野良宇宙航海士
そんなある日。いつものように酒場のウラのゴミ捨て場。
「フゥー」
(ボクのナワバリだぞ!)
「ニャァー!」
(なんだ文句あんのかー)
などと小競り合いに興じているビー。
ふと見ると酒場への扉が開いたまま。
そうなると入ってみたくなるのが人情ってもんで、
(ネコだけど)
そーっと足音させずに忍びこむ。
酒場は薄暗く、騒々しい。
多種多様な人々が、楽しんだり、揉めてたり、痴話喧嘩でコップの水を顔にかけられてる男も居た。
そんな雑多な所だけど、不思議と恐ろしさは無かった。
「どっから来たのー」って声をかけてくれるお姉さん。
膝に乗っても起こらない白スーツにオールバックのオジさん。オマケにソーセージ食べさせてくれた。(ホントはネコには塩分多いけど、ね)
そんな酒場をグルグルしてたら、隅っこで深刻そうな顔して話し込む二人。一人はフードで顔を隠してる。もう一人は腰に物騒なものぶら下げてる。
「そんな遠くまで…?」
「やっぱり無理か?」
「オレ様の船を舐めてもらっちゃ困るね。なんてったって光速の0.195%だぜ。火星の開拓基地までたったの5日だ!」
「よし、で、いつ出航できる?」
「このメシを食ったらいつでも行けるさ」
「わかった。じゃあ後で」
「ニャァニャンウナー」
(なんだか壮大なスペースオペラが始まりそう。だけどコレを逃す手はないかも)
ちょっとした決意をしたビーだった。




