↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虎無双、虎無双。  作者: BB
6章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
67/112

第67話「虎が、ワルたちと戦う」

先頭の男が、

拳を鳴らしながら、

名乗った。


先頭の男「俺は、ゴリアス。この庭園を仕切ってる者だ」

虎「虎だ」

ゴリアス「知ってるよ、案内係が、さっき言ってただろ」


……………………………………………………………………………………………


ゴリアスの後ろに立つ、

別のビッグ人が、

腕を組んで言った。


その男は、

妙に芝居がかった口調だった。


詩人風の男「おお、旅の獣よ! 貴様がこの庭園の静寂を乱す者か! 我が名は、バロード! 言葉の刃で、貴様を切り裂いてくれよう!」


虎(……何を言っているんだ、こいつは)


ゴリアスが、

うんざりした顔をした。


ゴリアス「バロード、普通に喋れよ」

バロード「これが、我が流儀だ!」


……………………………………………………………………………………………


もう一人、

落ち着きなく、

辺りを見回している男がいた。


小柄な体格の割に、

声が甲高かった。


神経質な男「お、おい、大丈夫か、これ。相手、なんか、強そうじゃないか」

ゴリアス「ビビるなよ、コソット」

コソット「い、いや、だって……」


コソットが、

虎の様子を、

不安げに、

何度も確認していた。


……………………………………………………………………………………………


最後の一人は、

何も言わずに、

腕を組んで立っていた。


無口な男「……」

ゴリアス「こいつは、ドムラ。喋らないが、四人の中で、一番の力自慢だ」


ドムラが、

軽く拳を握って、

虎に見せつけた。


虎(面白い連中が、揃っているな)


虎(それぞれ、癖はあるが、動きが、噛み合っていない)


……………………………………………………………………………………………


ゴリアスが、

腕を振り上げた。


ゴリアス「四対一だ。庭園を汚す前に、大人しく退散しな」

虎「四対三の間違いだろ」


ステラとクリスが、

虎の両脇に、

並んだ。


ステラ「私たちも、いますので」

クリス「……久しぶりに、体を動かせそうだ」


……………………………………………………………………………………………


虎は、

ステラに、

小さく声をかけた。


虎「合体モードだ」

ステラ「はい」


魔力鎖が、

光の粒から現れて、

ステラの腰と、

虎の背を、

繋いだ。


ドムラが、

それを見て、

初めて口を開いた。


ドムラ「……面白い」


その一言だけで、

先に、

突っ込んできた。


……………………………………………………………………………………………


ドムラの拳が、

虎に向かって、

振り下ろされた。


虎は、

それを片手で受け止めた。


虎(力は強い。だが、単調だ)


ステラが、

虎の背から、

魔力を細く走らせて、

ドムラの足元に、

絡みつかせた。


ステラ「動きを、制限します」

ドムラ「……くっ」


虎は、

その隙に、

ドムラを、

軽く弾き飛ばした。


ドムラが、

庭園の端まで、

吹き飛んで、

倒れ込んだ。


……………………………………………………………………………………………


バロードが、

それを見て、

声を張り上げた。


バロード「おのれ! 仲間の仇! 我が言葉の刃、受けてみよ!」


バロードが、

両手を大きく広げて、

突進してきた。


だが、

その動きは、

派手なだけで、

軌道が読みやすかった。


虎は、

軽く身をかわして、

すれ違いざまに、

腕を掴んだ。


虎「言葉より、動きに、無駄が多いな」

バロード「な、なんだと!」


虎は、

そのまま、

バロードを、

近くの茂みに、

投げ飛ばした。


バロード「……ぐわあっ」


……………………………………………………………………………………………


コソットが、

それを見て、

後退りした。


コソット「……お、俺は、いいです。降参、降参で」

ゴリアス「情けねえこと言うな、コソット!」


ゴリアスが、

コソットの背中を、

押し出した。


コソット「ちょ、待って!」


コソットが、

慌てて、

虎に向かって、

拳を振った。


だが、

その動きは、

明らかに、

及び腰だった。


……………………………………………………………………………………………


クリスが、

軽やかな動きで、

コソットの懐に入り込んだ。


クリス「……そんなに、戦いたくないなら」


クリスが、

軽くコソットの体を、

押した。


コソットが、

バランスを崩して、

近くの本棚に、

倒れ込んだ。


そこは、

先ほど図書館に戻る途中、

持ち込まれていた、

『入れる本』の展示コーナーだった。


コソット「うわっ、な、何だここ……」


コソットの体が、

淡く光る本の表紙に、

触れた瞬間、

光に包まれて、

消えていった。


……………………………………………………………………………………………


ステラが、

少し驚いた顔をした。


ステラ「……本の中に、入りましたね」

虎「怪我はしないんだろう」

クリス「ああ、安全な仕組みだ。しばらくすれば、戻ってくる」


ゴリアスが、

それを見て、

舌打ちした。


ゴリアス「くそ、コソットまで……」


残っているのは、

ゴリアスだけだった。


……………………………………………………………………………………………


ゴリアスが、

拳を構えた。


ゴリアス「……一人になっても、俺は、退かねえ」

虎「そうか」


虎は、

一歩、

前に出た。


ゴリアスが、

渾身の力で、

拳を振るった。


虎は、

それを、

真正面から受け止めた。


どごん。


衝撃が、

庭園に、

響いた。


……………………………………………………………………………………………


虎(体の頑丈さ修行の成果、まだ生きているな)


虎は、

ゴリアスの腕を、

掴んで、

そのまま、

地面に、

押さえつけた。


ゴリアス「……くっ、動けねえ」

虎「終わりだ」


ゴリアスが、

しばらく、

もがいていたが、

やがて、

力を抜いた。


ゴリアス「……参った」


……………………………………………………………………………………………


騒ぎを聞きつけて、

図書館の警備員たちが、

駆けつけてきた。


先ほどの案内係も、

慌てて、

戻ってきた。


案内係「大丈夫か!」

虎「問題ない」


警備員が、

倒れているドムラと、

バロードを、

確認した。


警備員「……こいつら、また、絡んでたのか」


しばらくして、

コソットが入った本から、

光と共に、

コソットが、

戻ってきた。


コソット「……あれ、俺、戦ってなかったっけ」

案内係「戦って、負けたんだよ」


……………………………………………………………………………………………


戦いが落ち着いた後、

案内係が、

ほっとした様子で言った。


案内係「本当に、助かったよ。あいつら、いつも、庭園の客に絡んでてな」

虎「そうか」

案内係「お礼と言っちゃなんだが、休憩スペースで、何か食べていってくれ」


……………………………………………………………………………………………


再び、

先ほどのカフェスペースに、

案内された。


今度は、

店員が、

新しいメニューを、

持ってきた。


ステラ「セコイアの木の下で採れる、キノコのスープだそうです」


運ばれてきたのは、

濃厚な白いスープだった。


虎は一口飲んだ。


虎「……」


キノコの旨みが、

凝縮されていて、

飲むごとに、

体の奥に、

染み渡っていった。

戦いの後の体に、

ちょうどいい、

滋味深い味だった。


虎「……うまい。体を使った後は、こういう味が、ありがたいな」

ステラも一口飲んだ。


ステラ「……確かに、温かみのある味です」


クリスが、

スープを飲みながら、

静かに言った。


クリス「……久しぶりに、動いたが、悪くなかった」


……………………………………………………………………………………………


食事を終える頃、

図書館の司書が、

息を切らして、

やってきた。


司書「大変です、聞きました! ワルたちを、退治してくださったそうで」

虎「たまたま、絡まれただけだ」


司書が、

少し嬉しそうな顔をした。


司書「実は、そのお礼も兼ねて、報告があります。禁書蔵書室の入室許可が、下りました」


虎(……ついに、か)


虎「本当か」

司書「はい。今夜からでも、ご案内できます」


ステラが、

虎を見た。


ステラ「虎様」

虎「行くぞ」


夕暮れの庭園に、

セコイアの木が、

静かに、

影を伸ばしていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ステラ「次回予告です」

虎「ああ」

ステラ「ワルたち、個性的でしたね」

虎「バロードの喋り方は、印象的だった」

ステラ「コソットさん、本の中から戻ってきましたね」

虎「無事だったなら、それでいい」

クリス「……禁書蔵書室、いよいよだな」

虎「そうだ」

ステラ「許可が、下りましたね」

虎「これで、月文明の手がかりに、近づける」

ステラ「……おおむね、順調な展開です」

虎「おおむね、か」

ステラ「おおむね、です」

虎「次の予告をしてくれ」

ステラ「次回、『虎が、禁書蔵書室を訪ねる』」

虎「夜の図書館か」

ステラ「はい。楽しみですね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。