統]
・【遠視】Lv.10(MAX)
・【魔力操作】Lv.10(MAX)
・【看破】Lv.9(1UP)
・【挑発】Lv.8(1UP)
・【逃走】Lv.6(1UP)
・【手加減】Lv.7(1UP)
・【魔力回復量増加】Lv.9(1UP)
・【投擲】Lv.9(1UP)
・【鼓舞】Lv.9(1UP)
・【鑑定】Lv.9(1UP)
・【水泳】Lv.9(1UP)
・【潜水】Lv.9(1UP)
・【発動待機】Lv.8(NEW)
・【同時行使】Lv.4(NEW)
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(今回も凄まじい成長率だな……)
一つの能力値だけで約29,000も跳ね上がり、中国へ来る前と比べれば、全ての数値がおよそ倍になっている。
確かに奴らの数は視界を塗り潰すほど多かったが、この上昇幅を目の当たりにすると、軽く数百から千人規模はいたのではないかと思えてくる。
しかもここはハンター大国だ。標的が弱小国のハンターとはいえ、Sランクである以上、集まってきた連中の質も相応に高かった可能性がある。
一人一人を【看破】で確認したわけではないため断言はできないが、それなりのAランクやSランクが混じっていたとしても不思議ではない。
寄せ集めとはいえ、そんな高ランクの連中をまとめて一蹴した俺は、人外の領域の中でも、さらに頭二つ三つ分は抜け出ているようだ。
余剰経験値も4億8,000万ほど積み上がり、既得の高レベルスキルはカンスト、あるいはカンスト間近のものが並んでいる。
そして今回、新たに獲得したスキルの詳細は━━
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【発動待機】Lv.8
瞬時に魔法を発動できる状態から、8秒間待機状態を維持でき、時間差かつ連続で魔法を行使可能。
魔力値+8、器用値+8
【同時行使】Lv.4
同時に4つの魔法を行使可能。
魔力値+4、器用値+4
※解放条件:【発動待機】Lv.5
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戦闘中に獲得通知が響いた瞬間、流し見る程度に詳細を確認し、実際に試してみたが、どちらも非常に使い勝手のいいスキルだった。
【発動待機】は待機できる時間の短さがネックとなるが、常に次の魔法を準備しておくことで、相手に反撃や立て直しの隙を与えずに攻め続けられる。
【同時行使】は単純な物量として強力なうえ、複数の属性を同時に扱えることで、確実に弱点を突きやすくなる。
もっとも、複数の魔法を習得していなければ真価を発揮しにくいスキルでもある。
「松原ハンター。お箸が止まっていますが、お口に合いませんでしたか?」
「いえ、とても美味しいですよ。少し考え事をしていました」
「そうでしたか。何かご不明な点があれば、遠慮なくお聞きください」
「ありがとうございます」
不自然に見られないよう料理に手を伸ばしながら、余剰経験値の振り分けについて、頭の片隅で考え始めた。
目標1,000PTを目指しています!
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