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虎無双、虎無双。  作者: BB
6章

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68/115

第68話「虎が、禁書蔵書室を訪ねる」

夜、

図書館は、

昼間とは違う、

静けさに包まれていた。


司書が、

入り口で、

虎たちを待っていた。


司書「こんばんは。禁書蔵書室へは、こちらからです」


……………………………………………………………………………………………


司書に案内されて、

図書館の奥へと、

進んだ。


普段は、

入れない区画らしく、

廊下には、

誰の姿もなかった。


ステラ「……静かですね」

司書「夜間は、一般の利用者は、入れませんから」


しばらく歩くと、

重厚な扉の前に、

出た。


扉には、

複雑な紋様が、

刻まれている。


司書「ここが、禁書蔵書室の入り口です。入室には、いくつか、手続きが必要になります」


……………………………………………………………………………………………


司書が、

懐から、

書類を取り出した。


司書「まず、こちらに、署名をお願いします。閲覧の目的、責任の所在を、明記していただきます」


虎は、

書類に、

目を通した。


虎「面倒な手続きだな」

司書「貴重な記録を、守るためです。過去に、無断で持ち出そうとした人もいたそうで」


虎(そういう理由なら、仕方ないな)


虎は、

慎重に、

署名を済ませた。


ステラとクリスも、

それぞれ、

必要な項目に、

記入していった。


……………………………………………………………………………………………


書類を確認した後、

司書が、

扉の紋様に、

手をかざした。


紋様が、

淡く光り、

重い音を立てて、

扉が開いた。


司書「これで、入室の準備が、整いました。ただし、いくつか、注意事項があります」


虎「聞かせてくれ」


司書「本の持ち出しは、禁止です。閲覧は、この部屋の中でのみ、行ってください。それと」


司書が、

少し声を落とした。


司書「一部の本には、強い魔力が、宿っています。むやみに、触れないよう、お願いします」


……………………………………………………………………………………………


扉の向こうに、

広がっていたのは、

今までの書架とは、

雰囲気の違う空間だった。


薄暗い明かりの中、

古びた本棚が、

静かに並んでいる。


空気そのものが、

どこか、

重かった。


ステラ「……独特な気配がしますね」

クリス「……この感じ、私には、覚えがある」


クリスが、

杖を軽くかざして、

周囲の魔力を、

確かめた。


クリス「宮殿にあった、古い記録と、似た気配を感じる本が、いくつかある」


……………………………………………………………………………………………


司書が、

先導して、

特定の区画へと、

案内した。


司書「月に関する記録は、この辺りに、集められています」


棚には、

古い巻物や、

革表紙の本が、

並んでいた。


虎は、

一冊ずつ、

手に取って、

確認していった。


虎(……古代語だ。だが、読める)


しばらく調べていくと、

一冊の、

特に古びた本に、

目が留まった。


……………………………………………………………………………………………


その本の表紙には、

月を模した紋様と、

何か文字が、

刻まれていた。


虎「……これは」


クリスが、

近づいて、

表紙を確認した。


クリス「……この紋様、私が眠っていた宮殿の、封印の紋様と、よく似ている」


虎は、

慎重に、

その本を、

開いた。


古い文字が、

びっしりと、

書き込まれていた。


……………………………………………………………………………………………


ステラが、

虎の手元を、

覗き込んだ。


ステラ「……何が、書かれていますか」

虎「少し、読ませてくれ」


虎は、

文字を、

一行ずつ、

読み進めていった。


虎「……これは、当時の、地上の人間が、書き残した、記録のようだ」


司書が、

興味深そうに、

聞いた。


司書「地上の人間の、記録、ですか」

虎「ああ。空から、何かが、降りてきたのを、目撃した、という記述がある」


……………………………………………………………………………………………


虎は、

さらに、

読み進めた。


虎「……ある夜、光る球体が、天から、降りてきた。地面が、揺れ、光を放つ、異形のものたちが、そこから現れた、と書いてある」


ステラ「……それが、月文明の、来訪の記録、ということですか」

虎「そう思われる」


クリスが、

静かに、

本を見つめた。


クリス「……私の記憶にも、断片的に、似たような話が、残っている。だが、これほど、詳しい記述は、初めてだ」


……………………………………………………………………………………………


虎は、

さらに、

文字を追った。


虎「……降りてきた場所について、記述がある。だが、地名が、今の呼び方とは、違うようだ」


司書が、

少し考えた。


司書「古い地名なら、対照表があります。明日、確認しましょうか」

虎「頼む」


虎(少しずつ、近づいている気がする)


虎(この記録の先に、何かが、あるはずだ)


……………………………………………………………………………………………


じっくりと、

時間をかけて、

調べ物を続けた後、

夜も、

更けてきた。


司書「今夜は、このあたりで、切り上げましょうか。夜食を、用意させています」


案内された部屋に、

軽食が、

用意されていた。


湯気の立つ、

温かいスープと、

パンだった。


……………………………………………………………………………………………


虎は、

スープを、

一口飲んだ。


虎「……」


野菜と、

香草の香りが、

優しく、

広がった。

夜遅くまで、

根を詰めた体に、

染み渡るような、

穏やかな味だった。

派手さはないが、

心が落ち着く、

そういう味だった。


虎「……うまい。静かな味だな」

司書「夜間の作業をされる方に、いつも、お出ししているものです」


ステラも、

一口飲んだ。


ステラ「……確かに、落ち着く味です」


クリスが、

パンを一口かじりながら、

言った。


クリス「……今日は、いい発見があった。この味も、それにふさわしい」


……………………………………………………………………………………………


食事を終えて、

再び、

古い記録の本を、

確認した。


虎「明日、地名の対照を、進めよう」

司書「はい。私の方でも、資料を、揃えておきます」


ステラが、

本を、

丁寧に、

棚に戻した。


ステラ「……この本の中に、次の手がかりが、あるかもしれませんね」

虎「ああ」


夜の禁書蔵書室に、

静かな明かりが、

灯り続けていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ステラ「次回予告です」

虎「ああ」

ステラ「来訪の記録、見つかりましたね」

虎「地上の人間が、書き残したものだった」

ステラ「地名の対照が、必要ですね」

虎「明日、司書と、確認する」

クリス「……あの記述、私の記憶と、繋がる部分があった」

虎「少しずつ、進んでいる」

ステラ「……おおむね、手応えのある一日でした」

虎「おおむね、か」

ステラ「おおむね、です。次は、もっと、具体的な場所が、わかるといいですね」

虎「次の予告をしてくれ」

ステラ「次回、『虎が、来訪の記録を読み解く』」

虎「地道な作業になりそうだ」

ステラ「はい。楽しみですね」

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