第71話「虎が、目撃者の跡を追う」
虎は、
村の灯りを、
目指して、
歩き出した。
虎(この世界の広さも、感覚として、掴めていない)
虎(だが、焦っても仕方ない)
道の脇に、
古い時代の、
石碑らしきものが、
建っていた。
だが、
文字は、
すでに、
擦り切れて、
読めなかった。
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しばらく歩くと、
村の入り口が、
見えてきた。
虎は、
辺りの気配を、
探った。
虎(ステラとクリスの気配が、ない)
虎(別の場所に、飛ばされたか)
村の中に、
入っていくと、
昼間、
見かけた老人が、
家の前で、
薪を割っていた。
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虎は、
老人に、
近づいてみた。
だが、
やはり、
気づかれる様子は、
なかった。
虎(幻影とはいえ、こうして、行動を、追えるのは、都合がいい)
老人が、
薪割りを終えて、
家の中に、
入っていった。
虎は、
それを、
そっと、
追いかけた。
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家の中で、
老人は、
先ほどの、
羊皮紙を、
取り出していた。
老人が、
筆を、
動かしている。
虎(何を、書いているのか)
虎は、
そっと、
覗き込んだ。
羊皮紙には、
古い文字で、
何かが、
書き記されていた。
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虎は、
その文字を、
読んでみた。
虎「……『あの夜、光が触れた場所には、村の者たちが、後に、石を積んだ』」
虎(石を積んだ、か)
虎(それが、記録にあった、印というやつか)
老人が、
筆を止めて、
つぶやいた。
老人「……あの場所には、もう、誰も、近づかん。だが、忘れちゃ、ならん」
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翌朝、
(この世界の中での、翌朝)
老人が、
家を出て、
歩き始めた。
虎は、
その後を、
追いかけた。
老人は、
村の外れに向かって、
歩いていた。
虎(この先に、その場所が、あるのかもしれない)
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しばらく歩くと、
不意に、
背後から、
声が、
聞こえた。
ステラ「虎様……!」
振り返ると、
ステラと、
クリスが、
駆け寄ってくるのが、
見えた。
虎「……無事だったか」
ステラ「はい、しばらく、はぐれていましたが」
クリス「……気配を、辿って、ここまで、来られた」
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虎は、
二人に、
これまでの、
経緯を、
説明した。
虎「あの老人が、記録を、書いている。今、村の外れに、向かっている」
ステラ「石を積んだ場所、ですか」
虎「そうだ。その先に、目印が、あるかもしれない」
クリスが、
静かに言った。
クリス「……追ってみよう」
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三人で、
老人の後を、
追った。
村の外れは、
草木が、
生い茂る、
未開の土地だった。
老人が、
慣れた足取りで、
道なき道を、
進んでいく。
ステラ「……この道、幻影でも、疲れるものですね」
虎「そうだな」
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歩いている途中、
道端に、
小さな屋台のようなものが、
見えた。
これも、
記録の一部なのか、
その場所だけ、
妙に、
賑やかだった。
村の別の人々が、
そこで、
何かを、
売っていた。
クリス「……市場のような、場面のようだ」
虎「少し、寄ってみるか」
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屋台では、
串に刺した、
何かの実を、
焼いていた。
虎は、
先日と同じように、
そっと、
手を伸ばしてみた。
指先が、
その実に、
触れる感触があった。
虎は、
一口、
かじった。
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虎「……」
外側は、
炭火で炙られて、
香ばしく、
中は、
とろりとした、
自然な甘みが、
広がった。
村の子供たちが、
好んで食べていた、
素朴なおやつのようだった。
先ほどの粥とは、
また違う、
軽やかな味わいだった。
虎「……うまい。この時代にも、こういう楽しみが、あったんだな」
ステラも、
一口、
味わった。
ステラ「……甘くて、優しい味です」
クリスが、
興味深そうに言った。
クリス「……こういう、生活の断片が、味として、残っているのは、面白い」
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食べ終えて、
再び、
老人を、
追いかけた。
しばらく進むと、
開けた場所に、
出た。
そこには、
確かに、
石が、
積み上げられた、
小さな塚のようなものが、
あった。
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老人が、
その前で、
立ち止まった。
老人「……ここだ。あの夜、光が、触れた場所」
老人は、
しばらく、
その石塚を、
見つめていた。
老人「……いつか、この場所の意味を、誰かが、解き明かす日が、来るのだろうか」
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虎は、
石塚を、
じっと、
観察した。
虎(この石の積み方、何か、意味があるのか)
クリスが、
杖を、
かざした。
クリス「……この場所、確かに、強い魔力の痕跡が、残っている」
ステラが、
石塚の周りを、
歩きながら、
確認した。
ステラ「……石の配置に、規則性が、あるように、見えます」
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虎(この石塚の、正確な位置と、形が、わかれば)
虎(現実世界の、どこかに、これと同じものが、あるかもしれない)
老人が、
静かに、
去っていった。
その姿が、
夕闇の中に、
溶けていく。
虎「……もう少し、この場所を、詳しく、調べたい」
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クリスが、
石塚に、
近づいて、
慎重に、
記憶に、
刻み込むように、
観察を続けた。
クリス「……この配置、覚えておく。現実に、戻ったら、照らし合わせてみる」
虎「頼む」
ステラが、
辺りを、
見渡しながら言った。
ステラ「……そろそろ、この世界の、時間も、限りがあるかもしれません」
虎「そうだな」
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虎は、
石塚を、
最後に、
もう一度、
確認した。
虎(この場所の、正体を、突き止めれば)
虎(次の手がかりに、繋がるはずだ)
夕闇が、
石塚を、
静かに、
包んでいった。
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ステラ「次回予告です」
虎「ああ」
ステラ「石塚、見つかりましたね」
虎「老人が、案内してくれた」
ステラ「途中の屋台の味も、印象的でした」
虎「素朴だが、いい味だった」
クリス「……配置は、覚えた。現実で、照らし合わせる必要がある」
虎「そうだな」
ステラ「……おおむね、目的の場所に、たどり着けました」
虎「おおむね、か」
ステラ「おおむね、です。まだ、確定ではありませんが」
虎「次の予告をしてくれ」
ステラ「次回、『虎が、印を見つける』」
虎「いよいよ、締めくくりだな」
ステラ「はい。楽しみですね」




