第90話 今明かされる衝撃の計画(島で二人だけびっくり)
「領主様、モネさん、ここにお越しいただいた理由をお話します」
「おう、なんだ改まって。いや、絶対なんか隠してるなって思ってたが」
「うんうん、ハイザット様、ずっと怪しんでたからね。あたしは楽できていいなって思ってた」
モネくん!!
まあ、らしいと言えばらしい。
ここは、例の謎の巨大建造物であった式場。
ジェイドに呼び出された俺たちが向かうと、何故か彼の他、メスタに呑兵衛夫婦、狩りチームにマントを作ってたチーム、ドレスを作っていたチーム、お料理担当神官が待ち受けていたのだった。
そして隅っこに、得意げな顔のゼータとラビハがいる。
「実は作戦の全てはゼータ様の指揮で」
「ゼータが!? 最近見ないと思ったら……」
「ふっふっふ。おじさまは身に危険が及ばない、適当な事件への勘が鈍いですからね。なので割と堂々と進めさせてもらいました。まさか本当に真相が分かっていないとは」
「えっ、分かってなかったの!?」
他の領民たちが大変驚いている。
何に驚いているんだ……?
分かるって、何を分かると言うのだ。
「説明を求むぞ! ここで全ての種明かしがされるんだろう? アドラマントが全く反応しないので、何の危険もない事態だとは分かっているんだが……」
放っておいてもいいのだが、凄く気になるではないか。
領主を置き去りにして状況が進むとは、一体何ごとなんだ……?
「ここまで数日間ずっともったいぶって来ましたから、発表しましょう! 準備はすべて終わりましたからね! メスタさん!」
「はっ!」
ゼータに指示されたメスタが、なんかウクレレで音楽を奏で始める。
楽しくなっちゃうリズムだな。
「私たちがずーっと準備してきたのは……。おじさまとモネちゃんの結婚式です!!」
「な、なにーっ!!」
「なんだってー!」
俺とモネ、大いに驚く!
そ、そうだったのか……!!
全く気付かなかった!!
俺たちがめちゃくちゃ驚いているので、領民たちは大満足だったようだ。
建物の影からたくさんの領民がワーッと出てきて、ドッキリ大成功! と喜んでいる。
「いやあー、最後のおじさまとモネちゃんのリアクション!! ここまで準備してきた私たちへの最高のご褒美でしたね! ということで、お二人にはルナス領をちゃんと国の形にするため、結婚していただきます」
「完全に包囲網が完成していたということか……! 流石の采配だな。ゼータがここまでの戦略家だとは」
「おじさまがこっち方面、ものすごく鈍いってことがよく分かりました。正直、絶対にバレると思ってましたから」
「あたしもびっくりだー」
「モネちゃんは細かいことを気にしなさ過ぎですね」
それはそう思う。
まあ、確かに俺のことを軽く舐めてて、ざっくばらんに話をすることができる、年頃の女といえば──モネしかおるまい。
唯一無二だ。
というか、こんなに対等に話してくる女、初めてだったわ。
「そっかー。俺も領主としての責任を果たさねばならないのだな。よし、分かった。受け入れよう」
「おじさまはなんだかんだ言って、領主というか指導者としての立場を凄く自覚されてますからね。そう言うと思ってました」
まあな。
この領地を大きく豊かにしていくことが、俺の生きがいになっているのだ。
俺が結婚することで、それがさらに進められるとなれば結婚しない手はない。
「モネは構わないのか?」
「あたし、ハイザット様と出会った時からその辺は大丈夫だって言ってましたよね?」
「そう言えば……」
「そもそも、あたしはこう、デカくて肌も青っぽいので、そういう対象にあんまり見られてなくてですね」
「ははあ、確かに元領民の中ではダントツで体が大きい」
「あたしよりも大きいハイザット様が来たことで、ちょっと安心したんですよね! あたしよりデカい人がいた! って」
「そういう方面の安心か。まあ、モネも問題ないならこのまま進めるか、結婚。じゃあよろしく頼む。どうせこの先の進行も考えてるんだろ?」
「もちろんです!」
胸を張るゼータなのだった。
ラビハはゼータと頷きあい、両手を大きく振った。
「そーれ!」
彼女の指先から糸が伸びていて、何かに繋がっていたらしい。
何が来るんだ……!?
と思ったら。
建物の上に隠されていた花びらが、一斉に舞い上がった。
うおーっ!!
こ、これは!
通路にいたサルが、プロポーズの時に捧げてきた花びらではないか。
それが空から舞い落ちてきて、大変幻想的な風景だ。
メスタの音楽が合わさると、なるほど効果的なのだな。
「おおーっ! あたし、その気になってきました。よろしくお願いします、ハイザット様!」
「ああ、こちらこそな。いやー……。俺には無縁なことだとばかり思っていたが、領主なら確かに子どもいないとだよなあ……」
「あっ、じゃあ作っちゃいます? 子ども! やり方は村の経験者に教わればいいので」
ここに、ゼータがパタパタ走って割り込んできた。
「ストーップ! 待ってください二人とも! ここで全部片付けちゃいけませーん!! いいですか!」
「お、おう。なんだ?」
「これから結婚式を大々的にやるのです! そのために準備したんですから! これは、ルナス領のお祭りなんですよ? みんなで大いに盛り上がるんです! さあさあご両人、着替えてください着替えてください!」
「なんだなんだ!?」
「あーっ、連れて行かれる~!」
俺とモネ、別々の部屋に背中を押されて押し込まれることになるのだった。
今から始まるのか、式!?
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