第67話 宴会の用意だ!
「宴会を用意するのだが、この宴会というのはほぼほぼ祭りではないのか」
「いいですね、お祭り! 俺の故郷でもよく祭りはやってました。ここだとちょっと毛色が変わってきそうだとは思うんですが……」
「ジェイドの故郷とは食材の種類が違うだろうからな。エウゴ菜とクアットロのスープ、それと各種漬物にパン。あとは卵と干し魚。それが料理の全てになる」
「複雑な料理はまだ難しいんですね」
「ああ。バラカコーンを使って、新住民の女性陣が色々工夫してはいるが、まだ安定生産ができないでいるようだ」
俺とジェイドとラビハで集まって、宴会の話し合いをしているのだ。
というのも、この三人が三者三様の宴会の姿を知っているからだ。
話をずっと聞いていたラビハが、
「甘い物!! 甘い物が大事!!」
力強く宣言した。
「甘い物か。アレコの実を少しだけ解放するか……!!」
「やったー!!」
大喜びするラビハ。
「あとはお肉があるといいんだけど、ここだと厳しいよね。ラビハ諦め」
「そうだな。肉系は干し魚で代用しよう。肉は手に入れるのにリスクが高いからな」
なにせ、あらゆる生物が危険なこの島だ。
狩るために、どれだけの犠牲が出るか分かったものではない。
「狩りの道具ができるまでは我慢。ラビハ、理解した」
「そうだぞ。領民たちを強化して、狩りを行えるようにしないといけないからな」
そもそも、肉を知らずに育った人々だ。
無ければ無いでなんとでもなるんだよな。
ただ……できることならミルクが欲しい!
乳を出す生き物を確保し、ヨーグルトやチーズが作れるようになると世界が一段と広がるな。
そうなると、畜産関係のメンバーも増やす必要がある。
ぬおお、領民を増やさねば……!!
今は領民の一割が漁を行い、六割が果樹園とバラカコーンの畑で働き、二割がターミナルでの畑作に従事している。
残り一割が伐採係だな。
四十名の新住民を入れたが、まだまだ余裕はない。
それどころか、お腹の大きくなった女子の姿をちょこちょこ見るようになった。
栄養状態が改善し、新住民と新たな出会いもあり、ベビーブームがやって来そうなのだ!
そうなると、一時的に労働力が落ちるぞ!
ぬおおおお、これは悩ましい……!
将来的に人口が増えるからいいんだが、短期的にはどう作業を回したらいいか……。
「ハイザットさん戻ってきてー!」
「領主様は何か考えておいでなのだ」
「そうなの?」
「常に先々の事を考え続けているお方だからな。俺達には図り知れぬ、遠大なお考えがあるのだろう」
「なるほどー、すごい!」
「ハッ、俺は我に返った。そうだ、宴会の話だったな。今回の大きな収穫は幾つもある。まずは酒。アレコの実から作られた、アレコ酒。これが凄い。ちょっとろ過の技術が低いので濁っているのだが、その雑味も含めて味わい深い」
「噂は聞いています。ぜひご相伴に与りたいものです」
「後で試飲に行くか、ジェイド」
「ぜひ!」
「ラビハも!」
「ラビハにはちょっと早いかもな……」
「むうー! ラビハ子ども扱い!? ラビハ抗議!」
「あー、分かった分かった、ぽかぽか叩かない。強いお酒だから、グーッと薄めて飲むからな。ちょっとだけだぞ」
「わーい!」
「それでだ。酒といえばつまみが欲しくなる。合わせる料理ということだな。これが各種干し魚と漬物になる」
「なるほど、なるほど。それで漬物蔵に、大量の壺が積み上げてあるんですね……。塩の消費量も一気に増えたようですし」
「そういうことだ」
今では、暇を見て奥様方がせっせと漬物を増産。
漁担当の男たちは、干し魚を大量に作っている。
「さらに……今回はとびきりの隠し玉がいてだな。なあラビハ」
「そう!! ラビハが全面的に協力した!! 凄いことになる! なんと……音楽が!」
「ああ、メスタですか」
知ってた!?
いや、よく考えたら新住民の仲間だったんだ。
分かってて当たり前だ。
露骨にがっくりするラビハなのだった。
残念だったな……。
「ラビハもう何もやりたくなあい」
「あー、何もかもイヤモードになってしまった」
「しまった、俺が空気を読まなかったから」
「まあ、ラビハもまだ子どもだからな」
仕方ない仕方ない。
と思ったら、ハッとするラビハなのだった。
「ちがーう! ラビハは大人! 子どもじゃなーい!! ラビハ、何もやりたくないのをやめるーっ!!」
いいぞいいぞ。
「そういうことで、ウクレレとやらを復活させた。まあ未完成らしく、メスタがどんどん改良を加えているが……。ターミナルのセントラルタワーの下で、いつも演奏しているぞ」
「そうだったんですね……! ついにメスタは望んでいた場所にたどり着いたんだ。いや、領主様、本当にありがとうございます!!」
「いやいや。みんなの頑張りだからね」
「ラビハも頑張ったの!」
「ありがとうラビハ」
「どういたしまして!」
そんなわけで、宴の準備確認は終わった。
会場設営方面はジェイドに任せて、俺は料理関係の管理を行わねば。
その前に……。
「飲みに行くか……!」
「行きましょう!」
「わーい!」
こうして、アレコ酒を飲む俺たちなのだった。
水で薄めているのだが、むしろ香りが際立つな。
強すぎる香りがふんわりと膨らみ、周囲に広がっていく。
口に含むと、鼻まで抜けていく甘い芳香。
飲み込むと、熱がグーッと喉の奥に流れ込んでいく。
いやー、うまい。
いい酒だ。
ワインともビールとも違う。
強いのに甘い酒を、強烈な香りとともに楽しむやつだ。
「ああ~! これは美味しい……。凄いお酒だ……!!」
目を輝かせるジェイド。
ラビハはかなり薄めたものを飲んだのだが、すぐに真っ赤になってしまった。
「ああ~」
「ラビハがフラフラになっている! これは、人によってはもっともっと薄めないとなあ……」
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