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島流しにされた第三王子は、遺跡から発掘された幼女と古代文明の島で開拓スローライフする  作者: あけちともあき
渦巻く(そんなに悪そうじゃない)陰謀

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第89話 俺達抜きで何をやっているんだ?

「ちょっと曲を聞いてくれ」


「おっ、できたのか! どれどれ……」


 メスタとジェイドが歩いていく。

 新曲か。

 そのうち公開されるんだろうな。

 なんか以前は途中でも聞かせてくれたのが、秘密主義になっているが……。


「あ、これは領主様!」


「呑兵衛夫婦じゃないか。なんだこの壺の数は……? 酒蔵が超でかくなってない?」


「ええ、酒をどんどんこさえてまして」


「熟成は浅めですけど、果汁と合わせてフルーティーに飲んでもらおうと思ってですね」


「へえー、そんな沢山の人に飲みやすい酒を届ける機会が……?」


 俺の問いに、二人はアッと言って顔を見合わせた。


「まあ、そういう機会もあろうというですね」


「アレコの実をたくさん取ってきてもらいましたから」


「あー、頑張ってアレコの果樹林を繋げたのは、そういうことね」


 俺が納得した風に見せたら、二人とも露骨にホッとしているのだ。

 酒をたくさん飲ませる機会とは一体?

 俺は彼らから離れながらちょっと考えてみたが、さっぱり思いつかない。

 なんだ?

 一体みんな、何を隠しているというのだ!!


 見当もつかない。

 首を傾げながら歩いていると、モネがなんかご機嫌で歩いてくるではないか。


「みんな忙しそうなのだが、モネだけは暇そうだな」


「あら、あたしだって本当は忙しいはずなんですよ。でもなぜか、みんなあたしを仕事に関わらせてくれないんです」


「なんだって。仕事をさせないとは一体、どういうつもりなんだ……!?」


 謎だ、謎すぎる。


「ちなみにさっきご機嫌だったのはどうして?」


「聞いてくださいよハイザット様! この間、蜘蛛の糸を採取したじゃないですか。あれが凄くかっこいいドレスに仕上がってたんですよ。真っ白なのに、キラキラ輝いてて、あんなの見たの初めて。誰が着るんだろうなあ……。結構大きめだったから、村の女の人だと裾が余るんじゃないですかね?」


「へえー、それは凄い。見てみたいな」


「見に行きます?」


「行こう行こう」


 二人で見に行ったら、女性陣がスクラムを組んで俺たちの進行を阻んだのだった。

 なんだ、なんだというのだ?

 二人でターミナルまで戻ってきたら、見事な毛皮のマントを持った男女が通り過ぎていった。


「凄いマントじゃないか」


 俺が声を掛けたら、彼らはハッとして、ペコペコしながら凄い勢いで走り去っていった。

 なんだ……!?

 何が起こっているのだ!?


 知らぬは俺ばかり。

 いや、隣にも何も分かってない女がいるな。


「なんですかハイザット様?」


「お互い、何かが起きている蚊帳の外に置かれていると思ってな」


「そうですねえ。まあ、あたしは仕事が免除されて楽ができるのはありがたいですけど」


「楽天的だな。だが、その方が人生は楽しいかも知れない」


 俺は悲観的すぎるんだろうな。

 そもそも、領民たちの動きが怪しすぎるのがいかんのだ。


 歌に酒に、ドレスにマント。

 何が起ころうとしているのだ。

 それに、向こうでは謎の建造物が建ちつつある。


 木材を収めるためだと言っていたが、そのためにあんな頑丈な建物を床から作るものか。

 床なんか土剥き出しでいいだろ。

 木材の床を張った上に材木を置いたら、痛むだろ。


 つまりあれも、何か謎の目的のために作られているということになる。

 俺の推理だぞ。

 その話をしたところ、モネが「はえー」と声を上げた。


「なんだその声は」


「凄く感心したんですよ。ハイザット様、頭がいいんですねえ」


「伊達に読書はしてなかったからな……。あとは王族なので、普通にある程度の学問と帝王学は学んだ」


「そう言えばハイザット様、王子様でしたね……」


「そうだぞ。その第三王子にこんなに砕けた口調で喋るのは、ゼータと君くらいだからな」


「えへへ、ハイザット様は寛大で助かるなー」


「最初からそのノリだったもんなあ。心臓が強いと言うか、礼儀という言葉をどこかに置き忘れてきたか……いや、全然いいんだけど」


 では、伐採林の謎の建造物はどうなっているのか見ようということになり、二人でこっそりと向かった。

 ほうほう、建物は……ほぼ完成してる!?

 あの大きな建物が?


 全て木造と考えると、たった数日で形になっているのは異常と言える。

 レンガだったら一ヶ月近く掛かるぞ?


 あっ、ユニット工法か!!

 あのなぞの技術をフル活用して建築されていたんだ!


 ユニットになったパーツを、互い違いに組み合わせて壁面が作られている。

 モザイク模様のようになっていてなかなか美しい。

 そしてこの建物の形……。


 入口が広く、周囲の光をいっぱいに取り込む構造になっているんだな。

 ギリギリ雨が入ってこないようになっており、上に向かって三角形に伸びている。


 まるでこう……。

 木造の神殿のような。


 神殿と言うと大地母神の神殿かな?

 いや、だが周囲に神官たちの気配はない。


「ハイザット様が黙って、目だけがキョロキョロしてる」


「気配を探ってるのだよ。大地母神の神官たちはいないな。関与している気配もない。なのに神殿? いや、言われてみれば大地母神の形式とも違うか。これは言うなれば……」


 俺はここでハッと思い至る。

 王国のあちこちにあったはずだ。

 様々な信仰の人間が使えるように、教団同士が共同で運営している施設が。


「式場か、ここは……!!」


 冠婚葬祭を行うための式場である!

 だとすれば……。


「一体、何の式をやるつもりなんだ……?」


 新たな謎が生まれてしまった。

お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
冠婚葬祭のための式場まで推理が進んで何故その一歩先に行かないんだw
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