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虎無双、虎無双。  作者: BB
6章

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65/113

第65話「虎が、図書館を訪ねる」

翌朝、

虎たちは、

ビッグビッグライブラリーへ向かった。


近づくにつれて、

その大きさが、

はっきりとわかってきた。


塔のような建物が、

何棟も連なっていて、

一つの街のようだった。


入り口で、

案内係のビッグ人が、

出迎えてくれた。


……………………………………………………………………………………………


案内係「ビッグビッグライブラリー! ビッグビッグシティーの図書館だから、ビッグビッグライブラリー! さ!」

虎「そのままの名前だな」

案内係「わかりやすいだろ!」


案内係が、

胸を張った。


案内係「ビッグビッグライブラリーは、世界最大サイズ! ギネスに挑戦してるんだ」

ステラ「……ギネス、ですか」

案内係「世界一を、記録に残す仕組みでね。毎年、蔵書数が更新されるたびに、記録が塗り替わってるのさ」


……………………………………………………………………………………………


建物の中に入ると、

天井が見えないほど、

高く広がっていた。


無数の本棚が、

何層にも重なっている。


だが、

よく見ると、

本の大きさが、

一様ではなかった。


巨大な本もあれば、

普通サイズの本も、

混ざっていた。


ステラ「……本の大きさが、まちまちですね」

案内係「そう、そこがポイントだ!」


案内係が、

声を張った。


……………………………………………………………………………………………


案内係「ビッグビッグライブラリーといっても、本が全部大きいわけじゃないのねぇ……」

虎「なぜだ」

案内係「本を書いたのが、ビッグ人とは限らないからさ。ノーマルサイズの著者の本は、ノーマルサイズのまま、保管されてる。逆に、ビッグ人の著者の本は、それなりの大きさになる」


虎(なるほど。理にかなっている)


クリスが、

本棚を、

見渡しながら言った。


クリス「……この規模の蔵書、月文明の記録も、どこかに眠っているかもしれない」

虎「探すのは、骨が折れそうだな」

案内係「安心しな、司書のお姉さんが、案内してくれるはずだ」


……………………………………………………………………………………………


しばらく歩くと、

受付らしき場所に、

一人の女性が座っていた。


ノーマルサイズの、

落ち着いた雰囲気の司書だった。


司書「いらっしゃいませ。何をお探しですか」


ステラが、

説明した。


ステラ「月文明について、書かれた記録を、探しています」

司書「……月文明、ですか」


司書が、

少し驚いた顔をした。


司書「それは、かなり古い、専門的な分野です。一般の書架には、ほとんどないと思います」

虎「詳しく調べられる場所は」


司書「地下に、禁書蔵書室があります。貴重な記録や、危険な内容を含む本は、そちらに保管されています。ただ、あそこは、正式な許可がないと、入れません」


虎(すぐには、無理か)


虎(とりあえず、できることから始めよう)


……………………………………………………………………………………………


司書が、

話を続けた。


司書「まずは、一般の書架を、ご案内しましょう。実は、この図書館には、もう一つ、面白い仕組みがあるんです」


虎「面白い仕組み」


司書が、

一冊の本を、

棚から取り出した。


表紙が、

淡く光っている。


司書「これは、『入れる本』と呼ばれるものです。読むと、物語の世界に、実際に入り込むことができます」


ステラ「……本の中に、入る」

司書「はい。この図書館の、大きな観光名物の一つです。普通の書架にも、こういう本が、たくさん混ざっています」


……………………………………………………………………………………………


クリスが、

興味深そうに、

その本を、

覗き込んだ。


クリス「……不思議な魔力を、帯びているな」

司書「ええ。安全に管理された、特殊な魔法がかけられています。危険はありません」


司書が、

続けて説明した。


司書「面白いのは、その世界の食べ物を、持ち帰ることができることです。ただし」


虎「ただし?」


司書「時間が経つと、消えてしまいます。それに、栄養価は、ほとんどありません。でも、味だけは、本物です」

ステラ「……不思議な仕組みですね」

司書「街の名物グルメの一つになっているんですよ。この図書館に来たら、一度は、体験してみる価値があります」


……………………………………………………………………………………………


虎(面白そうだ)


虎(月文明の手がかりも探したいが、これも試してみたいな)


虎「今度、試してみたい」

司書「ええ、ぜひ。今日は、まず、月文明に関する、一般公開されている資料から、確認してみましょう」


司書が、

先導して、

歩き出した。


虎たちは、

その後を、

ついていった。


……………………………………………………………………………………………


一般の書架の中で、

古い時代の、

天文学に関する本を、

何冊か見つけた。


ステラが、

一冊を開いて、

確認した。


ステラ「……月に関する記述はありますが、月文明そのものについては、書かれていませんね」

虎「そうか」


司書が、

申し訳なさそうに言った。


司書「やはり、地下の禁書蔵書室に、専門的な記録が、あるかもしれません。もしよろしければ、許可申請の、手続きを進めましょうか」

虎「頼む」


司書「わかりました。数日、時間がかかるかもしれませんが、しっかり進めておきます」


……………………………………………………………………………………………


昼過ぎ、

司書に礼を言って、

一旦、

外に出た。


図書館の近くに、

軽食を出す屋台が、

並んでいた。


ステラが、

その一つを、

見つけた。


ステラ「あれは」


屋台の看板に、

『本の世界の味、体験できます』

と書かれていた。


店主が、

淡く光る、

紫色の果実を、

見せてくれた。


店主「昨日、お客さんが持ち帰った、童話の世界の毒リンゴだよ。まだ、少し時間があるから、食べられる」

ステラ「……毒、なのですか」

店主「見た目だけさ。物語の設定上、そう呼ばれてるだけで、実際には、何の害もない。この図書館の食べ物は、全部、安全なものしか、持ち帰れない決まりになってる」


虎は一口かじった。


虎「……」


普通のリンゴよりも、

甘みが、

際立って強かった。

噛むと、

シャクシャクとした食感の奥に、

どこか背徳的な、

妖しい甘さが、

広がっていく。

紫色の果肉は、

見た目通りの、

少し危うい魅力を、

味にも纏わせていた。


虎「……不思議な味だ。うまいが、少し、癖になりそうな甘さだな」

店主「その通り。だから、街の連中は、これを、デザート感覚で、楽しんでるんだ」


ステラも一口食べた。


ステラ「……確かに、妖しい甘さです」


クリスが、

興味深そうに、

かじった。


クリス「……こういう食べ物も、あるのか。面白い」


……………………………………………………………………………………………


夕方、

宿に戻る道すがら、

虎は、

図書館を振り返った。


虎(月文明の手がかりは、地下にありそうだ)


虎(許可が下りるまで、少し、この街を楽しむのもいいかもしれない)


ステラが、

虎の隣で言った。


ステラ「虎様、屋上に、大きな庭園があるそうです」

虎「庭園」

ステラ「明日、行ってみますか」

虎「ああ」


夜の街に、

図書館の灯りが、

また、

静かに輝いていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ステラ「次回予告です」

虎「ああ」

ステラ「図書館、想像以上の規模でしたね」

虎「本が全部大きいわけじゃない、というのも、面白かった」

ステラ「本の世界に入れる仕組み、興味深いです」

虎「持ち帰った味も、悪くなかった」

クリス「……禁書蔵書室の許可、早く下りるといいが」

虎「司書が、進めてくれている」

ステラ「明日は、屋上庭園ですね」

虎「屋上も世界最大級らしい」

ステラ「……おおむね、楽しみな予定です」

虎「おおむね、か」

ステラ「おおむね、です」

虎「次の予告をしてくれ」

ステラ「次回、『虎が、屋上庭園を歩く』」

虎「世界最大の庭園、か」

ステラ「はい。楽しみですね」




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