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...ハハハ、ほんとくだらない話だよね。
「はぁ......」
「そんなに心配なら助けに行けばいいだろう」
落ち込むエピックにオウルは答えは変わらないと分かっていても、そう声をかけた。誰よりも上位の存在のくせに、誰よりも人間臭い姿を見かねて言った。
返答はやはり変わらなかった。
「知ってるだろ、僕はあの娘にもっと強くなってもらわなければならない。計画の為にも、彼女の為にもね。あれに勝てなければその程度の才能、計画も一からやり直す。例え愛しい娘でもそれはそれ、これはこれだから」
「相変わらずの切り替えの早さだな、人間と人外の分類は楽で助かるな」
「ははは、そうだね」
「......冗談だ。お前はそこらの人外とは違う、人間よりも人間している」
エピックは少しばかり驚く。この面倒くさい男から慰めの言葉なんて今まで出たことが無いからだ。
「おい今意外とか思っただろ」
「そうだね、意外意外」
適当にあしらっている感じにイラッときたが今までの経験上こういう時は素直に撤退したほうが良い。
「チッ、これ以上は反撃を喰らいそうだからやめておこう」
「ハハハ」
「......」
普段とは違う、明らかな乾いた笑い。もしアリアが死んでしまったらずっとこんな調子になってしまうのだろうか。きっとそうはならない、一日経てば元通り。でも心に残った傷は癒えることはない、エピックはあまりにも多くの喪失を抱えている。特に今回は大きい傷になるだろう。オウルは合理で、そして感情の面でもアリアに死んでほしくない。
死ねばエピックの気分は常に下がるしやる気も無くなる、それに将来有望な駒も一つ失う。そして個人的にだが、物わかりが良く愚かではない生徒を指導するのは中々に楽しかった。
(...頼むぞ、保険を渡したとはいえ『殺意』はこの世界の基準でもかなりの強さだからな。お前は夜明けまで耐えれるか?)
手出しが出来ない以上、ただ無事を祈る。
「どうしましょう」
隠れ始めてから一時間は経っただろうか、全く去る気配が無い。匂いでも辿っているのか知らないが、こちらの位置を大まかに特定しているような動きをあの闇はしている。だから場所を移動しなければならないのだがバレないように動くのも疲れるしストレスが掛かる。
闇が出している殺気のお陰で周囲に魔物が出現しないのはアレの唯一の長所だろう。
「......」
一度考えを整理する。
まず勝利条件は何か、それは夜明けを迎えること。明日の日の出に二人が助けてくれるはずだ。
服の中から懐中時計を取り出す。現在の時刻は十一時五十三分、まだまだ勝利は遠い。
ではこれからどう生き残るか?今のやり方で凌げてはいるがアレが学習しないとも言い切れない。それに体力の消費もあるので結局方法を考えなければ死にまっしぐらだ。
戦うのは絶対無理、いっそのこと全力で離れてみようかと思ったが、そうしたら魔物に襲われて死。つまり殺気の射程範囲内に居ながら見つからずに何時間も隠れる必要がある。
「......はぁ」
思わずため息が出るぐらいには難易度が高い要求。だがやらなければ死ぬのでアリアは気合を入れた。
どうせこれが終わったらいくらでも甘えれる、そう思うととてもやる気が漲ってきた。
一時三十六分。想定が甘かった、あの闇はとても学習能力が高い。理性は確かに失っているようだが、どうすれば獲物を仕留めれるかを考えれるだけの頭......本能というべきだろうか、があった。
一度魔術で自分そっくりの人形を造り反対方向に向けて前進させた、そうすると狂乱して一目散に追いかけていきすぐに捕まり壊された。
これは使えるかもと思いもう一度この戦法を使った、しかし反応は薄く逆に魔力を辿られて位置がバレかけたので肝が冷えた。
あの闇の知能を大体把握した、つまりこれは想像力との戦いでもある。毎回毎回違う手で凌がなければならない、無理では?
疲労、恐怖、実力差、これらの要素が組み合わさり、いつかエピックさんが言っていた無理ゲーという言葉
が今の状況に相応しいだろう。
「.........■■」
「え?」
振り下ろされた剣を反射的に防いだ。偶然剣を手に持っていたお陰で防ぐことが出来たが、そうじゃなかったら確実に死んでいただろう。
「ッ!」
気合で大剣を押し返す。闇がよろめいたのはほんの一瞬で隙は生まれることは無かった、剣と剣がぶつかり合い甲高い音が鳴り響く。アリアは今恐怖により身体を上手く動かせない、しかしこうして拮抗できているのは剣の格が圧倒的に勝っているからだ。エピックから貰った剣が力を与えてくれている、戦闘中だがアリアは嬉しくなった。
それはともかく、アリアは剣を交わす中で違和感を覚えた。殺気とは裏腹に動きが緩い、こちらを観察しているような視線。
アリアは念のため今出来る精一杯で手加減をする、これは観察する闇に自分の底を見せないための対策だ。今の調子では底が浅すぎるところまで来ているので見抜かれれば一気に攻められて殺されるだろう、それの対策と言いたいけれど気休めに過ぎないとは思う。それでもやらないよりかはマシだろう。
案の定しばらく剣を交えていると闇の動きが格段に良くなり、こちらの動きを完璧に読まれていた。それに気付けたから良かったが、いつかは仕掛けてくる罠を見抜けなくなり殺されてしまう。
逃げるしかない、逃げるしかないが難しすぎる。
「くっ、このままでは!」
絶体絶命かと思われたその瞬間、闇が突然横を向いた。一瞬罠かと思ったがそんな様子では無かったのでアリアも同じ方向を見る。そこにいたのは紅い竜がこちらを観察していた、銀の瞳は知性を宿しておりその佇まいは威厳を感じた。
「異様な気配を感じて来てみれば、星の娘に破滅の影とは。実に面白き組み合わせ......ふむ、良い事を思いついた。其方等、ここは一度矛を収め──」
紅い竜が言い終わる前に闇は竜に斬りかかる。しかし竜は欠伸までして気にもとめず一本だけ爪の先端を闇に向ける。
「そう焦るで無い。急いては事をなんとやらと謂うであろう?」
そう言いながら爪の先端から赤いエネルギーを闇に発射し、闇は彼方に吹っ飛んでいった。
「其方はどうする?愚者となるか、或いは世界に革命を起こす道化と成るか」
アリアは提示された選択肢を選ぶ......その前に闇が遠くに行って安堵してしまった結果、今までの疲労などの積み重ねを経て気を失った。
「はて、この様な事態は初めてだね」
紅い竜は久しぶりに困惑した。
傲慢なるひト、嫉妬深いカミ、寂しガり之龍deあれ、いつヵハ終焉が来ま素。ワタしでさ絵例外でハありま瀬ン、でスカラどうか楽死Nで見届けテくだ差いネ。




