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虎無双、虎無双。  作者: BB
4章

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46/112

第46話「虎が、手がかりを探す」

森を抜けて、

街道に戻った。


ステラが地図を広げた。


ステラ「月文明の情報を集めるなら、まず世界最大級の図書館を目指すのがいいかもしれません」

虎「図書館」

ステラ「巨人の国、ビッグゴッグの中心都市、ビッグビッグシティーにあるそうです。世界中の記録が集まっていると聞きます」

クリス「……巨人の国、か。行ってみたい」

虎「巨人か。面白そうだ」


ステラ「ビッグゴッグへの船が出る港が、ケットシー港町にあります。まずはそこへ向かいましょう」

虎「ケットシー」

ステラ「猫の魚、ウミネコが多く住む港町だそうです」


虎「乗れ」


ステラとクリスが、

虎の背に乗った。


ステラ「……久しぶりですね、二人で乗るのは」

クリス「私は初めてだが」


ステラ「毛並みが、また整っていますね」

クリス「もふもふしている」

虎「行くぞ」


虎が走り出した。


風が、

三人の間を通り抜けた。


クリス「……速い!」

ステラ「慣れると、気持ちいいですよ」

クリス「もふもふしながら、速い。矛盾している気がするが、悪くない」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


数日走って、

海が見えてきた。


ステラ「あれが、ケットシー港町です」


小さな港町だった。


白い建物が、

海沿いに並んでいる。

石畳の道を、

猫の姿をした妖精たちが、

のんびり歩いていた。


虎「……小さいが、賑やかそうだ」

ステラ「はい」


港の奥に、

一際大きな建物があった。


船のような形をした、

奇妙な家だった。


ステラ「あの建物は」

虎「わからないな」


通りすがりの住民に聞くと、

少し声を潜めて答えた。


住民「ああ、あれは船家ですよ。ビッグ人が一人、住んでるって話です」

虎「ビッグ人」

住民「巨人ですよ。ビッグゴッグから来た人らしいですが……あまり姿を見ないんです。この街に、何の用があるのか」


虎(面白い話だ)


虎(だが、今は先を急がなくていい)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


港の市場を歩くと、

異様な光景があった。


野菜が、

普通のものの五倍くらいの大きさで、

山積みになっていた。


魚も、

巨大なものが並んでいる。


虎「……でかいな」

ステラ「これは」


市場の店主が、

笑いながら説明した。


店主「ビッグゴッグ向けに作られた食材の、規格外品や余りなんですよ。あちらの国では普通のサイズなんですが、こっちじゃ扱いきれなくて、安く売るんです」

虎「うまいのか」

店主「もちろん。ただでかいだけじゃないですよ」


虎は、

巨大なトマトのようなものを一つ買った。


かじると、

普通のトマトの何倍もの果肉があって、

甘みと酸味が濃厚だった。


虎「……うまい。大きさに、味も比例している」

ステラ「食べごたえがありますね」


クリスも、

一口かじった。


クリス「……甘い。しかも、瑞々しい」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


宿を取って、

夕食を用意することになった。


ステラが市場で買ってきた食材を、

宿の庭で調理し始めた。


大きな米粒が、

袋に入っていた。


ステラ「……このお米、粒が普通の五倍ほどあります。このままでは炊いても、食べにくいですね」


ステラは石を使って、

米を丁寧に砕いた。


砕いた米粒が、

普通サイズに近くなった。


ステラ「これなら、食べやすいはずです」


鍋で炊き始めると、

いい匂いが立ち上がった。


大きな魚も、

一切れが普通の魚一匹分ほどあった。

それを、

香草と一緒に焼いた。


しばらくして、

料理が並んだ。


虎は魚を一口食べた。


虎「……」


身が、

分厚かった。

一口で、

普通の魚の何倍もの旨みが、

口の中に広がる。

脂も豊富で、

噛むたびに、

じゅわっとした満足感があった。


虎「……食べごたえが違うな」

ステラ「大きいというだけで、こんなに満足感が変わるものですね」


砕いた米を、

炊いたご飯も食べた。


虎「……米粒は普通だが、味は濃い気がする」

ステラ「もともとの粒が大きい分、旨みも凝縮されているのかもしれません」


クリスが、

大きな野菜のスープを飲んだ。


クリス「……野菜一つで、これだけの量のスープが取れるとは」

虎「面白い街だ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


食事の後、

宿の主人が話しかけてきた。


主人「旅の方ですか。この街に、何か御用で?」

虎「ビッグゴッグへの船を探している」

主人「ああ、それなら港の南側です。ただ……」


主人が、

少し表情を曇らせた。


主人「実は最近、ウミネコの様子がおかしくて。船の出航が、少し遅れているんです」

ステラ「ウミネコ、ですか」

主人「顔が猫で、体が魚の生き物です。この港には、昔からたくさん住んでいましてね。うちの漁師は、ウミネコの鳴き声で天気や海の様子を読むんです」

虎「その鳴き声が、変わったのか」


主人「はい。最近、鳴き方が乱れていて。一部のウミネコが、沖に向かって飛んでいくようになりました。漁師たちは、何か悪いことの前触れじゃないかと、心配しています」


虎(面白い話だ)


虎(急ぐ旅でもない。少し、調べてみるか)


虎「詳しく聞かせてくれ」

主人「え、聞いてくれるんですか」

虎「船が出るまで、時間がある」


主人が、

少し安心したような顔をした。


主人「実は、明日、街の集会があります。ウミネコのことで、みんな不安になっていて……もしよろしければ、来ていただけると」

虎「行く」


ステラが虎を見た。


ステラ「……手がかり探しの前に、寄り道ですね」

虎「面白そうだからな」

ステラ「……おおむね、いつものことです」


クリスが、

窓の外の海を見た。


クリス「……ウミネコ、か。見てみたいな」


夜の海が、

静かに波打っていた。


遠くで、

かすかに、

鳴き声のようなものが聞こえた。


普段とは、

違う響き方をしていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ステラ「次回予告です」

虎「ああ」

ステラ「ケットシー港町、面白い街でしたね」

虎「食べ物が、でかかった」

ステラ「味も、大きさに見合っていました」

クリス「船家のビッグ人も、気になる」

虎「そのうち、会えるかもしれない」

ステラ「明日は、ウミネコの集会ですね」

虎「街の人が、困っているようだ」

ステラ「……力になれるといいですね」

虎「なる」

ステラ「次回、『虎が、ウミネコを調べる』」

虎「鳴き声が乱れている、というのが気になる」

ステラ「原因があるはずです」

虎「探してみる」

ステラ「……おおむね、面白いことになりそうです」

虎「おおむね、か」

ステラ「おおむね、です」

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