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虎無双、虎無双。  作者: BB
7章

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82/112

第82話「虎が、柱の影を追う」



階段を上りきると、

景色が一変した。


無数の石柱が、

規則正しく並ぶ、

広大な空間だった。


天井は高く、

柱の合間から差し込む光が、

複雑な影を床に落としている。


ステラ「……柱だらけですね」

虎「見通しが、悪いな」


クリスが杖をかざして、

周囲を確認した。


クリス「……魔力の反応が、あちこちにある。だが、姿は見えない」


虎(森とは、違う種類の厄介さだ)


虎(潜む場所が、多すぎる)


三人が慎重に進むと、

床の影の一つが、

不自然に伸びた。


ステラ「……あの影」


伸びた影が、

急に人型に近い形を作って、

床から浮き上がった。


クリス「敵だ」


……………………………………………………………………………………………


影の生物が、

虎に向かって、

腕を伸ばしてきた。


虎はそれを避けようとしたが、

影は柱の影に紛れて、

一瞬で消えた。


虎「……逃げたか」

クリス「いや、違う。別の影に、移動しただけだ」


離れた場所の影が、

再び動き出した。


ステラが、

その動きを観察しながら言った。


ステラ「光の当たっていない場所を、渡り歩いているようです」

虎「影から影へ、瞬間移動しているのか」

クリス「おそらく、そうだ。光の届く場所には、出てこられない」


なるほど


虎(それなら、対処法はある)


……………………………………………………………………………………………


虎「クリス、光を集められるか」

クリス「できる。だが、範囲は限られる」

虎「十分だ」


クリスが杖を掲げて、

光の玉を、

いくつも生み出した。


光の玉が、

柱の合間の暗がりを、

次々と照らしていった。


影の逃げ場が、

少しずつ狭まっていく。


影の生物が、

慌てたように、

残った暗がりを求めて動いた。


ステラ「あちらです」

虎「見えた」


虎は光の届かない、

最後の影に向かって、

一気に距離を詰めた。


影が、

逃げ切れずに、

実体を伴って現れた。


黒い霧のような体に、

赤い目だけが浮かんでいる。


虎はその体を、

正面から掴んだ。


虎「捕まえた」


……………………………………………………………………………………………


クリスが、

さらに光を強めた。


光に包まれると、

影の体が、

少しずつ薄くなっていき、

やがて完全に消えた。


ステラ「……倒せましたね」

虎「光で、追い詰めるのが、正解だったな」


だが、

すぐに、

別の影が動き出した。


一体だけではなく、

複数の影が、

同時に活動を始めていた。


クリス「……数が、多い。一度に、全部の影を、照らすのは難しい」

虎「分担しよう」


ステラが、

自分の周囲に、

細い光の糸を、

張り巡らせた。


ステラ「私の周りには、寄せ付けません」


虎は、

クリスの光を頼りに、

影を一体ずつ、

確実に仕留めていった。


……………………………………………………………………………………………


しばらく戦い続けて、

ようやく、

影の気配が静まった。


ステラ「……終わったでしょうか」

虎「気配は、感じない」

クリス「一区切り、ついたようだ」


三人は、

その場に座り込んで、

一息ついた。


ステラが荷物から、

森で採った木の実を、

取り出した。


ステラ「戦いの後は、これを」


虎は一口食べた。


虎「……」


爽やかな酸味が、

戦いで乾いた喉に、

心地よく染み渡った。

森で食べた時よりも、

今この瞬間の方が、

その味わいが、

はっきりと感じられる気がした。


虎「……うまい。緊張の後の一口は、いつもより、味が濃く感じるな」

ステラ「持ってきて、正解でした」


クリスも一口かじりながら言った。


クリス「……こういう時の食事は、疲れが、抜けていく感じがする」


……………………………………………………………………………………………


休憩を終えて、

柱の間を、

さらに奥へと進んだ。


ステラが、

床の一角を指差した。


ステラ「……あそこ、様子が違います」


柱の並びが途切れた場所に、

古い紋様の刻まれた、

石の台座があった。


虎「祭壇のようなものか」


クリスが近づいて、

紋様を確認した。


クリス「……これは、古い言語だ。読める部分がある」


クリス「『影を統べる者、光を恐れず、進むべし』」


虎「今の試練の、答えみたいなものだな」

クリス「後から、種明かしをされている感じだ」


台座の奥に、

さらに上へと続く、

通路が見えた。


虎「次だな」

ステラ「はい」


……………………………………………………………………………………………


通路を進みながら、

クリスが静かに言った。


クリス「……この塔、階層ごとに、明確な意図がある。試す力が、それぞれ違う」

虎「森は、気配を読む力。ここは、光と影を、使い分ける力」


虎(次は、何が試されるんだろうな)


虎(面白くなってきた)


三人は、

新しい通路の先に、

まだ見ぬ光景が待っていることを感じながら、

足を進めていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ステラ「次回予告です」

虎「ああ」

ステラ「柱の階層、突破しましたね」

虎「光を使うのが、鍵だった」

ステラ「クリスさんの光魔法が、活躍しました」

クリス「……役に立てて、よかった」

虎「次は、また違う試練だろうな」

ステラ「……おおむね、まだまだ先は長そうです」

虎「おおむね、か」

ステラ「おおむね、です」

虎「次の予告をしてくれ」

ステラ「次回、『虎が、次の試練を越える』」

虎「今度は、何が待っているか」

ステラ「はい。楽しみですね」

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