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虎無双、虎無双。  作者: BB
6章

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69/112

第69話「虎が、来訪の記録を読み解く」

翌朝、

再び、

禁書蔵書室を訪れた。


司書が、

古い書物を、

何冊か抱えて、

待っていた。


司書「おはようございます。地名の対照表、用意しておきました」


……………………………………………………………………………………………


テーブルに、

古地図と、

現在の地図が、

並べられた。


ステラが、

昨夜の記録の本を、

開いた。


ステラ「……ここに書かれている、地名は」

司書「読み上げていただけますか」


虎「……『月鏡の谷』、と書いてある」


司書が、

古地図を、

指でなぞった。


司書「……『月鏡』という地名は、この地図の、北方に、記録が残っています。今の呼び方だと……」


……………………………………………………………………………………………


司書が、

現在の地図と、

見比べながら、

続けた。


司書「……おそらく、今の『月見谷』にあたる場所かと思います。ただ、地名の変遷は、複雑で、確証は持てません」


虎「北の谷、か」

クリス「……月見谷、聞いたことがある気がする」


クリスが、

杖を軽くかざして、

何かを、

思い出そうとしていた。


クリス「……いや、まだ、はっきりしない」


……………………………………………………………………………………………


記録を、

さらに読み進めた。


虎「……『光る球体が、地面に触れた場所に、後に、印が残された』とある」


ステラ「印、ですか」

虎「詳しい形までは、書かれていない。だが、何か、目印になるものが、その場所に、あったようだ」


司書が、

興味深そうに言った。


司書「印、というと……何らかの、建造物でしょうか」

虎「わからない。もう少し、読み進めれば」


……………………………………………………………………………………………


だが、

そこから先の文字は、

インクが薄れて、

判読が難しくなっていた。


ステラ「……ここから先、読みにくいですね」

虎「ああ」


虎は、

慎重に、

文字を、

目で追った。


虎(一文字ずつなら、読める。だが、意味が、繋がらない部分がある)


しばらく、

苦戦していると、

クリスが、

本に、

そっと手を触れた。


……………………………………………………………………………………………


クリス「……」


クリスの目が、

青白く光った。


クリス「……この本、ただの記録じゃない」

虎「どういうことだ」


クリス「魔力の残り方が、普通の本とは、違う。……これは、おそらく、『入れる本』の一種だ」


……なるほど


虎(司書が、昨日、案内してくれた仕組みと、同じか)


……………………………………………………………………………………………


司書が、

驚いた顔をした。


司書「……この本が、ですか」

クリス「ああ。ただ、普通の観光用の本とは、性質が違う。相当に、古く、力が強い」


司書が、

本を、

慎重に確認した。


司書「……確かに、この蔵書室にある本の一部には、そういう性質のものが、あると聞いたことがあります。ただ、実際に、確認された例は、ほとんどありません」


……………………………………………………………………………………………


虎「入れば、記録の内容を、直接、見られるということか」

クリス「おそらく。文字で読むより、はるかに、多くの情報が、得られるはずだ」


ステラが、

少し緊張した面持ちで言った。


ステラ「……危険は、ないのでしょうか」

司書「古く、力の強い本は、通常の『入れる本』より、リスクが高いと言われています。館長の許可と、安全のための準備が、必要になるかと」


虎(また、手続きか)


虎(だが、それだけの価値は、ありそうだ)


……………………………………………………………………………………………


司書が、

本を、

丁寧に閉じた。


司書「今日中に、館長に、掛け合ってみます。準備が整うまで、少し、お時間をください」

虎「頼む」


昼が近づいてきたので、

一旦、

休憩を取ることになった。


司書が、

蔵書室の近くにある、

小さな茶房に、

案内してくれた。


……………………………………………………………………………………………


茶房は、

古文書の研究者たちが、

よく利用する店らしく、

落ち着いた雰囲気だった。


店主が、

焼き栗を、

一皿、

出してくれた。


店主「古地図とにらめっこしてる連中には、これが一番だよ。頭が疲れた時は、甘いものだ」


虎は、

一つ手に取って、

食べた。


虎「……」


焼きたての栗は、

ほくほくとした食感で、

噛むたびに、

自然な甘みが、

口の中に広がった。

香ばしい皮の香りが、

その甘さを、

さらに引き立てている。

派手さはないが、

集中した頭に、

すっと沁みる味だった。


虎「……うまい。地道な作業の後には、ちょうどいい」

ステラも一口食べた。


ステラ「……優しい甘さですね」


クリスが、

栗を割りながら言った。


クリス「……こういう、素朴な甘さも、悪くない」


……………………………………………………………………………………………


食べながら、

司書が、

少し声を落として言った。


司書「実は、館長への相談、今から、行ってきます。夕方には、返事が、もらえると思います」

虎「わかった」


司書が、

茶房を出ていった。


残された三人は、

しばらく、

静かに、

栗を食べ続けた。


……………………………………………………………………………………………


ステラが、

虎を見た。


ステラ「虎様、記録の中に、入るのですね」

虎「許可が下りれば、な」

ステラ「……おおむね、下りると思いますが」

虎「おおむね、か」

ステラ「おおむね、です。私たちには、正当な理由がありますから」


クリスが、

静かに、

窓の外を見た。


クリス「……あの本の中に、何があるのか」

虎「行ってみればわかる」


夕方、

司書が、

息を切らして、

戻ってきた。


司書「……許可、下りました!」


……………………………………………………………………………………………


ステラ「次回予告です」

虎「ああ」

ステラ「記録の本、実は『入れる本』でしたね」

虎「クリスが、気づいた」

クリス「……力の強さが、他とは違った」

ステラ「許可も、下りました」

虎「準備が整い次第、入ることになる」

ステラ「……おおむね、大きな一歩ですね」

虎「おおむね、か」

ステラ「おおむね、です」

虎「次の予告をしてくれ」

ステラ「次回、『虎が、記録の中に入る』」

虎「いよいよだな」

ステラ「はい。楽しみですね」


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