第3話 外国のSランクダンジョン
宿泊先のホテルに到着し、ジンさんの後に続いて豪華絢爛なロビーを通り抜け、エレベーターで上階へと向かった。
「こちらが松原様のお部屋になります」
ジンさんが扉を開け、手で入室を促す。室内は隅々まで手入れが行き届いており、ロビーと遜色ない豪奢な調度品が並んでいた。
「ジンさん、これほど豪華なお部屋を用意していただき、ありがとうございます。それで、宿泊料金はいくらになりますか?」
「この部屋を用意されたのは会長ですので、またお会いになる機会がございましたら、感謝は会長へお伝えください。それと、宿泊料金は不要です」
「……本当にいいんですか?」
「大丈夫です。それよりも、我が国をぜひ楽しんでいただければと」
「ありがとうございます」
ジンさんは終始無表情で、真意を図ることができない。美味しい話には裏があると相場は決まっている。
警戒心がじわりと高まったが、それを表情に出すことなく、一通り部屋を見て回る。
目視できる範囲に怪しいものは見当たらなかったが、念のため〈マジック・ポーチ〉から荷物を取り出すことはしなかった。
「ジンさん、部屋の確認は済みましたので、次はダンジョンへ行きたいのですが」
「ランクは?」
「Sランクでお願いします」
「では、最寄りのSランクダンジョンへご案内いたします」
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「到着いたしました」
天高く聳え立つ、見慣れた円柱型の塔――ダンジョンの前で、ジンさんが車を停めた。
日本と同じように、素材の検分・買取を行う出張所がダンジョン前に設けられており、歴戦の猛者といった風貌のハンターたちが大勢屯していた。
「ジンさんは、この後どうされますか?」
「私はここでお待ちしておりますので、ご安心ください」
「分かりました。では、行ってきます」
ジンさんがここで待っていてくれるなら、素材の売却手続きも問題ないと判断する。
周囲から注がれる視線を背中に感じながら、黒い縦長の楕円――ダンジョンの入口を潜り抜けた。
♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢
目の前に広がるフィールドは、見渡す限りの炎の海だった。
散発的に点在するゴツゴツとした岩の大地を、幅十メートルほどの岩の道が繋いでいる。
「ファイアー・ドラゴンのダンジョンと似たフィールドだが、肝心の魔物は――」
全身を燃え盛る炎に覆われ、本体すら視認できない、体高五メートルほどの巨躯。
その存在はまさに、炎をまとった巨人そのものだった――ムスペル。
Sランクダンジョンに出現する魔物だけあって、Aランクダンジョンのボスをも凌ぐ強さだ。
しかし、所持スキルは既知のものばかりだった。
「渦柱、【激流化】」
【水魔法】を行使し、ムスペルを覆い隠すように渦巻く水の柱を生成する。
【激流化】でさらに流速を加速させると、轟音とともに炎が一瞬で掻き消えた。
顕になった本体は、赤熱した岩で形成された、いかにも頑丈そうな身体だった。
トドメを刺すべく地を蹴って駆け寄り、跳躍と同時に【気功法】【気功打術】を発動。
闘気で形成された拳――気功拳を、その巨体へと叩き込む。
ドガァアアアン!
頑強な巨体は大小様々な岩塊となって四散し、ムスペルは沈黙した。
『魔力が32UPしました』
『筋力が36UPしました』
『頑丈が51UPしました』
『敏捷が29UPしました』
『知力が36UPしました』
『精神が58UPしました』
『器用が29UPしました』
『幸運が36UPしました』
目標1,000PTを目指しています!
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