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虎無双、虎無双。  作者: BB
7章

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89/112

第89話「虎が、南の海へ出る」


港に着くと、

南方行きの船が、

すでに停泊していた。


ステラが、

チケットを確認しながら言った。


ステラ「ケモンガ島まで、三日ほどの船旅だそうです」

虎「ケモンガ島」

ステラ「島の名前です。詳しい情報は、まだ、あまり出回っていません」


……………………………………………………………………………………………


船乗りが、

荷物を積み込みながら、

話しかけてきた。


船乗り「ケモンガ島に、行くのかい」

虎「そうだ」

船乗り「珍しいな。あそこは、独特な文化がある島だから、驚くと思うぞ」


虎「独特、とは」

船乗り「行けば、わかるさ」


……………………………………………………………………………………………


船が出航すると、

海風が心地よく、

甲板を吹き抜けた。


ステラが、

遠くの水平線を見ながら言った。


ステラ「久しぶりの、海の旅ですね」

虎「そうだな」


虎(クラーケンの時以来か)


虎(今回は、平和な航海だといいが)


……………………………………………………………………………………………


一日目は、

特に何事もなく過ぎた。


夕食に、

船の食堂で、

魚介のスープが出された。


虎は一口飲んだ。


虎「……」


出汁が濃く、

魚の旨みが、

しっかりと溶け込んでいた。

潮の香りが、

そのまま食欲に変わるような味で、

これから向かう場所への期待を、

高めてくれるようだった。


虎「……うまい。海の旅は、飯もいいな」

ステラも一口飲んだ。


ステラ「……確かに、体が温まります」


……………………………………………………………………………………………


二日目、

甲板で、

船員の一人が、

不思議な生き物を、

連れているのが見えた。


小さな、

丸い形をした生き物が、

その船員の肩に乗っている。


ステラ「……あれは」

虎「見たことのない姿だな」


……………………………………………………………………………………………


その船員が、

虎たちの視線に気づいて、

笑いながら言った。


船員「ああ、これか。ケモンガだよ。俺の相棒だ」

虎「ケモンガ」

船員「島の外じゃ、あまり見ないだろうな。この子は、島から連れ出しちゃいけない決まりがあるんだ」


……………………………………………………………………………………………


虎(連れ出せない、とは)


虎「なぜだ」


船員が、

少し考えるように言った。


船員「詳しい理由は、俺も知らないが……ケモンガは、あの島の力そのものだって、言われてる。だから、勝手に外には出せない」


……………………………………………………………………………………………


ステラが、

興味深そうに、

その生き物を見つめた。


ステラ「……可愛らしいですね」

船員「島に着けば、みんなが、自分のケモンガを持ってる。お前さんたちも、きっと、一匹選ぶことになる」


虎「選ぶ」

船員「そういう習わしなんだ」


……………………………………………………………………………………………


夜、

甲板で、

虎はケモンガという生き物について、

考えを巡らせた。


虎(デバイスであり、ペットであり、戦闘にも使えると聞いた)


虎(面白そうな仕組みだ)


ステラが、

虎の隣に来て言った。


ステラ「虎様、楽しみですか」

虎「ああ」


……………………………………………………………………………………………


三日目、

遠くに、

島の輪郭が見えてきた。


緑豊かな山と、

広がる田畑、

そして海沿いの賑やかな街並みが、

一望できた。


ステラ「……あれが、ケモンガ島ですね」

虎「大きい島だな」


船が近づくにつれて、

街の音や、

人々の声が、

聞こえてくるようになった。


……………………………………………………………………………………………


港に降り立つと、

すぐに、

虎たちは、

その光景に驚かされた。


誰もが、

何らかのケモンガを、

連れていた。


犬のようなもの、

鳥のようなもの、

形の定まらない、

不思議なものまで、

様々だった。


ステラ「……本当に、みんな、連れていますね」

虎「賑やかな島だ」


……………………………………………………………………………………………


港の案内所で、

係員が、

虎たちに説明した。


係員「初めてのお客さんですね。この島に滞在する間は、みなさん、ケモンガを、相棒にしていただきます」

虎「島を出る時は」

係員「ケモンガは、島に返していただく決まりです。連れ出すことは、できません」


……………………………………………………………………………………………


虎(船員の言っていた通りだな)


虎(何か、理由があるんだろう)


ステラが、

係員に聞いた。


ステラ「相棒は、どうやって選ぶのですか」

係員「明日、選定の儀式があります。それまでは、街を見て回るといいですよ」


……………………………………………………………………………………………


案内所を出ると、

街には、

ケモンガ同士が、

仲良く並んで歩く光景が、

あちこちに見られた。


虎は、

その一つを、

興味深く眺めた。


虎(人と、ケモンガの距離が、近いな)


虎(一万年前には、こういう関係性の生き物は、いなかった)


……………………………………………………………………………………………


街の中心部に、

大きな看板があった。


『本日、ケモンガバトル開催中!』


ステラが、

その文字を見て言った。


ステラ「バトル、ですか」

虎「面白そうだ」


看板の先に、

大きな闘技場のような建物が、

見えていた。


……………………………………………………………………………………………


昼食に、

屋台で、

串焼きを買った。


見た目は普通の肉だったが、

店主が、

少し違う説明をしてきた。


店主「これは、島で採れる、特殊な魔力を含んだ肉だよ。ケモンガの、力の源にもなる食材だ」


虎は一口食べた。


虎「……」


普通の肉よりも、

噛むほどに、

じんわりとした力強さが、

体に染み込んでくるような味だった。

香辛料の効いた味付けが、

その独特な旨みを、

うまく引き立てている。


虎「……うまい。力が湧いてくる感じがするな」

ステラも一口食べた。


ステラ「……確かに、不思議な満足感があります」


……………………………………………………………………………………………


夕方、

宿を取って、

島の一日目を、

終えることにした。


窓から、

闘技場の灯りが、

遠くに見えた。


ステラ「虎様、明日は、いよいよ、選定ですね」

虎「どんなケモンガが、来るか」


虎(一万年前には、想像もしなかった旅の形だ)


虎(それも、面白い)


……………………………………………………………………………………………


夜風が、

街を、

静かに包んでいた。


ステラが、

虎の隣で言った。


ステラ「新しい相棒、楽しみです」

虎「ああ」


明日からの、

新しい体験を、

夜が静かに、

待っていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ステラ「次回予告です」

虎「ああ」

ステラ「ケモンガ島、賑やかな場所でしたね」

虎「みんな、相棒を連れていた」

ステラ「明日は、私たちの番ですね」

虎「どんな子が来るか、楽しみだ」

ステラ「ケモンガバトルも、気になります」

虎「見てみたいな」

ステラ「……おおむね、盛りだくさんな滞在になりそうです」

虎「おおむね、か」

ステラ「おおむね、です」

虎「次の予告をしてくれ」

ステラ「次回、『虎が、ケモンガの相棒を選ぶ』」

虎「どんな出会いになるか」

ステラ「はい。楽しみですね」

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