第66話「虎が、屋上庭園を歩く」
翌朝、
虎たちは再び、
ビッグビッグライブラリーを訪れた。
昨日の案内係が、
入り口で待っていた。
案内係「今日は、屋上庭園だな! 案内するぜ!」
案内係が、
巨大なエレベーターへと、
案内した。
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エレベーターが、
ゆっくりと上昇していく。
窓の外を、
図書館の各階が、
次々と流れていった。
ステラ「……何階まで、上がるのですか」
案内係「一番上まで、だ。ちょっとした、時間がかかるぜ」
クリスが、
窓の外を見ながら言った。
クリス「……この建物、下から見た以上に、高いな」
虎「そうだな」
しばらくして、
扉が開いた。
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外に出た瞬間、
広大な緑が、
視界いっぱいに広がった。
案内係「ここの屋上庭園も、もちろん世界最大サイズ! なにしろ、いろんな工夫がされて、ジャイアントセコイアがあるんだからね!」
虎が見上げると、
遠くに、
天を突くような、
巨大な木が、
そびえ立っていた。
虎「……あの木は」
案内係「ジャイアントセコイア。普通なら、あんな高さの木は、屋上には育たない。だが、この庭園は、特別な魔法の土壌で、支えられてるのさ」
ステラ「……本当に、大きいですね」
木の幹は、
何十人がかりでも、
抱えきれないほどの太さがあった。
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庭園の中を、
案内係と共に歩いた。
様々な種類の植物が、
丁寧に手入れされて、
並んでいる。
案内係「ここは、世界中の珍しい植物が、集められてるんだ。図書館だから、植物図鑑にちなんで、実物を揃えたって話でね」
クリスが、
一つの花壇の前で、
立ち止まった。
クリス「……この花、見覚えがある」
虎「知っているのか」
クリス「三千年前、宮殿の周りに、似たようなものが、咲いていた気がする」
案内係が、
興味深そうに言った。
案内係「へえ、あんた、三千年前を知ってるのか。そりゃすごいな」
クリス「まあ、色々あってな」
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庭園の中央あたりに、
小さなカフェスペースが、
設けられていた。
木陰に、
テーブルと椅子が、
並んでいる。
案内係「せっかくだ、休憩していきな。ここの軽食も、なかなかのもんだぜ」
三人は、
テーブルに座った。
店員が、
メニューを持ってきた。
ステラ「セコイアの木の実を使った、パイがあるそうです」
虎「頼んでみるか」
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しばらくして、
運ばれてきたのは、
薄い焼き色をした、
パイだった。
一切れが、
虎の手のひらほどの大きさがある。
虎は一口食べた。
虎「……」
パイ生地が、
さくさくとした食感で、
噛むたびに、
バターの香りが、
口の中に広がった。
中に詰まった木の実は、
ほんのりとした甘みと、
香ばしさを持っていて、
土や木の香りを、
そのまま閉じ込めたような、
奥深い味わいがあった。
虎「……うまい。この庭園の空気と、よく合う味だ」
ステラも一口食べた。
ステラ「……確かに、木の香りが、感じられますね」
クリスが、
一切れかじりながら、
セコイアの木を見上げた。
クリス「……あの木の実から、こんな味が生まれるのか」
案内係「セコイアの実は、普段は硬くて、食べられたもんじゃないんだが、パイにすると、こんなにうまくなるんだよ」
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食後、
庭園をさらに奥へ、
歩いていった。
木々の合間から、
街の全景が、
見渡せる場所があった。
ステラ「……街全体が、見えますね」
虎「高い場所だからな」
眼下に、
大通りや、
小さな路地が、
碁盤の目のように、
広がっていた。
虎(一万年前には、こんな高い場所から、街を見下ろすことはなかった)
虎(人間の技術は、面白いところに、たどり着くものだな)
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眺めを楽しんでいると、
少し離れた場所から、
大きな笑い声が聞こえてきた。
振り返ると、
数人のビッグ人が、
こちらに向かって、
歩いてくるのが見えた。
案内係の表情が、
少し曇った。
案内係「……おいおい、あいつら」
虎「知り合いか」
案内係「この庭園によく来る、あまり素行のよくない連中でな。今日は、絡まれないといいが」
先頭のビッグ人が、
虎たちに気づいて、
にやりと笑った。
その男「……おっと、珍しい客じゃねえか」
虎(面白そうな展開になってきたな)
虎(だが、まずは様子を見よう)
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その男が、
仲間を引き連れて、
近づいてきた。
体格の良いビッグ人が、
四人ほど、
虎たちを、
囲むように立った。
先頭の男「ノーマルサイズの旅人が、この庭園に、何の用だ」
虎「散歩だ」
先頭の男「散歩、ねえ」
男が、
ステラとクリスを、
値踏みするように見た。
先頭の男「その人形と、骨のガキも、一緒にか」
ステラ「……失礼な言い方ですね」
先頭の男「悪かったな、褒め言葉のつもりだったんだが」
案内係が、
慌てて割って入ろうとした。
案内係「おいおい、お客さんに、絡むのはやめてくれよ」
先頭の男「うるせえ、案内係は、引っ込んでな」
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虎は、
男たちを、
落ち着いて見渡した。
虎(一人一人は、それなりに、力がありそうだ)
虎(だが、動きに統一感がない。連携は、慣れていないな)
虎「用があるなら、言え」
先頭の男「……威勢がいいな、小さいくせに」
男が、
拳を、
軽く鳴らした。
先頭の男「この庭園は、俺たちの縄張りでな。ノーマルの連中が、のんびりしてると、腹が立つんだよ」
虎は、
静かに息を吐いた。
虎(縄張り、か)
虎(一万年前にも、こういう連中は、いたな)
ステラが、
虎の隣で、
静かに構えた。
ステラ「虎様」
虎「わかっている」
夕暮れの光が、
庭園全体を、
オレンジ色に染めていた。
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ステラ「次回予告です」
虎「ああ」
ステラ「屋上庭園、素晴らしい景色でしたね」
虎「セコイアのパイも、うまかった」
ステラ「……最後に、少し、きな臭くなりましたが」
虎「あの連中、面白そうだった」
クリス「……戦いになりそうだな」
虎「なりそうだ、じゃなく、なる」
ステラ「……おおむね、穏やかには終わらなそうです」
虎「おおむね、か」
ステラ「おおむね、です。虎様が、面白そうと言っている時点で、確定していますね」
虎「次の予告をしてくれ」
ステラ「次回、『虎が、ワルたちと戦う』」
虎「合体モードの出番か」
ステラ「久しぶりですね」
虎「楽しみだ」




