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虎無双、虎無双。  作者: BB
7章

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97/112

第97話「虎が、山岳部リーダーに挑む」

# 虎無双、虎無双。


## 第97話「虎が、山岳部リーダーに挑む」


---


ゾボボボボ…!

家の門が開く。


老爺に案内されて、

集落の奥にある、

大きな家に、

たどり着いた。


石造りの建物の前に、

筋骨隆々とした、

壮年の男が、

立っていた。


老爺「山岳部リーダー、ガクト様だ」

虎「虎という。挑みに来た」


……………………………………………………………………………………………


ガクトが、

虎を、

値踏みするように見た。


ガクト「エンブレムを、二つ持っているそうだな」

虎「そうだ」


ガクトが、

腕を組んだ。


ガクト「山岳部は、単純な力比べだ。小細工は、通用しない」

虎「望むところだ」


……………………………………………………………………………………………


ガクトの隣に、

大きな岩のような、

甲羅を背負ったケモンガが、

控えていた。


ステラ「……あれは」

虎「亀型か。頑丈そうだな」


……………………………………………………………………………………………


ガクトが、

少し笑った。


ガクト「うちのケモンガは、防御力なら、島一番だ。正面から、削り切ってみせろ」

虎「面白い」


虎(モチの分身と、力押しで、削っていくしかないな)


……………………………………………………………………………………………


試合は、

明日の朝、

行われることになった。


その日の夜、

虎とステラは、

宿として用意された、

小さな山小屋に、

案内された。


……………………………………………………………………………………………


宿の主人が、

夕食を、

用意してくれた。


大きな鍋に、

根菜と干し肉が、

たっぷり煮込まれている。


主人「山岳部特製の、ポトフだ。冷える体には、これが一番だよ」


……………………………………………………………………………………………


虎は一口食べた。


虎「……」


干し肉の旨みが、

じっくりと煮出されて、

根菜の甘みと、

溶け合っていた。

噛むほどに、

体の芯から、

温まっていくような味わいで、

今日一日、

冷えた体に、

まっすぐ染み渡ってくる。


虎「……うまい。この寒さの中じゃ、格別だな」

ステラも一口食べた。


ステラ「……確かに、体が、温まります」


……………………………………………………………………………………………


主人が、

にこやかに言った。


主人「この時期の根菜は、味が、濃くなるんだ。冬支度の、恵みだよ」

虎「そういう味か」


……………………………………………………………………………………………


食事をしながら、

虎はガクトの言葉を、

思い返していた。


虎(力比べ、か)


虎(モチの器用さより、単純な力の方が、試されそうだな)


……………………………………………………………………………………………


ステラが、

虎の様子を見て、

聞いた。


ステラ「何か、考え事ですか」

虎「明日の試合のことだ」


虎「モチの分身を使っても、亀の甲羅は、崩せないかもしれない」


……………………………………………………………………………………………


ステラが、

少し考えてから言った。


ステラ「ハクさんの、上空からの支援は、使えますか」

虎「地上の力比べだ。空からの一撃で、隙を作れれば」


虎(連携すれば、単純な力比べにも、工夫が入る)


……………………………………………………………………………………………


翌朝、

集落の広場に、

試合の準備が、

整えられていた。


観客席には、

山岳部の住民たちが、

すでに集まっている。


……………………………………………………………………………………………


ガクトが、

亀型のケモンガと共に、

広場の中央に、

姿を現した。


ガクト「準備は、いいか」

虎「ああ」


……………………………………………………………………………………………


老爺が、

審判として、

右手を上げた。


老爺「では、始め!」


……………………………………………………………………………………………


試合が始まると、

亀型のケモンガが、

甲羅を、

虎に向けて、

突進してきた。


虎はそれを、

両腕で受け止めた。


……………………………………………………………………………………………


どごん。


衝撃が、

腕に響いた。


虎(重い。だが、耐えられる)


亀型が、

そのまま、

体重をかけて、

押し込んでこようとした。


……………………………………………………………………………………………


ステラが、

上空から、

声をかけた。


ステラ「虎様、上です!」


ハクが、

急降下しながら、

水の弾を、

亀型の甲羅に、

撃ち込んだ。


……………………………………………………………………………………………


甲羅に、

一瞬、

動揺が走った。


虎(今だ)


虎は、

その隙を突いて、

甲羅の縁に、

手をかけた。


……………………………………………………………………………………………


虎(引っくり返す)


虎は、

渾身の力を込めて、

亀型のケモンガを、

持ち上げた。


……………………………………………………………………………………………


会場が、

どよめいた。


観客A「持ち上げた……!」

観客B「あの甲羅を……!」


……………………………………………………………………………………………


虎は、

そのまま、

亀型のケモンガを、

横倒しにした。


足が、

宙で、

無防備にばたついている。


……………………………………………………………………………………………


老爺が、

すぐに、

勝敗を宣言した。


老爺「勝負あり! 虎選手の勝利だ!」


……………………………………………………………………………………………


ガクトが、

少しの間、

呆然としていたが、

やがて、

豪快に笑い出した。


ガクト「……力比べで、負けたのは、初めてだ」

虎「モチとハクの、連携のおかげだ」


……………………………………………………………………………………………


ガクトが、

懐から、

最後のエンブレムを、

取り出した。


ガクト「三つ目の証だ。受け取れ」


虎が、

それを受け取ると、

三枚のエンブレムが、

一斉に、

強い光を放った。


……………………………………………………………………………………………


ステラが、

その光を見て、

息をのんだ。


ステラ「……揃いましたね」

虎「ああ」


虎(これで、島長に、会える)


……………………………………………………………………………………………


ガクトが、

虎の肩を、

軽く叩いた。


ガクト「よくやった。だが、油断はするなよ」

虎「何かあるのか」


……………………………………………………………………………………………


ガクトの表情が、

少し、

曇った。


ガクト「……最近、山の中で、妙な連中を、見かける。お前も、道中で、何か見たんじゃないか」

虎「岩陰に、隠れる影を見た」


……………………………………………………………………………………………


ガクトが、

低い声で言った。


ガクト「ここ最近、バトルで、勝てなかった連中が、集まっているという、噂がある」

虎「勝てなかった連中」

ガクト「詳しいことは、わからん。だが、何かを、企んでいる気がしてならない」


……………………………………………………………………………………………


虎は、

その言葉を、

心の中で、

反芻した。


虎(あの影も、そういう連中の、一人だったのかもしれないな)


……………………………………………………………………………………………


夕方、

祝勝の場が、

広場で、

開かれた。


宿の主人が、

昨夜のポトフを、

もう一度、

振る舞ってくれた。


……………………………………………………………………………………………


虎は、

一口飲んだ。


虎「……」


昨夜よりも、

さらに、

煮込まれた分、

根菜の甘みが、

深くなっていた。

勝利の余韻の中で食べると、

その温かさが、

一層、

染み渡ってくる。


虎「……うまい。今日の勝利に、ちょうどいい味だ」

ステラも一口飲んだ。


ステラ「……本当に、おめでとうございます」


……………………………………………………………………………………………


食事を終えて、

宿に戻ると、

虎は三枚のエンブレムを、

並べて見つめた。


虎(あと少しで、島長に、会える)


虎(だが、あの怪しい連中のことも、気になるな)


……………………………………………………………………………………………


モチが、

虎の膝の上で、

静かに丸まっていた。


ステラが、

ハクを撫でながら、

言った。


ステラ「虎様、あの影のこと、調べてみますか」

虎「そうだな。島長に、会う前に、少し、調べてみよう」


……………………………………………………………………………………………


窓の外に、

山岳部の、

澄んだ夜空が、

広がっていた。


虎はエンブレムを、

懐にしまいながら、

呟いた。


虎(この島にも、影がある、か)


月影が、

三枚のエンブレムに

暗闇を差した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ステラ「次回予告です」

虎「ああ」

ステラ「三つ目のエンブレム、手に入りましたね」

虎「ガクトさんも、いい相手だった」

ステラ「ポトフ、二晩とも、美味しかったです」

虎「根菜の甘みが、深かったな」

ステラ「怪しい連中の話、気になります」

虎「調べてみる必要がありそうだ」

ステラ「……おおむね、次の展開が、読めません」

虎「おおむね、か」

ステラ「おおむね、です」

虎「次の予告をしてくれ」

ステラ「次回、『虎が、島の影を追う』」

虎「あの影の正体、突き止める」

ステラ「はい。楽しみですね」

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