46.
第二競技 マナ・ブレイク。
私、ミレイア、コリアンナは自身の出番を終えた後に、魔導祭の屋台を満喫し、発表会場兼表彰会場である聖樹前広場の空中に浮かぶ大モニターの前に集まっていた。
正直、まだまだお祭り気分でいろんなものを食べたり、まだ遊べていない屋台でミレイアとコリアンナと一緒に遊んだりなど、正直したかったのだが、ここに呼び出されたのでそれは叶わなかった。
正直、以前は苦手だった祭りというものが、人と回ることで『とても楽しい』と感じている自分は新鮮だった。それもあり、少しハイになっていたのだが、この競技の結果を見て、私は一気に最悪なテンションに落とされることになる――。
順位は、点数として換算される100位から発表されていった。それよりも下の順位は、後ほど公開されるらしい。
正直、最初の方に発表された人達は誰なのか知らなかったが、48位からちらほらと見知った名前が出てくるようになる。
48位 コリアンナ=ルルーフ 8800ヴェリト
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28位 ミレイア=ノクティス 9800ヴェリト
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26位 ガイゼル=リューネン 10200ヴェリト
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22位 セレナ=ヴァイスリート 12800ヴェリト
全体的にこの学院の生徒は質が高いというのは本当らしい。
ヴェリトというのは、魔力の強さの単位なのだが、魔法使いの平均値が3000前後と言われている。
ちなみに、魔法使いは5000ヴェリトはダスター、10000ヴェリトはクリアル、30000ヴェリトを超えると ディバインという国から称号を与えられる。
これは生まれや血筋と言った資質でほとんどが決まるらしい。身体の成長によって大きくなり、同時に努力でも数値が多少は伸ばせるらしいが、クリアルからディバインというレベルで伸ばすのは不可能だと言われている。
ちなみに私は測ったことはない。興味がなかったのもあるが、そもそも測定できる魔道具自体が希少で、国の機関や一部の特殊な場所でしか測れないからだ。
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7位 マーカス=ヴェルナー 27900ヴェリト
3位 モヒート=ウーヴ 38000ヴェリト
ここまでは『ああ、知っている人たちがランクインしたんだな』、『蒼氷が順調に点数を取れている』と安心していた。
しかし、ここからの結果に私は驚愕することになる。
2位 リーシャ=スプライント 49500ヴェリト
1位 オーランド=レッドグルール 56800ヴェリト
目を疑った。
ここまでオーランドが出てこないなとは内心、実は思っていた。しかし、2位にその名前が来ると思っていたのだ。そして1位が自分だと思っていた。
それくらいには自信があったし、あんな人に負けたくはないという気持ちが強かった。
それなのに――。
「私は……負けた、の?」
しかも、大差をつけて。
計測ミスだなんて、くだらない言い訳は浮かばなかった。それよりも、私は彼のことを何も知らなかったのだなと改めて思った。オーランドはこんなにも強かったのか、と。
とはいっても、別に彼の無礼でこちらを見下すような態度と発言は許せない。許すつもりはないし、言う通りに動いてやる気もない。
「えっと、残念……だったわね?」
「2位はすごいよ!私よりも高いし!!元気だしなって!!」
「はーー。どっちもバケモンだなー。まあ、俺にはまだまだ負けるけど」
コリアンナとミレイアが私を気遣って言葉を掛けてきた直後にかぶせるようにしてバケモン呼ばわりをしてきたのは、いつの間にか背後にいたクレイヴ先生である。
こちらが負けて、意気消沈しているというのに、失礼な人だ。
「私、負けて落ち込んでいるんです。分かりませんか?」
「はあ?なんで落ち込む必要があるんだ?別にデュエルで真っ向勝負して負けたわけじゃないだろ?」
「それは……そうですが」
「魔法の勝負は魔力の強さだけじゃない。技術と才能、そして戦略と判断力だ。……運もあるな」
何かを思い出すように、遠くを見ながらそんなことを言うクレイヴ先生。
彼は私よりも生きている年数が長い。それだけ多くの経験を積んできたということでもある。
でも、それよりも気になったのが。
「あるんですか?自分よりも魔力が弱い人にデュエルで負けたことが」
「…………あるさ」
ストレートに聞いてしまったことを少し後悔していたが、その返事はすんなりと返ってきた。てっきり怒って答えないかと思っていたので、これはかなり意外だった。
でも、その言葉に少し自信がついた気がする。むしろ、魔力量という測りに踊らされていたのが馬鹿らしく感じた。
勝てる。いや、必ず勝って見せる。
そう決意し、私はその日の残り時間を魔導祭を遊びつくすことで、競技に備えた。




