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虎無双、虎無双。  作者: BB
7章

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98/112

第98話「虎が、島の影を追う」

# 虎無双、虎無双。


## 第98話「虎が、島の影を追う」


---

カクゥー。カクゥー。

カラスが鳴いている。


翌朝、

虎とステラは、

ガクトに教わった、

影が目撃された場所へと、

向かった。


山と麓の境目にある、

細い道の途中だった。


ステラ「昨日、あの影を見たのは、この辺りでしたね」

虎「ああ」


……………………………………………………………………………………………


モチが、

地面に、

体を薄く広げて、

何かを探るように、

動いていた。


虎「モチ、何か見つけたか」


モチが、

虎の足元まで、

細長く伸びて、

一方向を指し示した。


……………………………………………………………………………………………


虎「あっちに、続いているのか」


ステラも、

その方向を、

確認した。


ステラ「足跡のようなものが、あります」

虎「追ってみよう」


……………………………………………………………………………………………


道を外れて、

茂みをかき分けながら、

進んでいった。


しばらく歩くと、

小さな茶屋が、

見えてきた。


ステラ「……こんな場所に」

虎「立ち寄ってみるか」


……………………………………………………………………………………………


茶屋の店主が、

虎たちを見て、

少し驚いた顔をした。


店主「珍しいね。こんな山奥まで、来る旅人は」

虎「調べ物をしている」


……………………………………………………………………………………………


店主が、

虎の懐にある、

エンブレムに気づいた。


店主「三つ揃えたのかい。大したもんだ」

虎「最近、この辺りで、怪しい連中を、見かけないか」


……………………………………………………………………………………………


店主が、

少し表情を、

曇らせた。


店主「……ああ、いるよ。前は、ちょくちょく、うちにも来てたが、最近は、姿を見せない」

虎「どんな連中だ」


……………………………………………………………………………………………


店主「みんな、覇気のない目をしていてね。バトルで、負け続けた連中だって、噂だ」

ステラ「負け続けた」


虎(それで、あの目立たない動き方を、するのか)


……………………………………………………………………………………………


店主が、

団子を、

串に刺して、

出してくれた。


店主「話も、腹が減っては、続かないだろう」


虎は一口食べた。


……………………………………………………………………………………………


虎「……」


もちもちとした団子の食感に、

甘辛い醤油だれが、

しっかりと絡んでいた。

香ばしく炙られた表面の焦げ目が、

噛むほどに、

香りを広げてくる。

素朴だが、

どこか懐かしい、

温かみのある味だった。


虎「……うまい。歩き疲れた体に、ちょうどいい甘さだ」

ステラも一口食べた。


ステラ「……確かに、ほっとする味です」


……………………………………………………………………………………………


店主が、

続けて言った。


店主「あいつら、火山の方に、向かうのを、見た奴がいるって話だ」

虎「火山」


虎(この島に、火山があるのか)


……………………………………………………………………………………………


ステラが、

地図を確認しながら言った。


ステラ「山岳部の、さらに奥に、活火山があるようです」

虎「そこに、拠点があるのか」


……………………………………………………………………………………………


店主が、

心配そうに言った。


店主「あの辺りは、危ないよ。バトルで負けた連中が、何を、考えているか」

虎「見に行ってみる」


……………………………………………………………………………………………


団子を食べ終えると、

虎とステラは、

茶屋を出て、

火山の方角へと、

足を進めた。


道は、

さらに険しくなり、

硫黄の匂いが、

かすかに、

漂い始めた。


……………………………………………………………………………………………


モチが、

虎の肩の上で、

警戒するように、

体を尖らせた。


ハクも、

上空で、

慎重に、

周囲を見渡している。


……………………………………………………………………………………………


虎(先ほどの影と、同じ気配がある)


虎は、

足を止めて、

辺りの気配を、

探った。


……………………………………………………………………………………………


しばらく進むと、

岩場の陰に、

複数の人影が、

見えた。


ステラ「……いました」

虎「静かに、近づこう」


……………………………………………………………………………………………


岩陰から、

様子を伺うと、

みすぼらしい格好をした、

数人の男女が、

集まっているのが、

見えた。


その中心に、

一人の男が、

立っていた。


……………………………………………………………………………………………


男の声が、

かすかに、

聞こえてきた。


男「……もうすぐだ。伝説のケモンガを、目覚めさせれば、この島は、変わる」


虎(伝説のケモンガ、と言ったか)


……………………………………………………………………………………………


別の一人が、

不安そうに言った。


女「本当に、いいんでしょうか、こんなこと」

男「勝てない連中に、居場所はない。この島を、リセットするしかないんだ」


……………………………………………………………………………………………


虎(バトルで、勝てないから、島全体を、変えようとしているのか)


虎(そういう、絶望が、あるのかもしれないな)


ステラが、

虎の袖を、

そっと引いた。


……………………………………………………………………………………………


ステラ「虎様、どうしますか」

虎「まずは、話を聞く」


虎(力ずくで、止める前に、事情を、知っておきたい)


……………………………………………………………………………………………


だが、

虎が動こうとした瞬間、

モチが、

何かに反応するように、

形を、

波打たせた。


虎「……気づかれたか」


……………………………………………………………………………………………


岩陰の集団が、

一斉に、

虎たちの方を、

振り返った。


男「……誰だ」


虎は、

岩陰から、

姿を現した。


……………………………………………………………………………………………


虎「話を聞かせてくれ」

男「……エンブレムを、三つ持っているな」


男の目が、

鋭く、

虎を見つめた。


……………………………………………………………………………………………


男「島長への、挑戦者か。だが、もう、遅い」

虎「遅い、とは」


……………………………………………………………………………………………


男が、

ゆっくりと、

振り返って、

火山の方を、

指差した。


男「もうすぐ、伝説のケモンガが、目覚める。その時、この島は、生まれ変わる」


……………………………………………………………………………………………


まずいな


虎(急いで、止める必要が、あるかもしれない)


ステラが、

緊張した面持ちで、

虎の隣に立った。


……………………………………………………………………………………………


虎「その計画、止めさせてもらう」

男「……できるものなら、やってみろ」


男の表情に、

覚悟のようなものが、

浮かんでいた。


……………………………………………………………………………………………


虎は、

その目を、

じっと見つめた。


虎(この男、迷いがあるようにも、見えるな)


虎(だが、止められない、何かも、抱えているんだろう)


火山の方角から、

かすかに、

地響きのようなものが、


グツグツと。

鬱屈したモノの唸りに聞こえた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ステラ「次回予告です」

虎「ああ」

ステラ「悪人たちの、正体がわかりましたね」

虎「バトルで、勝てなかった連中、か」

ステラ「団子、素朴で美味しかったです」

虎「甘辛いたれが、よかったな」

ステラ「伝説のケモンガ、気になります」

虎「島を変える、と言っていた」

ステラ「……おおむね、緊迫した状況です」

虎「おおむね、か」

ステラ「おおむね、です」

虎「次の予告をしてくれ」

ステラ「次回、『虎が、リーダーの葛藤を知る』」

虎「あの男の、本音を聞きたい」

ステラ「はい。楽しみですね」

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