↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虎無双、虎無双。  作者: BB
3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
38/112

第38話「虎が、砂漠の奥へ向かう」

朝、

港に案内人が来た。


日に焼けた壮年の男で、

布を頭に巻いている。


案内人「ラシードだ。漁師から聞いた。砂漠の奥に行きたいんだって?」

虎「ああ」

ラシード「……珍しいな、旅人がそんなことを言うのは。まあいい、案内する」


ラシードが虎とステラを見た。


ラシード「歩ける体力はありそうだな。人形の方は」

ステラ「問題ありません」

ラシード「そうか。じゃあ行くぞ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


砂漠を、

半日ほど歩いた。


ラシード「集落の近くで、変なものが見えるようになったんだ。蜃気楼みたいなものが」

虎「蜃気楼」

ラシード「そうだ。だが、いつも同じ場所に、同じ形で出る。普通の蜃気楼は違う」

ステラ「……固定された蜃気楼、ということですか」

ラシード「らしい。集落の若者が近づいたら、中に入れたって話もある」


虎(自然現象ではないな)


虎(魔法による偽装か)


昼になったところで、

ラシードが立ち止まった。


ラシード「休憩だ。この暑さで歩き通しは無理がある」


ステラが荷物を開いた。


ステラ「街で買っておきました。砂漠用の保存食です」


平たいパンに、

干し肉と、

香辛料で漬けた野菜を挟んだものだった。


虎は一口食べた。


虎「……」


パンは少し硬めだったが、

噛むほどに小麦の味が出てくる。

干し肉は塩気が強く、

歩き疲れた体に染みた。

漬けた野菜の酸味が、

全体を引き締めていた。

簡素な食事だったが、

砂漠には合っていた。


虎「……悪くない」

ラシード「街の保存食か。よく持ってきたな」

ステラ「おおむね、長い移動には食事の準備が必要だと学びました」

ラシード「その通りだ」


ラシードが水筒を傾けた。


ラシード「あと少しで着く」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


砂丘の向こうに、

陽炎のような揺らぎが見えた。


ラシード「あれだ」


虎は目を細めた。


ステラ「魔力反応があります。かなり強力な隠蔽魔法です」

虎「隠されている、と」

ステラ「はい。揺らぎの向こうに何かあります」


虎は揺らぎに向かって歩いた。


ラシード「お、おい、大丈夫か」

虎「見てくる」


揺らぎに触れた瞬間、

視界が変わった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そこに、

クリスタルでできた宮殿が立っていた。


透明な壁が、

太陽の光を反射して、

虹色に輝いている。


ステラ「……美しいですね」

虎「ああ」

ラシード「……こんなものが、ずっとここに隠れていたのか」


入り口に、

石板があった。


虎「……古代語だ。『光を正しく通す者のみ、奥へ進める』とある」


宮殿の中に入ると、

広いホールがあった。


天井から、

太陽光が差し込んでいる。


床に、

いくつものクリスタルの柱が立っていた。


ステラ「これらの柱に、光を通す仕組みがあるようです」

虎「反射させて、一点に集めるということか」


虎が柱を動かした。


ステラ「そちらではありません。あちらの柱を、こう」


ステラが指示しながら、

柱を調整していく。


しばらくして、

光が一点に集まった。


奥の扉が、

音を立てて開いた。


ラシード「……本当に開いた」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


奥の部屋に入ると、

異様な光景があった。


グリンドの男たちが、

何人も床に倒れていた。


黒い外套に緑の刃。

間違いなかった。


だが全員、

すでに動かなかった。


……もうやられているのか


部屋の中央、

祭壇の前に、

守護者が立っていた。


全身がクリスタルでできた、

人型の存在だった。


守護者は、

倒れたグリンドの男たちを見下ろしていた。


守護者「……財宝目的の者は、排除する」


守護者がこちらを向いた。


ラシード「……あれは何だ」

ステラ「宮殿の守護機構です。侵入者を排除する設計のようです」


虎は倒れた男を確認した。


虎「……無事か」

ステラ「呼吸はあります。気絶しているだけです」


守護者「……お前たちも、財宝目的か」

虎「違う。旅人だ」

守護者「……試練を突破した者か」


声が、

部屋に反響した。


守護者「試すことを、許可する」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


守護者が拳を振り上げた。


虎は前に出た。


ステラ「合体モードを」

虎「必要ない」


拳を受けた。


どごん。


拮抗した。


虎(強い。だが、範囲内だ)


虎は押し返した。


守護者が一歩下がった。


守護者「……力がある」


クリスタルの刃が、

無数に生成された。


一斉に飛んでくる。


虎は動きながら弾き、

避けた。


ステラ「三回に一度、隙が生まれます」

虎「わかった」


虎は接近した。


守護者の拳を、

両手で受け止めた。


ぎ、という音。


虎は力を込めた。


守護者の腕が、

軋んだ。


守護者「……久しぶりに、抗える者に会った」


クリスタルの体に、

亀裂が走り始めた。


守護者が全身の魔力を高めた。


部屋全体が光った。


ステラ「出力が上がっています」

虎「知ってる」


虎は緩めなかった。


亀裂が、

広がっていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ラシードが、

壁際で倒れたグリンドの男を見ていた。


ラシード「……財宝を取ろうとして、あれにやられたのか」

ステラ「おそらく。私たちが来る前に、戦いがあったようです」

ラシード「……欲張ったな」


ステラは戦う虎を見た。


ステラ(守護者は、財宝目的の者を排除する)


ステラ(虎様は旅人だと答えた。それが本当だから、まだ話が成立している)


ステラ(虎様は、いつも本当のことだけ言う)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ステラ「次回予告です」

虎「ああ」

ステラ「守護者との戦い、決着がついていません」

虎「もう少しだった」

ステラ「亀裂は広がっていましたね」

虎「あれで終わる」

ステラ「……本当ですか」

虎「たぶんな」

ステラ「……たぶん、ですか」

虎「相手も強かった」

ステラ「珍しいですね、虎様がそう認めるのは」

虎「認めるべきは認める」

ステラ「グリンドの方々は、すでにやられていましたね」

虎「財宝目的だったからだろ」

ステラ「……自業自得、ですね」

虎「そうだな」

ステラ「次回、『虎が、守護者を止める』」

虎「宮殿の秘密もわかるかもしれない」

ステラ「楽しみにしています」

虎「楽しみか」

ステラ「謎解きは、楽しかったです。柱の調整が」

虎「お前が全部解いた」

ステラ「虎様が動かしてくれたので」

虎「……二人でやった、ということか」

ステラ「おおむね、そうです」

虎「おおむね、か」

ステラ「おおむね、です」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。