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虎無双、虎無双。  作者: BB
7章

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84/115

第84話「虎が、最後の関門を突破する」



階段を上りきると、

そこは今までとは全く違う空間だった。


森の木々、

無数の柱、

静かな水面。


これまで通ってきた三つの階層の要素が、

すべて一つの部屋に混ざり合っていた。


ステラ「……全部、揃っていますね」

虎「集大成、というやつか」


部屋の中央に、

巨大な影がうずくまっていた。


虎たちが近づくと、

その影がゆっくりと立ち上がった。


木の幹のような太い脚、

柱のように硬質な体表、

そして体の各所に、

水鏡のような反射する面を持っている。


クリス「……これは」

虎「三つの試練が混ざった番人か」


……………………………………………………………………………………………


その巨体が低い唸り声を上げた。


姿を森の色に変えながら、

影の中に一瞬溶け込んだ。


ステラ「……擬態も影渡りも、両方使ってきます」

虎「厄介だな」


虎(一つずつなら、対処法はわかっている)


虎(だが、組み合わされると話が違う)


番人が柱の影から急に姿を現した。


虎はそれを両腕で受け止めた。


どごん。


衝撃が体の芯まで響いた。


虎「……重い。今までの、どの試練より、力が強い」


クリスが杖を構えながら言った。


クリス「光で影渡りを封じる」

虎「頼む」


光の玉が部屋中に広がり、

柱の暗がりを一つずつ消していった。


番人が逃げ場を失って、

苛立つように体を大きく振った。


……………………………………………………………………………………………


その反動で、

体表の色が森の緑から、

むき出しの黒い地肌に戻った。


ステラ「……擬態も崩れています」

虎「今のうちだ」


虎は番人の脚に向かって、

一気に距離を詰めた。


だが番人の体表の一部が、

鏡のように光った。


虎の姿がそこに映り込んだ瞬間、

番人の攻撃が、

まるで虎自身の動きを先読みしたかのように飛んできた。


虎「……なるほど、水鏡の力も使うのか」


虎はとっさに軌道を変えて避けた。


虎(動きを読まれている。同じ攻め方は通用しない)


ステラがすかさず、

番人の背後から攻撃を仕掛けた。


ステラ「私の動きは、まだ読まれていません」


ステラの一撃が番人の背中に確かに入った。


番人が体を大きく揺らして、

苦しげな声を上げた。


クリス「弱点は鏡面の少ない、背中側だ」

虎「わかった」


……………………………………………………………………………………………


虎とステラが連携して、

番人の正面と背後から交互に攻撃を繰り出していく。


番人が反射面を虎の方に向けようとすると、

ステラが背後から攻め、

ステラの方に向けようとすると、

虎が正面から攻めた。


番人(……こんな連携は)


その動きが、

どこか戸惑っているようにも虎には見えた。


虎(一人相手なら無敵の力なんだろう。だが俺たちは一人じゃない)


クリスが最後の光の玉を、

番人の全身に浴びせた。


擬態も影渡りも封じられた番人が、

むき出しの姿で立ち尽くした。


虎はその隙を逃さず、

体の頑丈さ修行と、

肉体火力修行の両方の成果を込めて、

拳を放った。


どごおん。


大きな音とともに、

番人の体に深い亀裂が走った。


番人がゆっくりと膝をついた。


そしてこれまでの試練の生物たちと同じように、

光となって静かに消えていった。


ステラ「……終わりました」

虎「ああ」


……………………………………………………………………………………………


クリスが息を整えながら言った。


クリス「……三つの力が合わさった相手だった。だが私たちも、三人でそれに応えられた」

虎「連携の勝ちだな」


虎(一万年前、一人で戦っていた頃には、こういう戦い方はなかった)


虎(これも悪くない)


戦いの後、

部屋の奥に上へ続く、

最後の階段が現れた。


その手前で、

三人は少しだけ休むことにした。


ステラが荷物から、

残っていた食材をすべて取り出した。


木の実と干し肉を炙って合わせた、

即席の料理だった。


……………………………………………………………………………………………


虎は一口食べた。


虎「……」


木の実の酸味と干し肉の塩気が、

意外なほどよく合っていた。

戦いの後の空腹に、

まっすぐ染み込んでくる味で、

今まで食べてきたどの携帯食よりも満足感があった。


虎「……うまい。手持ちの物を、組み合わせただけなのに」

ステラ「残り物を、集めただけですが」

クリス「……最後の試練の後だからか、格別に感じる」


食べ終えて、

虎は最後の階段を見上げた。


虎「あそこが、頂上だな」

クリス「間違いない。魔力の反応が、これまでで一番強い」


ステラが少し緊張した面持ちで言った。


ステラ「……いよいよですね」

虎「そうだな」


……………………………………………………………………………………………


三人は立ち上がって、

最後の階段に足をかけた。


一段ずつ上っていくたびに、

空気が張り詰めていくのがわかった。


虎(この先に、月文明の手がかりが待っている)


虎(そして、アショカの柱、そのものが)


階段の先に、

淡い光が差し込んでいた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ステラ「次回予告です」

虎「ああ」

ステラ「あの番人、強敵でしたね」

虎「三つの力が合わさっていた」

ステラ「連携で突破できました」

虎「一人じゃ厳しかったかもしれない」

クリス「……いよいよ、最上階だ」

虎「ああ」

ステラ「……おおむね、感慨深いものがあります」

虎「おおむね、か」

ステラ「おおむね、です」

虎「次の予告をしてくれ」

ステラ「次回、『虎が、最上階に立つ』」

虎「何が待っているか」

ステラ「はい。楽しみですね」

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