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虎無双、虎無双。  作者: BB
1章

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12/20

第12話「虎が、古代兵器を止める」

地面が、また揺れた。


壁の紋様が、

赤く脈打っている。


ミオ「……扉の中で、何が起きている」

ステラ「魔力の出力が上昇し続けています。このままでは」

虎「わかってる」


カイエルの姿は、

もうなかった。


虎(あいつは行った。やることをやって、逃げた)


虎(それでいい。問題は、扉の向こうだ)


虎は扉を見た。


分厚い石の扉が、

内側から閉じている。


ミオ「開けられるか」

虎「やってみる」


虎は扉に手を当てた。


ステラ「虎様、腕の傷が」

虎「後でいい」

ステラ「でも」

虎「後でいい」


ステラは一瞬、

何か言いかけた。


それから、

口を閉じた。


虎(カイエルの最後の一撃。あれは速かった)


虎(腕の傷は深くないが、うっとうしい)


虎は腕に力を込めた。


それから、

足元に魔法を走らせた。


ステラ「……魔法を使うのですか」

虎「細かいものには使うと言っただろ。扉ごときに体力を使うのは無駄だ」


床の石が、

割れた。


扉の根元から、

亀裂が走る。


それから虎は、

腕を扉の中心に叩きつけた。


どごん。


分厚い石の扉が、

内側に吹き飛んだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


中は、

広かった。


ミオ「……でかい部屋だ」

ステラ「天井まで、おおむね二十メートルはあります」


部屋の中央に、

巨大な柱のようなものが立っていた。


高さは十メートルを超える。

黒い石でできていて、

表面に無数の紋様が刻まれている。

紋様が、

赤く光っている。


脈打つように、

一定のリズムで。


虎(これが、古代兵器か)


虎(でかいな。だが、机のようなものだろう。壊せばいい)


部屋の四隅に、

黒外套の男たちが立っていた。


五人。


男「……来たか」


男たちが武器を抜いた。


ステラ「虎様は兵器の方へ。こちらは私とミオさんで」

虎「頼む」

ミオ「……行け」


虎は走った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


後ろで、

ステラとミオが動く気配がした。


ミオ「氷よ」


床が凍る音。

男たちの叫び声。


ステラ「お静かに願います」


鈍い音が、

続けて三つ。


虎は振り返らなかった。


虎(ミオとステラなら大丈夫だ)


柱に近づくにつれて、

熱が増してくる。


赤い光が、

激しくなっていく。


脈打つリズムが、

速くなっている。


虎(急がないといけない)


柱の表面に手を当てた。


熱かった。


尋常でない魔力が、

柱全体を満たしている。


虎(一万年前にも、これほどのものはなかった)


虎(人間が、ここまで作れるようになったのか)


柱の根元に、

核のようなものがある。


光が一番強い場所だ。

紋様がそこに集中して、

渦を巻くように光っている。


虎「……なるほど」


虎は柱から一歩離れた。


それから、

腕に魔法を纏わせた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


黒牙の残党を倒した2人が合流した。


ステラ「虎様、出力が上がっています。急いでください」


虎「わかってる」


腕に、

力が集まる。


普段は使わない。

使う必要がなかった。


だがここは、

ただ壊すだけでは駄目だ。

核を壊さなければ、

意味がない。


柱の表面を、

魔法で削り始めた。


どごん、どごん。


石の破片が飛ぶ。


柱が、

少しずつ削れていく。


だが核までの距離が、

まだある。


虎(硬い。一万年前の人間の技術じゃない。これは)


ミオ「虎、どうだ」

虎「もう少しかかる」

ミオ「……急いでくれ。出力がまだ上がっている」


床が、

また揺れた。


部屋全体が、

赤く染まっていく。


ステラ「虎様。このままでは十分以内に臨界点に達します」

虎「十分か」

ステラ「おおむね、それ以内です」

虎「わかった」


虎は一度、

柱から距離を取った。


虎(削るだけでは追いつかない)


虎(中に入る必要がある)


ミオ「何をしている」

虎「中に入る」

ミオ「……中に?」

虎「柱の中に核がある。外から壊せないなら、中から壊す」


ステラが少し黙った。


ステラ「……構造上、可能です。ただ」

虎「ただ?」

ステラ「中に入れば、魔力の圧力を直接受けます。腕の傷が」

虎「問題ない」

ステラ「……虎様」

虎「問題ない」


ステラはしばらく虎を見た。


それから、

前を向いた。


ステラ「……わかりました」


虎は柱の表面に、

両手を当てた。


魔法と体術を、

同時に使う。


外から押しながら、

内側に向けて魔法を走らせる。


柱の表面に、

亀裂が入り始めた。


どん。


亀裂が、

広がる。


どん、どん。


腕の傷が、

じくりと痛んだ。


虎(痛い程度なら、問題ない)


亀裂が、

柱全体に走った。


そこから虎は、

体ごと押し込んだ。


柱の内側に、

入り込む。


中は、

外より熱かった。


赤い光が、

四方から圧しかかってくる。


虎(これが、古代の力か)


虎(悪くない圧だ)


中心部が、

見えてきた。


眩しいほどの赤い光の塊が、

柱の核心でうごめいている。


虎(あれを壊せばいい)


虎は手を伸ばした。


指先が、

核心に触れる寸前で。


光が、

さらに強くなった。


部屋全体が、

震えた。


ミオ「虎……!」

ステラ「……虎様」


さて)


どうするか)


核心が、

脈打っている。


虎が、

光の渦に飲まれた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ステラ「次回予告です」

虎「ああ」

ステラ「虎様、今どういう状況か、わかっていますか」

虎「核心に手が届きそうなところだ」

ステラ「届きそう、というところが問題です」

虎「そうか」

ステラ「おおむね、非常に危ない状況です」

虎「面白い」

ステラ「……虎様が面白いと言うのは、本当に困ります」

虎「なぜだ」

ステラ「止まらないから、です」

虎「止まる理由がない」

ステラ「……次回、『虎が、核心を壊す』」

虎「壊せるだろ」

ステラ「……わかりません」

虎「珍しいな、お前が」

ステラ「初めてのことが多すぎます、今日は」

虎「それは、いいことだ」

ステラ「……おおむね、そう思えません」

虎「おおむね、か」

ステラ「今だけは、おおむね、ではありません」

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