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虎無双、虎無双。  作者: BB
6章

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77/113

第77話「虎が、祭りを見守る」

当日の朝、

広場はすでに賑わい始めていた。


屋台が並び、

色とりどりの旗が風に揺れている。


中央に大きな看板が立っていた。


『でこボコまつり』


ノラがその下で、

最終確認をしていた。


ノラ「準備、整いました。あとはお客さんを待つだけです」

虎「賑やかになりそうだな」


……………………………………………………………………………………………


開始時刻になると、

人々が続々と集まってきた。


ビッグ人とノーマルサイズの人が入り混じって、

広場に広がっていく。


司会役のボランティアが声を張り上げた。


司会「さあ、でこボコまつり、開幕です! ペアを組んでスタンプを集めよう!」


……………………………………………………………………………………………


虎とステラ、

クリスは広場の隅からその様子を見守っていた。


ステラ「……たくさんの人が来ましたね」

虎「思った以上だ」


近くで親子連れが受付に並んでいた。


母親「ほら、あの大きいお兄さんと組んでみたら」

子供「うん!」


子供がビッグ人の若者に駆け寄っていった。


若者「よし、俺と組もうか」

子供「よろしくお願いします!」


二人で自己紹介をして写真を撮っている。


その姿をノラが遠くから嬉しそうに眺めていた。


ノラ「……あちこちで、あんな光景が」


……………………………………………………………………………………………


スタンプラリーの列にも人が並んでいた。


一組のペアが最初のスタンプを押してもらって、

歓声をあげている。


ペアの片方「やった、一つ目!」

もう片方「次はどこ行く?」


虎がその様子を見ながらつぶやいた。


虎「単純な仕組みだが、うまく回っているな」

クリス「参加すること自体が目的になっている」


……………………………………………………………………………………………


昼過ぎ、

広場の中心で写真撮影のミッションに挑戦する人々が増えていた。


出身地を紹介し合っている一組が目に入った。


ビッグ人「俺は北の山岳地帯の出身だ」

ノーマルの相手「へえ、私はこの街の生まれです」

ビッグ人「じゃあ、あんたの方が街に詳しいな」


二人が笑い合いながら写真に収まっていた。


ステラがその様子を見て静かに言った。


ステラ「……出身地を話すだけで、こんなに打ち解けるんですね」

虎「共通点を探す作業だからな」


虎(一万年前の人間は違いを見つけて争っていた)


虎(今のこの街は違いを面白がっている)


……………………………………………………………………………………………


屋台の一角で、

ノラが虎たちを手招きした。


ノラ「少し休憩しませんか。あの店、開店したばかりなんです」


案内された屋台に、

でこぼこ饅頭の店主が立っていた。


店主「よう、来たか。今日は特別メニューを用意したぞ」


出てきたのは、

大小の具材を組み合わせた串焼きだった。


大きな肉と小さな野菜が交互に刺さっている。


虎は一本受け取って食べた。


虎「……」


大きな肉はしっかりとした噛み応えで、

噛むたびに濃厚な旨みが出た。

小さな野菜はその合間に、

さっぱりとした甘みを差し込んでくる。

交互に食べることで、

飽きのこない味わいが続いていった。


虎「……面白い串だ。大小の食材が、いいバランスになっている」

店主「祭りのテーマに合わせてみたんだ」


……………………………………………………………………………………………


ステラも一本食べた。


ステラ「……確かに、大きさが違うと味の感じ方も変わりますね」

ノラ「祭りの空気にぴったりです」


クリスが静かに言った。


クリス「……この街の食べ物は、いつも意味を持たせてくる」


食べながら広場を見渡すと、

さらに人が増えていた。


子供たちが動物の絵合わせスタンプを、

夢中で集めている。


子供D「あと一個でコンプリートだ!」

子供E「僕も頑張る!」


その隣で親たちが、

微笑ましそうに見守っていた。


……………………………………………………………………………………………


夕方近く、

広場の中央で抽選会が始まった。


司会「本日のペアミッション、達成した皆さん、抽選にご参加ください!」


多くのペアが列を作っていた。


一組が当たりを引いて歓声をあげた。


ペア「やった、大当たりだ!」


ノラが虎の隣で感慨深そうに言った。


ノラ「……本当に、こんなに人が来るなんて」

虎「街には、もともと下地があった」

ノラ「虎さんたちが来てくれたおかげです」


虎「俺は少し口を出しただけだ」

ノラ「それでも十分です」


……………………………………………………………………………………………


日が沈む頃、

広場に灯りがともり始めた。


祭りはまだ続いていたが、

少しずつ落ち着いた雰囲気に変わっていった。


親子連れが帰り支度をしながら話していた。


子供「今日、楽しかった! また来年も来る!」

母親「そうね、来年もあるといいわね」


虎はその光景を静かに眺めていた。


虎(また来年、か)


虎(この祭りが続いていくなら、それでいい)


ステラが虎の隣に立った。


ステラ「虎様」

虎「何だ」

ステラ「いい祭りになりましたね」

虎「ああ」


クリスが夜空を見上げながらつぶやいた。


クリス「……こういう場所を、旅の途中で作れるとは思っていなかった」

虎「悪くない経験だった」


灯りに照らされた広場で、

まだ笑い声が響いていた。


……………………………………………………………………………………………


その夜、

案内所で最後の片付けをしていると、

司書からの伝言が届いた。


未開拓地帯への調査許可が、

正式に下りたという知らせだった。


虎「……来たか」

ステラ「いよいよ、アショカの柱ですね」


ノラが虎たちを見て、

少し寂しそうに笑った。


ノラ「もう、出発するんですね」

虎「ああ。だが、いい滞在だった」


ノラ「デカ……いえ、でこボコまつり、これからも続けていきます」

虎「頼む」


外に出ると星がきれいに見えていた。


虎(この街での経験も、次の旅に繋がっていくんだろう)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ステラ「次回予告です」

虎「ああ」

ステラ「祭り、大成功でしたね」

虎「たくさんのいい光景が見られた」

ステラ「調査許可も下りましたね」

虎「いよいよ未開拓地帯だ」

クリス「……アショカの柱、見つかるといいが」

虎「見つける」

ステラ「……おおむね、次の旅へのいい区切りになりました」

虎「おおむね、か」

ステラ「おおむね、です」

虎「次の予告をしてくれ」

ステラ「次回、『虎が、未開の地へ向かう』」

虎「新しい旅の始まりだな」

ステラ「はい。楽しみですね」

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