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虎無双、虎無双。  作者: BB
4章

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49/113

第49話「虎が、街の祝福を見る」

翌朝、

街全体が、

どこか浮かれた空気に包まれていた。


住民たちが、

港に向かって、

花や旗を運んでいる。


ステラ「……準備をしているようですね」

虎「祭りか」


宿の主人が、

虎たちを見つけて、

声をかけてきた。


主人「聞きましたよ、皆さんのおかげで、真相がわかったって。街をあげて、お祝いすることになりました」

虎「大がかりだな」

主人「ネコザメの回遊は、数百年に一度なんです。今度いつ見られるかわかりません。街の歴史に残る祝福ですから」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


港に着くと、

すでに大勢の人が集まっていた。


老漁師が、

壇上で挨拶をしていた。


老漁師「本日は、我らが港に、久方ぶりの祝福が訪れました。皆さんもご存じの通り、伝説のネコザメが回遊し、新しいウミネコたちが生まれています」


会場から、

拍手が起きた。


老漁師「そしてこの発見は、旅の方々のおかげです。虎殿、こちらへ」


虎が、

呼ばれて壇上に上がった。


住民たちの視線が、

一斉に集まった。


老漁師「街の不安を解消してくださった、感謝の印です」


老漁師が、

虎に、

小さな飾りを差し出した。


貝殻を使って作られた、

首飾りだった。


虎「……もらっていいのか」

老漁師「もちろんです。街の宝物にしてください」


ステラとクリスにも、

同じような飾りが渡された。


ステラ「……ありがとうございます」

クリス「初めてもらう贈り物だ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


祝賀の場は、

昼過ぎまで続いた。


港のあちこちに、

屋台が並び、

音楽が流れていた。


子供たちが、

海に向かって手を振り、

ウミネコたちが、

それに応えるように鳴いていた。


虎は、

その光景を眺めながら歩いた。


虎(不安が、喜びに変わった)


虎(知ることが、それを変えたんだろう)


ステラが、

虎の隣に並んだ。


ステラ「虎様」

虎「何だ」

ステラ「今回の件、力ずくで解決しない旅も、悪くないですね」

虎「そうだな」

ステラ「調べて、知って、伝える。それだけで、街の人たちが救われました」

虎「面白い解決の仕方だった」


クリスが、

沖に浮かぶ大きな影を、

指差した。


クリス「……あれが、ネコザメか」


遠くの海面に、

巨大な背びれが、

ゆっくりと動いていた。


クリス「……近くで見ると、迫力があったな」

虎「そうだな」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


祝賀の中心に、

大きな鍋がいくつも並んでいた。


漁師たちが、

今朝獲れたばかりの巨大な魚介を、

豪快に調理していた。


ステラ「……これも、大きいですね」


一枚の貝殻が、

盾ほどの大きさをしていた。


漁師が、

それを豪快に焼き上げて、

みんなに振る舞っていた。


虎は一切れ受け取って、

食べた。


虎「……」


貝の身が、

分厚く、

噛むたびに、

潮の旨みが濃く広がった。

炭火の香ばしさが、

それをさらに引き立てている。

普通の貝とは、

比べ物にならない食べごたえだった。


虎「……うまい」

漁師「今日ばかりは、特別大きいのを仕入れましたからね! 旅の方々のおかげです、遠慮なく食ってください!」


ステラも一口食べた。


ステラ「……身が、しっかりしていますね」

クリス「潮の香りが、強い」


虎は二切れ目を手に取った。


虎「祝いの席の飯は、格別だな」

ステラ「そうですね」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


夕方近く、

虎は港の端で、

一人の人物と目が合った。


遠くの船家の窓から、

誰かがこちらを見ていた。


……あれが


虎(ビッグ人か)


窓の向こうの姿は、

大きく、

輪郭がはっきりしなかったが、

確かにこちらを見ていた。


しばらくして、

その姿は、

窓の奥に引っ込んだ。


ステラが虎の視線に気づいた。


ステラ「虎様、何か」

虎「船家の方を見ていた。誰かいたようだ」

ステラ「……ビッグ人でしょうか」

虎「わからない。だが、気にしているのは確かだろう」


クリスが、

船家の方向を見つめた。


クリス「……月文明の気配とは、違う気がする。ただの人間、いや、巨人の気配だ」

虎「そうか」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


夜になって、

祝賀が落ち着いた頃、

老漁師が虎たちの元に来た。


老漁師「本当に、ありがとうございました。おかげで、街に安心が戻りました」

虎「良かったな」

老漁師「そうそう、ビッグゴッグ行きの船ですが、明日の朝、出航できそうです。ウミネコが落ち着いたので、船長も出発を決めました」

虎「そうか」


ステラが虎を見た。


ステラ「いよいよ、船出ですね」

虎「ああ」


クリスが、

夜空を見上げた。


クリス「……巨人の国、か。楽しみだ」


港の灯りが、

波に反射して揺れていた。


遠くの海で、

ネコザメが、

ゆっくりと沖へ向かっていくのが見えた。


ウミネコたちが、

それを見送るように、

穏やかに鳴いていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ステラ「次回予告です」

虎「ああ」

ステラ「街の祝福、賑やかでしたね」

虎「祝いの飯も、うまかった」

ステラ「船家の人物、気になりましたね」

虎「ビッグ人らしい」

クリス「まだ、正体はわからないが」

虎「そのうち、わかるだろう」

ステラ「明日、いよいよ船出です」

虎「ビッグゴッグへ向かう」

ステラ「……おおむね、心の準備はできています」

虎「おおむね、か」

ステラ「おおむね、です。海の旅は、久しぶりですから」

虎「クラーケンのとき以来だな」

ステラ「今度は、何もないといいのですが」

虎「あっても、面白い」

ステラ「次回、『虎が、船に乗り込む』」

虎「新しい海だ」

ステラ「楽しみですね」

虎「ああ」

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