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虎無双、虎無双。  作者: BB
6章

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75/112

第75話「虎が、企画を練る」

翌朝、

虎たちは案内所に、

また顔を出した。


ノラが、

すでに机に向かって、

何やら書き物をしていた。


ノラ「おはようございます。昨日のお話、少し考えてみたんです」

虎「どうだった」

ノラ「……名前、変えてみようかと」


テーブルの上に、

紙が何枚も広げられていた。


ノラ「候補を、いくつか考えてみたんですけど」


紙には、

『ビッグ・ノーマル親善デー』

『みんなで仲良し交流会』

などと書かれていた。


虎「……まだ、長い」

ノラ「……そうですか」


ステラが紙を眺めながら言った。


ステラ「短くて、印象に残る言葉がいいと思います」

クリス「音の響きも大事だ」


虎はしばらく考え込んだ。


虎「……大小が、混ざり合う感じの言葉が、いいんじゃないか」


……………………………………………………………………………………………


ノラが、

少し考えてから、

つぶやいた。


ノラ「……『でこボコ』、なんて、どうでしょう」

虎「でこボコ」

ノラ「大きい人と、小さい人が、並ぶと、でこぼこして見えるじゃないですか。それを、逆に、いい意味で、使えたらって」


虎(悪くない響きだな)


虎「『でこボコまつり』、それでいいんじゃないか」


ノラが、

その言葉を、

何度か口にしてみた。


ノラ「……でこボコまつり。……いいですね、これ」


案内所の奥から、

ボランティアの一人が、

顔を出した。


ボランティア「なんか、盛り上がってますね」

ノラ「新しい名前、決まったんです。でこボコまつり」

ボランティア「あ、いいですね、それ。子供でも覚えられそうです」


虎(悪くない反応だな)


……………………………………………………………………………………………


名前が決まったところで、

次は内容の話に移った。


ノラ「名前はいいとして、実際の内容も変えた方がいいでしょうか」

虎「今までは、どんなことをしていた」


ノラが過去の資料をめくった。


ノラ「講演を聞いて、意見交換をする、という形式でした」

虎「地味だな」

ノラ「……はい、正直」


クリスが静かに言った。


クリス「……人が集まるには、参加すること自体が楽しくなければいけない」

虎「そうだな」


虎は昨日見た街の様子を思い出していた。


虎(この街の連中は、豪快で、賑やかなのが好きなはずだ)


虎(それなら、堅苦しい形式より、遊びの要素があった方がいい)


……………………………………………………………………………………………


虎「ペアを組んで、何かをこなす形式は、どうだ」

ノラ「ペア、ですか」

虎「ビッグ人と、ノーマルサイズの人を組ませる。ミッションをこなすたびに、何かもらえるようにする」


ステラが興味を持って続けた。


ステラ「……例えば、ペアで屋台に行くと、ドリンクサービスがある、とか」

ノラ「あ、いいですね……!」


案が次々と出始めた。


ボランティア「抽選券を配るのも、いいかもしれません」

ノラ「お互いの名前と出身地を紹介して、写真を撮ったら、ミッション達成、とか」


虎「スタンプラリーもいいな」

ステラ「スタンプを集めると、食券がもらえるとか」


ノラが紙にメモを取りながら、

興奮気味に言った。


ノラ「……こんなに案が出るとは、思っていませんでした」

虎「一人で考えるより、何人かで話した方が、案は出やすい」


クリスが静かに付け加えた。


クリス「……子供の参加も増やしたいのなら、簡単なミッションと、目立つ景品があった方がいいだろう」


……………………………………………………………………………………………


ノラ「子供、確かに、もっと増やしたいです。今の活動、大人ばかりで」

虎「子供が楽しめる仕掛けを作れば、親も一緒に来る」

ノラ「……なるほど」


ノラが新しい紙に、

子供向けの案を書き始めた。


ノラ「動物の絵合わせスタンプ、とか、どうでしょう」

ステラ「可愛らしいですね」


昼になり、

議論が一段落したところで、

みんなで昼食をとることにした。


案内所の近くにある、

軽食屋台に向かった。


……………………………………………………………………………………………


屋台の店主が、

串に刺した肉と野菜を、

炭火で焼いていた。


虎は一本受け取って、

かじった。


虎「……」


塩とスパイスがシンプルに効いていて、

炭火の香りが食欲をそそった。

噛むほどに、

肉の旨みと野菜の甘みが、

交互に口の中を満たしていく。


虎「……うまい。企画会議の後の飯は、格別だな」


ノラも一本食べた。


ノラ「……本当に、おいしいです。それに、なんだか、今日は、いつもより食事がおいしく感じます」

ステラ「アイデアが出ると、気持ちも明るくなりますよね」


クリスが串を食べながら、

静かに言った。


クリス「……こういう、みんなで作り上げる時間は、悪くない」


虎(一万年前には、こういう場に加わることはなかった)


虎(一人で、強さだけを求めていた頃には、こういう楽しさは知らなかったな)


……………………………………………………………………………………………


食後、

案内所に戻って、

企画の詳細を詰めていった。


ノラ「開催まで、あと三週間ほどあります。準備、間に合いそうでしょうか」

虎「街に、触れ回る必要がある」

ノラ「宣伝、ですね」


ステラが言った。


ステラ「ポスター作りと、街の人への声かけ、両方進めましょう」

ノラ「はい、お願いします」


夕方になり、

今日の話し合いはそこで終わりとなった。


ノラが虎たちに、

深く頭を下げた。


ノラ「本当に、今日はありがとうございました。でこボコまつり、きっと成功させます」

虎「明日から宣伝だな」

ノラ「はい……!」


外に出ると、

夕日が街を染めていた。


……………………………………………………………………………………………


ステラが虎に言った。


ステラ「虎様、いい企画になりそうですね」

虎「あとは、街に、どれだけ伝わるかだ」

ステラ「……おおむね、期待できそうです」

虎「おおむね、か」


虎(子供が、たくさん集まって、笑顔になれる祭りになるといいな)


夜風が、

案内所の看板を揺らしていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ステラ「次回予告です」

虎「ああ」

ステラ「でこボコまつり、いい名前が決まりましたね」

虎「ノラも気に入ってくれた」

ステラ「ペアミッションの案も、盛り上がりました」

虎「あとは、宣伝が鍵になる」

クリス「……子供向けの仕掛けも、忘れずに」

虎「わかっている」

ステラ「明日から、街に触れ回るんですね」

虎「そうだ」

ステラ「……おおむね、賑やかな展開になりそうです」

虎「おおむね、か」

ステラ「おおむね、です」

虎「次の予告をしてくれ」

ステラ「次回、『虎が、街に触れ回る』」

虎「どれだけ人が集まるか」

ステラ「はい。楽しみですね」

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