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虎無双、虎無双。  作者: BB
7章

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81/112

第81話「虎が、森林階層に挑む」


翌朝、

三人は鉄塔の入り口に立った。


裂け目の奥は、

思ったより広く、

中に足を踏み入れると、

空気が一変した。


ステラ「……これは」

虎「森、か」


外から見た金属の塔とは思えないほど、

青々とした木々が生い茂り、

鳥の声まで聞こえてきた。


クリス「……幻覚ではない。本当に、森としての機能を持っている」

虎「柱の内側に、こんな空間が」


虎(あの街の噂通りだ。森の階層、というやつだな)


虎(先へ進むしかない)


……………………………………………………………………………………………


三人は木々の間を、

慎重に進んでいった。


しばらく歩くと、

足元の草が、

不自然に揺れた。


ステラ「……何か、います」

虎「わかっている」


木の幹に、

何か大きな影がへばりついていた。


だが、

見た目は木肌そのもので、

言われなければ気づかないほどだった。


クリス「……カメレオンか」

虎「擬態しているな」


……………………………………………………………………………………………


影が、

急に動いた。


体長は虎の背丈ほどある、

巨大なトカゲのような生物だった。

体表の色が、

周囲の木々と同じ模様に、

瞬時に変化していく。


虎はその動きを、

じっと観察した。


虎(目で追うのは、難しいな。だが)


虎(気配までは、消せていない)


ステラが構えながら言った。


ステラ「姿が見えなくなりました」

虎「音と匂いで、追える」


……………………………………………………………………………………………


虎は目を閉じて、

気配を辿った。


背後から、

気配が急速に近づいてくる。


振り返らずに、

虎は腕を後ろに振った。


拳が、

何かに当たる感触があった。


カメレオンの姿が、

一瞬だけ、

はっきり現れて、

すぐにまた木々に紛れた。


虎「見えたぞ」

クリス「捕捉した。位置を、伝える」


クリスが杖の先を、

小さく光らせた。


淡い光の粒が、

カメレオンの周囲に、

まとわりついた。


……………………………………………………………………………………………


姿を隠しても、

その光だけは、

消えなかった。


虎「これは、いい」

クリス「擬態は、視覚を欺くだけだ。魔力の粒子までは、隠せない」


光の位置を頼りに、

虎が距離を詰めた。


カメレオンが、

慌てて逃げようとしたが、

その動きは、

もう光で丸見えだった。


虎は、

その巨体を、

正面から受け止めた。


どごん。


一撃で、

カメレオンの動きが止まった。


しばらくすると、

その姿は、

淡い光になって、

消えていった。


ステラ「……倒すと、消えるんですね」

虎「試練の一部、ということだろう」


……………………………………………………………………………………………


森はさらに奥へと続いていた。


歩きながら、

ステラが木の実を見つけた。


ステラ「……食べられそうな実です」


慎重に確認してから、

一つ手に取ってみた。


虎が受け取って、

一口かじった。


虎「……」


外側は硬かったが、

中の果肉は柔らかく、

噛むたびに、

爽やかな酸味が広がった。

森の湿った空気の中で食べると、

その酸味が、

妙に体に染み渡る感じがした。


虎「……うまい。この階層、意外と、恵みがあるな」

ステラも一口食べた。


ステラ「……確かに、爽やかです」


クリスも味わいながら言った。


クリス「……この森、単なる試練の場ではなく、生態系として機能している」

虎「そういうことか」


虎(力ずくの牢獄ではなく、一つの世界を、内部に作り上げている)


虎(一万年前にも、こんな技術はなかった)


……………………………………………………………………………………………


森の奥に進むと、

さらに数体の、

カメレオン型の魔物が現れた。


だが、

一度コツを掴んだ後は、

クリスの魔力探知と、

虎の反射で、

着実に対処できた。


ステラも、

自分の動きで、

一体を誘導して、

虎の一撃に繋げた。


しばらく戦った後、

森が急に開けた。


そこに、

上へと続く階段があった。


石でできた、

古い階段だった。


虎「……ここが、この階層の終わりか」


……………………………………………………………………………………………


クリスが、

階段を見上げながら言った。


クリス「次の階層は、また違う環境のはずだ」

虎「柱が並ぶ場所だと、聞いていたな」


階段の手前で、

少し休憩を取ることにした。


ステラが、

先ほど見つけた木の実を、

もう少し集めていた。


ステラ「持って帰れるだけ、持って帰りましょう」

虎「いい判断だ」


虎(この森の恵みは、旅の間、役に立ちそうだ)


……………………………………………………………………………………………


一息ついてから、

虎は階段を見上げた。


虎「次だな」

ステラ「はい」


クリスが杖を握り直した。


クリス「柱の階層、どんな試練が待っているか」


三人は、

階段を、

上へと登り始めた。


森の緑が、

少しずつ、

後方に遠ざかっていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ステラ「次回予告です」

虎「ああ」

ステラ「森林階層、無事に突破しましたね」

虎「カメレオン、面白い相手だった」

ステラ「木の実も、収穫できました」

虎「うまかったな」

クリス「……次は、柱の階層らしい」

虎「影に潜む敵がいる、という話だったな」

ステラ「……おおむね、油断できない予感がします」

虎「おおむね、か」

ステラ「おおむね、です」

虎「次の予告をしてくれ」

ステラ「次回、『虎が、柱の影を追う』」

虎「今度は、光じゃなく、影が鍵か」

ステラ「はい。楽しみですね」

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