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島流しにされた第三王子は、遺跡から発掘された幼女と古代文明の島で開拓スローライフする  作者: あけちともあき
肉食への道

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第85話 ウサギは捨てるところがない

「ウサギの爪が凄いらしいじゃないですか」


「メスタか。肉を食いながらウサギの凄さに気付いたんだな」


「ええ。武器として使ってもいいですけど、この鉤爪はよく磨けばいい楽器を作る工具になりますよ。僕にください」


「よし、一個やろう」


 そういうことになった。

 

 残る鉤爪は、柄にエウゴ菜のロープでくくりつけて槍にする。

 これは相手を引っ掻いてダメージを与えるタイプの武器だな。

 どんどん、ルナス領が戦えるようになっていく。


 だが戦争は許さんからな。

 でも、戦う手段があるといつかは内戦みたいなものが起きてしまうのだろうなあ。


 そんな時代がこなければいいと思いながら、俺はウサギの皮がなめされているところを眺めているのだった。


「領主様、これはとても上質な毛皮ですよ。十匹分をつなぎ合わせれば、領主様の豪華なマントが作れます」


「そんなんいらないよ。なんかこう、もっと実用的なのにしてくれ」


「いえ! 我々は領主様のマントを作りたいんです!! 本当に偉大な方なんですから、偉大さをアピールできる衣装を身につけるべきです!」


 なんか住民たちが凄くむきになっているぞ。


「そう? じゃあ任せる」


「はい!!」


 なんで俺のマントを作ることに全力なんだ……?

 その他、俺が知らない内にちょこちょこ狩りチームは出動したらしく。

 見たことのない獣を獲ってくるのだった。


 例えば土の中に筒状の巣を張る、巨大な蜘蛛とか。

 むちむちした蜘蛛と、かなりボリューミーな巣が手に入った。

 よく倒したな!!


「みんなで鉤爪槍を使って、蜘蛛を引っ掛けて引っ張ったんです」


「足を持ち上げるように引っ張ったら、途端にこいつ踏ん張れなくなって引きずり出されて」


「巣から出てきたところを、みんなで槍で頭を攻撃しました」


「すごい」


 俺は素直に感心してしまった。

 理にかなった戦い方じゃないか!


 人間がこうやって狩りをするようになると、この島でもそれなりの強さがある捕食者として認められることになるだろう。

 そうなれば、襲われにくくなったりもしそうだ。


「次にとれたのは」


「なにっ、まだいるのか」


「蜘蛛の巣に引っかかっていた大モグラが!」


「おおーっ」


 さらに感心してしまった。

 大蜘蛛、大モグラをゲットし、さらにクモの巣を手に入れたわけか。


 村に行ってみると、みんなでワイワイと獲物を解体しているところだった。

 ジムニが興奮している。


「殿下、殿下ー! えらいことになっていますな!」


「うむ。狩りを覚えた瞬間にすごいことになった。彼らの中に眠っていた狩猟者の血が目覚めたな」


 大地母神教団からの教えを忠実に守る人々なので、油断せず、常にチームワークで動き、無駄に進まずにほどほどで戻る万全なムーブがこの戦果を産んだらしい。

 いいぞいいぞ。

 狩りで自主性とか独自性なんかいらんからな。

 特にこの森、何が獲れても大勝利なんだ。


「蜘蛛は見た目以上に中に肉がミッチリ詰まってるんだなあ……」


「エビとかカニみたいですよ! 水気が少なくてちょっとスカスカしますけど、スープで煮込んでやればいい感じでふんわりしそうです」


「ほほー!」


 一口もらった。

 ははあ、こりゃあ思った以上に肉肉しい。

 噛むほどに染み出してくる肉汁は、確かにエビっぽい。

 それが凝縮した感じだ。


「ちょっと濃いな。スープで薄めるとちょうどいいってのはありそうだ。それに、煮込むといい感じのうまさが出てきそうじゃない?」


 モグラの方は、神殿からやって来た料理担当の三人が、大いにその腕を奮っていた。

 巨大な動物を捌くやり方を、みんな見て覚えて欲しいものだ。


 肉に対する先入観がなく、多少臭みがあってもそういうものだと受け入れる、村の住民たち。

 彼らはこの島の肉食と大変相性がいいな。


 体を強く、デカくしてほしいものだ。

 子どもたちは既に肉をもりもり食べ始めているし、今後大きくなることは確定だろう。

 

 そうなれば、より遠くで、より大きな獲物を狩ることができるようになるはずだ。

 人間の領域も広がり、住める場所もさらに広くなる。


「楽しみではある」


 うんうんと頷いていると、俺の横を、筒状の大きなクモの巣をくるくる巻いて、女性陣が運んでいくのだった。


「おや? 何をしてるんだ?」


「この糸がなかなかいい糸なんですよ!」


「この人たちの国には、ドレスっていうのがあったらしくて! 特別な時に着る衣装なんですって」


「それを作るんですー」


 なにい。

 ようやく生活が上向いてきたからと言って、ドレスなんか作っていつ着ると言うんだ?

 謎だ。


 俺が首を傾げていると、隣で蜘蛛肉の串焼きをかじりながら、モネも首を傾げているのだった。


「なんかすっごいの持っていきましたけど、ドレスってあれですか? ハイザット様の妹さんが着てたやつ」


「そう、あれ。あんなん、普通着ることなんかないだろうに。蜘蛛糸があれば、十人分くらいの服が作れたんじゃないか? なんでドレスって話になっちているんだ……」


「さあ……。そう言えばあっちで、ウサギの皮を男の人たちが運んでいったのは」


「そうそう! あっちもマントを作るらしいんだよ! 訳が分からないなあ」


 俺たちが知らないところで、みんな何をやろうとしているのだ。

 なお、ゼータはなんとなく全てを察しているようで、


「むふふふふ、これは絶対にサプライズが成功するやつです」


 とニヤニヤしているのだった。

 なんなんだ……!?

お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
蜘蛛糸や毛皮でもマントか。蜘蛛糸はちゃんと縦糸と横糸分けてるのかなw この島は多分生存優先でおしゃれという概念がないだろうから白とか茶色のマントなのかなw
ああ外堀が埋まってゆく…… そろそろ覚悟の時か?
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