意外な依頼…だったりして
店の隅っこのL字型のでっかいソファー。
オラクルの隣にドカッと座る船長。
オラクルが指をパチン!と鳴らしてボーイさんを呼ぶ。
「こちらの客人に酒を。そっちの可愛い子にはミルクだ」
「ンニャ、ンニャ。」
(うま、うま)
おっと、いけない、ビーとしたことが。久しぶりのミルクがあまりにも美味しくて、声がもれてた。
「それで?仕事ってのは?」
しゃがれた声でオラクルが答える。
「なぁに、簡単な事さ。お前さんはただ、地球へ帰ればいい。その可愛い子を置いてな。」
船長、キョトン。
「?」
「だぁーって、その子、可愛すぎるんだもん。」
急に人格が変わるオラクル。
肝心の猫はと言うと、口の周りのミルクを前足で器用に拭っている。
いきなり注目されて戸惑うビー。
「ニャ?」
(なあに?)
「えっ?コイツを?コイツは只の野良猫だぜ。」
思わぬ依頼に焦りの色を隠せない船長。
「なら、なおさら良いじゃねぇか。猫を置いて帰れよ。もちろんタダとは言わねぇよ」
オラクルの言い分にちょっとだけ納得してしまうビー。ではあったが、モジャ公みたいにしくじらないでよ?と思いながら船長を見るビー。
「ニャム、ニャーム」
(ボクはヤだよ?!あのオンボロ船に乗っていたいよ?!)
そこら辺はモジャ公より勘が鋭い船長。
ビーが人間語を理解してるなんて、おくびにも出さず、
「いや、でも、ほら、コイツ結構粗相するぜ。お陰で船がションベン臭くなっちまった。」
(ほほぅ。後で絶対引っ掻いてやろうと誓うビー)
「それなら心配いらねぇ。ウチにはシンシアちゃんってカワイ子ちゃんが居るからな。遊び相手にもちょうどいいだろう。」
割と食い下がるオラクル。
さすがにちょっと焦ってくる船長。
「船旅でちょうどいい遊び相手なもんでな。今回は諦めてくれ。」
ビーを抱きかかえ出口へと小走り。そこにいた用心棒的な男の手を払いのける。
その様子を見ているオラクル。取り巻きが尋ねる。
「ボス、いいんですか?」
さっきのテンションはどこへやら。しゃがれた声に戻ってる。
「まぁ、いい。ヤツはきっとまたここへ来ることになる。あの猫を連れて…な。」
船長に抱えられながらビーが鳴く。(話す?)
「ニャーニャニャ」
(もう来ないもんねー!!)




