秒の交換
ハルバルドの様子から、どんなCode変更をしてくるか、予想を立てた。
肉体の変化から、ハルバルドが超高速で動くCode変更を仕掛けたことに気づいた。
アラタにもCode変更の術は教えているが、怒りでそれどころではないだろう。
ソウタは自らのCode変更を行う。
筋力、思考、つまり判断スピード、視覚の能力、特にフリッカー融合頻度は重要だ。
Codeを書き換えながら、ソウタは同時にハルバルドの動きを追っていく。
ハルバルドとソウタは秒以下の中で、行動をする世界に入っている。
秒以下で空間を移動すると、空気の抵抗が大きすぎるし、摩擦で服が発火する。
それら全てのルールを成すCode書き換えて、まるで何事もないように移動する。
音より早い世界の中を二人は動いていた。
ハルバルドは、止まっているかのようなアラタを殺そうとしていた。
ただ、万一のことを考えたのか、紛れがないよう、アラタ後ろに回り込もうとしている。
曲線的に移動するハルバルドとは逆に、ソウタはハルバルドが動こうとする先に向けて、一直線にに迫っていた。
後からCode変更したソウタが追いつくためには、距離を稼ぐ必要があった。
それに曲線的に走るハルバルドの後ろから迫ることが出来る。これならハルバルドの視界に入らないだろう。
ソウタはそう考えていた。
極限の世界で、音声は届かない。
空気が振動して伝わる速度より、二人が動く速度の方が速いからだ。
曲がり始めたハルバルドに、後ろから追いついてきたソウタの剣が近づいていく。
「!」
ハルバルドの視界の隅に、ソウタの姿が映った。
するとハルバルドは曲がるのを止め、誰もいない場所へ向かい始めた。
同じスピードで、同じ方向に進んだのでは追いつけない。
ソウタはCode変更を決断しなければならなかった。
ソウタは足を踏ん張り、ハルバルドと距離をとる。
ハルバルドとアラタ、アオイとの距離も十分にある。
先にCode変更した分、ハルバルドの負担は大きいはず。
奴の様子を見てからでも遅くないと、ソウタは考えたのだ。
ソウタが追ってこないと見ると、ハルバルドも移動をやめた。
ハルバルドは振り返り、ニヤリと笑った。
ソウタはその意味を考える。
アラタが迫ってくる。
ついさっきハルバルドがいた位置に、ソウタがいるのだ。
完全に止まってしまった今、再びあの速度に達するのは無理か。
ソウタはもう一度ハルバルドを見た。
彼はCode変更を解いたように動きが遅い。
ソウタはアラタの剣を受ける準備を始めた。




