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島流しにされた第三王子は、遺跡から発掘された幼女と古代文明の島で開拓スローライフする  作者: あけちともあき
新しい住人を迎え入れたい

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第40話 俺が君たちの領主だぞ

 破壊した船の中を降りていく。

 むっ、悪臭だ!


 この暗い船底に、40人の奴隷が詰め込まれていたというのか。

 不衛生だと病気になってしまうぞ。


「ゼータ、換気してくれ」


「はーい。ブラウ・ブライ・ノブライト! 空気よ入れ替われー!」


 サイム号を完全掌握しているゼータの命令で、船の壁面がガチャガチャと音を立てて開き始めた。

 そこから船内に新鮮な空気が入っていく。


 船底から、驚く声が漏れ聞こえた。


「生きているっぽいな。では行こう。おーい」


 船底へ向かう階段がある。

 これを使って下っていくと、奴隷たちが悲鳴をあげた。

 あっ、魔人の奴隷商だと思って怯えてるな?


「怯えなくていい。俺は君たちを領民として勧誘に来たんだ。なお、絶海の孤島なので選択肢はないぞ」


 換気口から流れ込む空気と、差し込む太陽の光。

 それに照らされた俺が、どうやら人間らしいとみんな気付いたようだ。


 奴隷たちは男女が分けられて船底に詰め込まれており、ここは男たちの部屋のようだった。

 一人の青年が立ち上がった。

 衣装はボロボロで痩せこけているが、目にはまだ強い光が宿っている。


「あんたは……誰だ。俺達を、どうするつもりだ」


「おっ、大陸標準語だ。ということは、大陸のどこかの国にいたのか? 俺の名はハイザットだ。この島……ルナス島の領主をやっている。お前たちは俺の領民になる」


「領民……!? つまり……お前があの化物から、俺たちを買ったということか……!」


「化物は全部俺が滅ぼしたからもういないぞ」


「……えっ!?」


 青年が唖然とした。


「おじさまはいきなり話を飛ばしますからね! 会話には段階というものがあるんですよー。みなさーん。皆さんは自由ですからね! でも、ここは絶海の孤島なので、おじさまの治めている島に住んで暮らしていくのが推奨ですよってことです。このおじさまは恐ろしい怪人ですが、基本的に善良ですから」


「恐ろしい怪人だとう!? まあいい。君たち、疑うなら甲板に出るがいい。俺が半分吹き飛ばしたから怪我しないように注意してくれよな」


「そんな……。あの恐ろしい化物を……。俺の国を滅ぼした化物を倒した……!? あんたが!? どれだけの軍隊を引き連れてきたんだ!?」


「一人だが」


「一人で!?」


 どよめく男の奴隷たち。

 その中のおじさんが立ち上がった。


「あ、あのう! あなた様!」


「ハイザットか、呼びにくかったら領主様と呼ぶといい」


「は、はい領主様! あの、女たちは無事なんでしょうか!」


「そっか、男女別の部屋だったもんな。女はあっち? 分かった。船室の壁をぶち抜いていこう。そいっ」


 壁を切り刻み、引っ剥がす。


「おじさまが魔力の掛かった強化板を薄っぺらなベニヤのように破壊してますねえ」


「鉄板も薄い木の板も変わらんだろ」


「何を言ってるんですか?」


 俺の後ろでは、男たちが総立ちになってうおおおおおおお!!と歓声をあげている。


「俺たちが、腕から血が出るまで叩いてもびくともしなかったのに!」


「嘘みたいにべりべり剥がれる!!」


「すげえ! この人すげえぜ!!」


「本当に……魔人ブラーンを倒したのか、あなたが……!!」


 青年が呆然と呟いた。


「そうだぞ。だから俺がここでどんな無法を働いても誰一人降りてこないだろ」


「ほんとだ……」


 一匹残らず滅ぼしたからな。

 俺の領地に無断で入り込む無礼な連中だったから、自業自得なのだ。


 さて、壁を破った先に、女たちの部屋があった。

 彼女たちは怯えて部屋の隅に固まっていたのだが、破壊された壁から男たちがワーッとやってくるのを見て次々立ち上がる。


「生きてたの!?」


「良かったー!!」


「また会えるとは思わなかった……!」


 再会を喜び合っているな。

 さて、ここで俺は改めて彼らに自己紹介した。


「えー、この奴隷船が俺の領地にやって来て漁の邪魔をするので、俺が抗議に来た。そうしたら攻撃をしてきたので、反撃して滅ぼしたんだ。結果的に君たちを縛るものは誰もいなくなった。ただし、君たちがいるここは絶海の孤島であり、俺の領地である。領民となって暮らしていかねば生き残れないので、領民になるように」


 ここで、さっきの青年が代表して質問してきた。


「ハイザット様。あなたに従うということは、奴隷になれということですか?」


「いや、俺の領地は今、絶賛開拓中でな。次々に新しい作物が発見され、畑が広がっていっているところだ。そこで働き、作物を収穫する手が足りないのだ! さらに、君たちが加わることで異国の料理や文化がうちの領地に広がることも期待できる。それからうちの領民の血が濃くなりすぎない。大変期待しているのだ」


「えー、つまりですね。おじさまは皆さんを歓迎します、仕事と食べ物をあげます、統治はするけど君臨しませんって言っています」


「ゼータは要点をまとめるのが上手いな」


 俺は感心してしまった。

 おおーっとどよめき、納得する彼ら。

 もはや奴隷ではない。

 うちの新しい領民だ。


「よし、じゃあ船を桟橋に横付けする。うちの領民たちに君たちを紹介し、住まいも用意させよう。あとは君たち、体を洗い、飯をしっかり食うようにな。頼むぞゼータ」


「はーい! ブラウ・ブライ・ノブライト! 船よ、動けー」


 ゼータの思うままに巨大船が動き、桟橋に横付けされた。

 換気口から、俺を先頭に降りる。


「おーい。新しい領民を連れてきたぞ! 奴隷商人は全滅させたから後腐れもない!」


「ほえー」


 リック船長は唖然としていた。


「数百年間、海で暴れまわっていた魔人商人を……。ものの一時間ほどで」


 そのうちの55分くらいは元奴隷の彼らと対話してた時間だぞ。

 かくして、俺の領地に新しい仲間が加わった。


 俺に向かって物申した青年を彼らのリーダーとすることにしよう。


「以降、彼らの意見は君を通じて俺に言ってくれ。名前は?」


「ジェイドだ」


「よろしくジェイド。頼りにしてるからな」


 俺は彼と固い握手を交わした。

お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
ジェイド……恋人が次々とアレしそうな名前だけど、 1文字違うな!! セーフ。たぶんセーフw
>「鉄板も薄い木の板も変わらんだろ」 和紙と障子紙くらいの差かなw しかしハイザット一人だったら船の制御とかがなくても 説明不足での説得失敗からの峰打ち失敗で悲惨ことになってたのではw
移動時間を考慮したら、ブラーンの処理に1分もかかってないというw
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