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虎無双、虎無双。  作者: BB
4章

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50/112

第50話「虎が、船に乗り込む」

翌朝、

虎たちは港に向かった。


だが、

様子がおかしかった。


漁師たちが、

困り顔で船着き場に集まっている。


老漁師「……これは、参ったな」


虎「どうした」

老漁師「昨日の祝福で、ウミネコたちが元気になりすぎましてね。港中を飛び回って、船の周りにまとわりついているんです」


見ると、

確かに、

何十羽ものウミネコが、

出航予定の船の周りを、

ぐるぐると飛び回っていた。


漁師の一人が、

船を出そうとしても、

ウミネコが帆に絡みついて、

うまく進めない。


漁師「こら、どけどけ!」

ウミネコ「ニャー!」


住民「まいったな、こりゃ当分出航できないぞ」


ステラ「……喜びすぎて、収拾がつかなくなっているようですね」

虎「そうらしい」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


困り果てた老漁師が、

虎たちを見た。


老漁師「実は……もう一つ、方法があります」

虎「何だ」

老漁師「船家に住んでいる、ビッグ人の方に、船を出してもらう方法です」


虎(ビッグ人か)


虎(ちょうど、気になっていた相手だ)


虎「頼めるのか」

老漁師「頼んだことはないのですが……今回は、緊急事態ですし。案内します」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


船家に近づくと、

その大きさが、

改めてわかった。


普通の建物の何倍もの高さがある。


老漁師が、

扉を叩いた。


老漁師「すみません、いらっしゃいますか」


しばらくして、

扉が開いた。


中から現れたのは、

虎が見上げるほどの、

大きな人物だった。


身長は、

十メートル近くあるだろうか。


穏やかな顔立ちの、

若い男だった。


ビッグ人「……はい、何でしょう」


声は、

低く、

だが優しい響きだった。


老漁師「実は、ウミネコが港を占領してしまって、船が出せないんです。この方々が、ビッグゴッグへ行きたいとのことで……もしよろしければ、あなたの船で」


ビッグ人は、

虎たちを見た。


ビッグ人「……珍しい方々ですね。虎さんに、人形さんに、それと」

クリス「クリスだ」

ビッグ人「クリスさんですね。よろしくお願いします」


虎「お前は、ビッグ人か」

ビッグ人「はい。名前は、ドムといいます。ビッグゴッグから、こちらに移り住んで、しばらくになります」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ドムが、

船家の裏手を案内した。


そこには、

巨大な船が停泊していた。


普通の街の船とは、

桁違いの大きさだった。


ドム「私の船です。ビッグゴッグへの往復に使っています。ウミネコたちも、この船の大きさには、あまり近づいてこないんですよ」


虎「なぜだ」

ドム「私自身が、ビッグゴッグの生き物なので、少し違う気配を出しているのかもしれません。ウミネコたちは、自分たちの縄張り意識が強いので」


老漁師「ドムさん、お願いできますか」

ドム「ええ、もちろん。ちょうど、私も戻ろうと思っていたところです」


虎(ちょうどいい、か)


虎(面白い巡り合わせだ)


ドム「準備をしますので、少々お待ちを」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


準備の間、

虎たちは船家の近くで待った。


ステラが、

ドムの姿を見上げた。


ステラ「……大きいですね」

虎「ああ」

クリス「ビッグゴッグに行けば、あの大きさが普通なのだろうか」

虎「そうだろうな」


老漁師が、

少し申し訳なさそうな顔をした。


老漁師「本当は、うちの船でお送りしたかったんですが……ウミネコの件は、想定外でした」

虎「気にするな。むしろ、ドムに会えてよかった」

老漁師「そう言っていただけると」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


出航まで、

少し時間があったので、

最後に港で食事をとることにした。


ステラが、

市場で買った大きなエビを、

炭火で焼いた。


一尾が、

虎の前腕ほどの長さがあった。


虎は一口食べた。


虎「……」


殻がぱりっとして、

中の身が、

弾けるような食感だった。

甘みが強く、

噛むたびに、

濃厚な旨みが広がる。

炭火の香ばしさが、

それをさらに引き立てていた。


虎「……この街、最後まで食べ物がうまいな」

ステラ「五日間、ずっとうまいものばかりでした」


クリスも、

一口食べた。


クリス「……この大きさのエビは、初めて食べる」

虎「巨人の国に行けば、もっと大きいのが出てくるかもしれないな」

クリス「楽しみだ」


ドムが、

準備を終えて戻ってきた。


ドム「お待たせしました。船の準備が整いました」


虎たちは、

食べ終えた殻を片付けて、

立ち上がった。


老漁師「本当に、お世話になりました。ケットシー港町を、いつまでも忘れないでください」

虎「忘れない」

老漁師「またいつか、いらしてください。ウミネコたちも、きっと喜びます」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ドムの巨大な船に、

虎たちは乗り込んだ。


甲板は、

虎の背丈の何倍もの高さがあり、

見晴らしが良かった。


ステラ「……この船、街の船とは全然違いますね」

虎「ビッグ人向けの船だからな」


ドムが、

帆を操りながら言った。


ドム「ビッグゴッグまで、数日かかります。ゆっくりしていってください」

虎「頼む」


港が、

少しずつ遠ざかっていった。


ウミネコたちが、

甲板の上を飛びながら、

名残惜しそうに鳴いていた。


虎は、

甲板から港を見た。


虎(賑やかな街だった)


虎(大きなものと、小さなものが、うまく混ざっていた)


ステラが、

虎の隣に立った。


ステラ「虎様」

虎「何だ」

ステラ「いよいよ、巨人の国ですね」

虎「そうだな」

ステラ「……どんな街が待っているでしょうか」

虎「わからないから、面白い」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ステラ「次回予告です」

虎「ああ」

ステラ「ドムさんの船に乗り込みました」

虎「大きな船だ」

ステラ「巨人の国が、近づいてきます」

虎「楽しみだ」

クリス「……ビッグ人の生活、興味がある」

虎「見てみればわかる」

ステラ「ドムさんとの船旅、どうなるでしょうか」

虎「悪くない時間になりそうだ」

ステラ「……おおむね、静かな船旅を期待しています」

虎「おおむね、か」

ステラ「おおむね、です。クラーケンのようなことは、もうこりごりですから」

虎「あれはあれで、面白かったが」

ステラ「次回、『虎が、ビッグゴッグを目指す』」

虎「新しい国だ」

ステラ「はい。楽しみですね」

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